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強姦(もどき)

私の元に来た、差出人不明の招待状。この時期のアンキュラの海では死者に会えるという噂を耳にした。…行かなければ。オフィーリアに、会える可能性があるのなら。

「…ん?レイヴン…お前何処か行くのか?」

招待状に書かれていた内容では、黒を主とした礼服と…宴用の衣装がいるらしい。せかせかと準備に明け暮れる私の元に、ブルメリアの王子であるユリウス王子が尋ねてきた。

「何処か、といえば…まぁ、はい。」
「何だよ。その曖昧な返事は。」
「……。」

自分の言葉で説明するのが面倒だった。私は例の招待状をユリウス王子に渡し、鞄に衣装を詰めていく。皺にならないようにしなければ。衣装を決めたのは私だが、面倒なものを選んだ気がする。何が面倒かと言われれば、今招待状に目を通す彼の事である。
幼い頃、少女に間違われる事があった。いや、まぁそれはこの衣装を選んだ理由では無いのだが、違和感は仕事しないと思う。クロードは「お兄様綺麗!」と喜んでくれたので、多分、問題は無い。

「…ふぅん。って事は他国に行くわけだ。」
「ええ、まぁ。少し、確かめたい事がありまして。」
「………そうかよ。」

嗚呼ほら。直ぐに不機嫌になった。
私は元より他国と関係を築くのが苦手であり、基本自分と良好(と言って良いのか)な関係にあるのは花の精の国と、花と緑の国の2国のみ。ユリウス王子の見知った顔しか居ないので…花の精の国の皆と居るのは対して何も言われないのだが。今回は違う。

「アンキュラの王子って誰だ。」
「さぁ。」
「さぁ…ってお前。」
「今回は外交ではなく、パーティの招待です。折角のお誘いを蔑ろには出来ないでしょう?」
「よく言うぜ。今まで結構蹴れるものは蹴ってきた癖に。」

はぁ、とため息を吐いて髪を掻き毟るユリウス王子。私も釣られてため息を吐いた。嗚呼、面倒臭い。何故今日に限って来た。

「俺は、お前が心配なんだよ。」
「それはそれは。ありがとうございます。ですが心配はご無用ですよ…一応王子ですので。」
「王子だからこその心配だって言ってんだよ。」

ギロりと睨まれ、思わず身体が跳ねた。…嫌な予感がする。脳が危機的信号を鳴らす。
逃げなくては。何故逃げる?目の前の彼が、怖いから。何故怖い?怒っているから。何故怒っている?私が…彼の言う事を聞かないから。何故言う事を聞かない?…オフィーリアに、会いたい、から……。
脳内で繰り広げられる自問自答。鞄をしまい、その場から後退りしていく。ユリウス王子はゆらりと立ち上がり、じわじわと私に近づいてくる。私が1歩下がると、ユリウス王子が1歩近付く。それを延々と繰り返す。しかし、延々と言っても…壁が無い訳は無く。

「なぁ。」
「ひっ……。」

目に光が入っていないように見えた。虚ろで、虚無を映していて。彼は私を壁に追い込むと、唇と唇が触れそうな距離で言った。

「お前は、俺のものだろ?」
「だ、誰が…何時、貴方のものになったのです…っ!」

彼は私より背が低いが、それは彼にとって全く関係なかった。グイ、と襟を掴まれたと思えば、口付けられる。呆然としている隙に舌が入り込み、かき回す。室内に、くちゅくちゅと唾液が混ざる音が響き…私の聴覚を犯していく。唇の隙間から漏れ出る声は、とても恥ずかしいものだった。

「…分からねぇのなら、教えてやらないとな?」
「………拒否、します…。」
「……拒否権なんてねぇし。」

乱れ、はだけたお陰で現れた首筋に、ユリウス王子が噛み付いた。


「ん、ふ…ンンッ!」
「俺は心配なんだよ。分かるか?」

身ぐるみ全てを剥がされ、ベッドの上に転がされた私はそのまま彼にされるがままの状態だった。身体への愛撫なぞなく、彼は直ぐに後孔に唾液を垂らして指を挿入する。抵抗しようにも力は鍛えているユリウス王子の方が強いのは当たり前で、抵抗しようがない。足を大きく広げられ、恥ずかしさに消えてしまいたかった。

「お前、こう見えてスゲェ淫乱だからなぁ…。誰彼構わず誘って…足開くんじゃねぇか、って。」
「そ、んなわけっ!」
「うるさい。」

グチュッと音を立てて指は奥深くを抉る。今は3本。バラバラに指を動かされ、時々ナカの感じる部分を撫でられると嫌でも身体が悦んだ。

「パーティって事は、酒も飲むだろ?お前弱いんだから…。」
「は、ぁっ!んん、や、めて…!」

指が更に増やされて、4本。圧迫感に涙が零れる。

「それに…何あの花嫁みたい衣装は。男誘ってるようにしか思わねぇだろ。」
「な、んでっ、それ、を…ひぁっ!?」

後孔に更なる負担がかかる。元々雄を受け入れる為に出来ていない場所を切り開いていく。ユリウスの雄とは違うそれを確認すべく身を捩った私は絶望した。

「ひっ…!な、んでっ……!」
「あ?ああ、これ。性技の一つらしいから。」

ユリウス王子の指が、否、手首が、飲み込まれていた。ユリウス王子は薄く笑って5本の指で…違う。掌を全て使って、1番感じる場所を揉んだ。

「あひぃっ!??」
「何で、ったってよ。お仕置きなんだから、怖い事しなきゃな。」
「あっ、あぅぅっ!やだっ!やらっ!ごめ、なさ……っ!」
「……勘違いしてるみたいだから言うけどよ。」

ユリウス王子は前立腺への愛撫を止めて、ヂュプッと卑猥な音を立てて手首を引きずり出した。唾液や腸液や先走りで卑しく光るそれを私に見せつけながら。

「俺は、1度も行くなとは言ってねぇよ?」
「………。」
「ただ、心配だって言ってんだよ。」

べろりと指に絡みついた液体を舐めるその仕草に、私の背中がゾクリとした何かを走らせた。

「お前は、俺がいないと駄目だろ。」
「………そんな、事。」
「レイヴン。お前は勘違いされやすいんだから。」

勘違い。それは、一体何を?

「お前の事を理解できるのは、俺だけなんだよ。」

そう言ったユリウス王子は優しく口付けた。先程までの行為がまるで嘘のような、触れる程度の口付け。思わずぼーっとしていた私にユリウス王子は笑って「変な顔してんな。」と頭を撫でる。
彼は、別にそれ程怒っている訳ではなかった…と?本当に、私が心配で?そう想うと胸がじんわりと温かくなり、思わず彼の身体に口付けを落とす。ユリウス王子は驚いた顔をしていたが、再び笑みを見せてくれた。





「っ、は…。」

ぢゅぽっと卑しい音が響いて後孔から自身を引き抜くと、どろりとした白濁が止めどなく溢れる。薄い腹はぽっこりと膨れ上がり、それを軽く抑えると白濁が流れる速度が早まった様な気がした。
濁った瞳で俺を見つめるレイヴンの瞼に口付けを落とすとふにゃりと笑う。俺はそんなレイヴンに満足して再び後孔に自身を当てがった。

「ココにいっぱい、俺のを注いでやるからな。お前は、俺のなんだから。レイヴンが"心配"だから…な?」
「は………ぃ……。」

一層の事、孕んでしまえばいいのに。
そうしたら…他国の王子に目移りする事も…オフィーリアさんに会いたいとも思わないだろうに。
俺は薄く笑って、その細い身体に自身を打ち付けるのであった。

END
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ユリレイ単発詰め合わせ
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