BL Novel | ナノ

守る為の嘘

※夢100 ユリウス×レイヴン前提モブ×レイヴン
2人の接点はイベント【花咲けるレクイエム】
Xmasストーリー【フラワークリスマス】参照


私がユリウス王子に告白された時、この方は非常に物好きな方だと思った。実際、私達は大した会話もした事が無く、接点もあるようで無い。なのにある日突然レベルタにやって来たと思ったら「お前が好きだ」と告白してきた。
勿論最初は断った。私はオフィーリアの事がある。同性同士の付き合いに抵抗がある訳では無かったが、例え同性同士の恋愛でもオフィーリアに悪い気がしたのだ。私が幸せになるのはいけない事だ。私は幸福感が嫌い故に、その告白を丁重にお断りした。しかしあの人は諦めが悪い方だった様で、気付けばレベルタに来ては私に顔を見せ、「今日は良い香水が作れたんだ」とか「今日は剣術の大会があった」だとか他愛も無い会話を一方的にして満足して帰っていく。何なのだ、あの王子は。公務はどうしたのだ、と思わず言いそうになるが構ったら負けだと思い何も言わなかった。
しかし、何日かそれが続いたと思ったらパッタリ来なくなった時があり、何故かかなり心配している私がいた。いつもならこの時間に来て適当な話をする筈。嗚呼、今日は公務に忙しいのだろう、と。そう思い気を紛らわしていたがどうも心配してしまう。1週間も彼が来なかったので流石の私も心配になって彼国、花と緑の国·ブルメリアに足を運んだ。そこに彼は普通にピンピンしていた。公務も普通にこなし、時間があれば剣の稽古をしていたらしい。私はそれを聞いて何かが切れた。「散々私のペースを崩した癖に急に来なくなるなんて!」「病気になったのかと心配したのですよ!?」と。今思い出しても恥ずかしい。それを聞いたユリウス王子はポカンとしていたものだ。そりゃそうだ。「邪魔だろうなと思って。」それが彼の理由だった。「邪魔だろうな?確かに最初は面倒だなとは思いましたよ!でも!」…その続きは思い出したくもありませんが、まぁ…お察し頂きたいものです。
私とユリウス王子はそれから何かしら一緒にいる事が増えました。傍から見たら恋人同士の様な関係。ですが、私としてはまだ釈然とはしていなかったのですよ。ユリウス王子と一緒に居るのは凄く楽しい。あの人の笑顔が好きだ。でもそれのお陰で抱く感情は、私が嫌いな幸福感。オフィーリアを殺した私には、この気持ちを持ってはいけない筈なのに。
それでも…この感情は、切り捨てたくないと思っていました。少なくともこの時から私はユリウス王子が好きだったのでしょう。恋人らしい事と言ったって、口付けの一つしてない初々しいものだったのですが。……ええ、本当に。あの日にでも、私から口付けすれば良かったのです。

「(あの日にでも…抱いて、貰えれば。)」

ぐちゅり、と嫌な音がした。私は異物感に身体を震わせ、何も考えない様務めた。しかし、汗に交じる生臭い臭いと、下劣な男達の息遣い。それに、私の身体の奥深くを打ち付ける男の男根が、それを許さない。私は一応王子なのだがなぁ…と身体を揺すぶられながらボンヤリと考える。私を囲う男共は3人。今私で性処理を行う男が終わったって、別の男が私の身体で性処理を始めるのだろう。その男が終わっても、また別の男が。そいつが終わっても、今のこの男がと…悪循環過ぎる。せめて2人なら…。
はあ、と出た溜息に艶が混じっている事に怒りを覚えた。輪姦の強姦なのに何で感じてるんだ私。嗚呼、所謂淫乱と言うやつだったのか。淫乱な私を見たらきっとユリウス王子だってドン引きするでしょう。ユリウス王子だけなら兎も角、今の私にはオフィーリアに会う資格すらありませんね。こんな、醜い男共に犯された私等、もう…。ハハッと乾いた笑みが漏れた。男は不思議そうに動きを止めたが、私の諦めた表情を見たのかニヤリと笑って腰の動きを早くする。我慢していた声が、漏れた。

「んああっ!ひ、っぐ…ぁ…!」
「おー、やっと鳴いたかぁ。ぜんっぜん喘がねぇから人形かと思ったぜ。」

人形。嗚呼、まぁ、先程まではそれを演じようと頑張っていましたよ。貴方が無茶苦茶するから声が漏れたのですよ。だから早く、終わって下さい。何故、私がこんな目に合わなくてはいけないのです。私は矢張り、幸せになってはいけないのですか。幸せを願った故の、天罰なのですか。

「んおお、イクぞっ!中出ししてやるからな!」
「…ひっ、あ、あああっ!!」

びゅくびゅくと、熱い何かが腹を満たす。ちゅぽっという音がして男根を抜かれるとそこからどろりと白濁が零れるのがわかった。嗚呼、気持ち悪い。

「えっろ。」
「なぁ…思ったけど此奴、誰かに似てねぇ?」
「は?誰に?」

男共が私の痴態を見ながら何かを話している。どうせ詰まらない話でもしてるんでしょう。早く解放して貰えないのでしょうか。早く、帰らなくては。そして、身体を洗って、ナカのものを掻き出して、そして…。

「…れ、レベルタの王子だ…此奴、王族だ…!!」

そして、あの人に別れを告げなくては。


──
───

「んぎぁぁっ!ひ、いや、いや、ら…っ!!」
「どうせ!捕まるくらいならっ!最後まで蹂躙しとかんとなぁっ!!」
「んああああっっ!!!」

もう、戻れない。
ガツガツと奥を抉られ、何度もナカに吐き出され、ペニスも虐められた。意識は朦朧で何も考えたくないし、ただ瞳は虚無を映す。
1人の男に後孔を攻められ、1人の男にペニスを扱かれる。もう1人の男は何してるのだろうとか、もうそんな余裕は無かった。

「ひぁあっ!やらっ!も、でる!やらぁぁっ!!」

プシャアァっとペニスから吹き出した精液とは違う何かに、遂に失禁までしたかと絶望する。しかしそれはアンモニア臭がなく、無色透明の液体。何もしていない男が「おお、潮吹いた。」と嘲笑った。ガクガクと足が震え、意味も成さない母音ばかりが口から零れる。もう、本当に、止めて。もう、これ以上、私を堕とさないで。虚無を見つめる黒い瞳から、何かが溢れ出すのが分かった。

「おお、そうだ。オメェも入れろよ。どうせ俺達全員死刑ものなら、いっその事王子の身体ぶっ壊してから死のうぜ。」
「そうだな。いいぜ。」
「え……?あ、あ?」

1人の男と繋がっている後孔を、ペニスを弄る男がグイと拡げた。既にギチギチの状態で、指さえキツイ状態なのに。まさか、この男は…!

「むり、やだぁっ!こわ、れるっ!壊れ、るぅっ!!」
「だーからぁ?どうせ王子様は俺達を死刑にすんだろぉ?それなら死ぬ前に王子様をメチャクチャにしてから死のうと思ってんだよぉ?」

正気じゃない。そう思った。ガチガチと歯が震え、身体全てが拒否反応を示している。無理だ。本当に、壊れる。あんな大きなものが、入る訳が、ない!

「ほーら王子様ァ?俺様のちんこが入ってる可愛い可愛いお口に、別のちんこが入ろうとしてんぜぇ?」
「ひ…っ!やだ、むり、やだ、こわ、いやめて下さ…。」

くぱぁと孔が無理矢理拡げられ、そこに別の男根が侵入しようとしている。あんなの、入ったら本当に裂ける。

「おらっ!」
「んぎぃっ!!」
「ぐ、きっつ……、お?ハハッ、血ぃ出てんぜ流石に裂けるか。」
「あ"あ"あ"あ"あ"っ!」

痛い、熱い、焼ける、痛い、痛い、痛い!
ボロボロと涙が溢れ、口は開きっぱなし。ガクガクと身体は震え、頭の中は真っ白だった。

「ぐ、あ…ふぅ…やっと全部、入ったぜ…。せっま。」
「ん?王子様トんでんじゃねーよ!俺様達を楽しませてくれよ?」
「ンア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」
「おっほぉ!これやっべぇなw」

グチュグチュ、パンパン、ぢゅぷぢゅぷ。
血と、精液と体液が混ざりあって卑しい音をたてる。何も考えられない私は、ただただ喘ぐ他なく。ただ、脳内の何処か片隅には、ユリウス王子の優しい笑顔が残っていた…。

───
──


目を覚ました私はベッドの上に居た。天井には豪華な装飾。部屋に広がる優しい花の香りに、此処はブルメリアだと直ぐに分かった。急いで自分の格好を確認したが、誰かのシャツ1枚。そのシャツから香る香水の香りに、嗚呼、これはユリウス王子の物だと知る。
…あれ。私は今まで何をやっていたのでしょうか。頭を含めて身体の隅々が痛くて仕方が無いのですよ。特に腰。そして。

「…………っ!」

ドクリ、と心臓が大きく音を立てたのが分かる。そうだ、そうだそうだそうだ!私はっ!あの男共に犯され、そしてっ!

「あ、あ、あああ、ああああああああっっ!!!!」

私の叫び声を聞きつけたブルメリアの国の従者達が部屋にやって来る。この部屋には殆ど何も置かれて居らず、そのお陰で私は何もする事が無かったものの…。この部屋に剣でも飾られて居たら、私はきっと自分を刺し殺していた事でしょう。

「レイヴン。」
「……!!」

従者達に混ざり、凛と響く低音が私の耳に届く。従者達を下がらせた彼はそっと私の肩を抱いた。

「どうした?」
「ゆ、りうす王子…わ、私を…私を、殺して、下さい。」
「……何故?」
「私は…汚いのです。犯されたのです。貴方と共に居る資格等、無いのです…。王子として君臨する資格も勿論無い…だから、せめて、愛しい貴方の手で…私を、殺して下さい……っ!」

ボロボロと涙が溢れ止まらない。目の前の視界が揺らぎ、ユリウス王子をボヤけさせる。
しかし、ユリウス王子は私を抱きしめ、そして…。

「んっ!」
「………」

唇を、奪った。
角度を変えて何度も。触れる程度の、優しい口付け。

「悪夢を、見てたんだよ。」
「……へ?」

ポンポンと優しく頭を叩かれる。ユリウス王子は私を抱き締めながら、続けた。

「お前は悪い夢を見てたんだよ。覚えてないのか?ユメクイとの戦闘に巻き込まれたんだ。その時に身体を痛めた。ユメクイに夢を喰われる事は無かったが、身体も心も疲労しきってたんだろ?だからお前は悪夢を見たんだよ。」
「あ、くむ……?」
「そう。だから何ともねぇんだ。お前は綺麗だよ。さぁ、もう少し休め。元気になったら…そうだな。アキト達に会いに行くか。若しくはお前に香水作りを教えてやるよ。一緒に作ろうぜ。」

ポンポンと今度は優しく腹部を叩かれる。そのリズムに瞳が重くなり、そっと身体を預けた。

そうか、夢だったのか。全て、悪い夢。
私は、まだ貴方と共に居て良いのですか。弟が王子として君臨するその日まで、私は王子と名乗って良いのですか。答えは分からない。だが、この温もりに包まれているこの時を、堪能して居たかった。


──
───
────

俺の腕の中で眠ったレイヴンをそっとベッドへ寝かせた。身体に残る、痛々しい痕を見つめ、奥歯を噛み締める。俺が駆け付けた時には、レイヴンは男達に蹂躙され、汚された後だった。部屋に漂う生臭い臭い、そしてレイヴンと男達の格好を見てナニをされたのか明白。そこからどうしたって?嗚呼、酷いものさ。気が付けば俺は血塗れだし、男達は只の肉片に成り果てていた。
ボロボロのレイヴンと、血塗れの俺を迎え入れた従者達のあの顔を俺は忘れない。父さんにも何があったのかを伝えると、渋い表情ではあったものの己の手で粛清させた事に満足か?と問われた。俺はうなづく。そうか。父さんは俺の返答に意味深にうなづいたと思えば下がっていいぞと告げる。その後俺はレイヴンの叫び声を聞きつけて部屋に向かった訳なのだが。

「(汚くなんかない。汚いのは、俺だ。)」

横ハネのキツイ髪は、従者に頼み湯浴みをさせた為落ち着いている。その髪を手櫛で梳きながら俺は目を伏せる。いくらお前を守る為とはいえ、アイツらを殺すのはやり過ぎだったのでは無いかという後悔。だが、あの時の俺は今の冷静な俺でも止めることは出来ないだろうなと。それ程、怒りに我を忘れていたのだ。気が付いた頃には自分は血塗れだったのだから。
レイヴンにはお前は悪夢を見ていたのだ、と咄嗟の嘘を吐いた。だが、今冷静に考えればその事実を肯定させれば良かったのでは?という浅はかな考えの自分も居る。何故か?レイヴンは今幾ら俺と付き合っているとはいえ、彼奴の心は婚約者のオフィーリアさんの元にある気がしてならないのだ。だが、男に、無理矢理犯されたその事実を肯定させてやれば。レイヴンは、オフィーリアさんの元へ行こうとは考えないのでは…?と思ったのだ。だが、それは、俺の元にも居られないと考えてしまうのではと思い咄嗟に嘘を吐いたという訳なのだ。
しかし、幾ら嘘だと伝えてもいつか嘘がバレる。その際レイヴンはどんな行動を取る?自殺?有り得る。

「(俺は、お前を失いたくない。)」

初めて出会ったあの日。消え入りそうな儚さを持ったレイヴンを見た時に、俺は一目で惚れた。大切な人を亡くしたレイヴンと、戦争の傷が癒えない俺と。何処か似ていると…そう思ったのだ。俺なら、彼奴の気持ちを分かってやれる、と。しかし、それは、レイヴンにとっての、俺は…。

「………す。」
「…?レイヴン?起きてんのか…?」

レイヴンの唇が小さく動く。消え入りそうな声を俺は必死に拾った。

「ユリ、ウス……。」
「!!」

いつもなら「ユリウス王子」と呼ぶのに。レイヴンは確かにユリウスと、俺を呼び捨てで呼んだのだ。
それだけでとてつもなく愛おしい気持ちが込み上げて…俺はそっとその額に口付けた。

嘘がバレた際等、バレた時でいいのではないか。本当にレイヴンが死のうとするなら、俺は監禁してでも止めてみせる。でも、少しの可能性を信じたい。俺はレイヴンが汚された程度で捨てる男だなんて、思わない未来を。俺は、例えどんなお前でも守ってみせる。愛してみせる。だから。だから…。

そして俺はレイヴンの唇に己の唇を重ねたのだった…。

END
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