レコーディング終了
「はい、終わり。」
「お疲れ様でした」
「…ちょっと待て。」
早々に出ようとした私をマスターが引き止める。
「なんでしょう…??」
「…その、開発の話、聞いてるか?」
ついに私はお払い箱のようだ。
「いいえ。では失礼します」
「あ、あぁ…」
開発とは、やはり新しくボーカロイドが造られるのであろう。
ボーカロイドの使命を果たしていない私の代わりにでも造られるのであろう。
そうなれば私は破棄となり、捨てられてしまう。
そう思ったら涙が出た。
「…あれ?なんでだろ??
私、まだ歌いたいよ…歌いたい」
そう思った時、夢の男の子が脳裏に浮かんだ。
「俺の事思い出して。」
彼の歌が心を揺さぶる。
私の口ずさみはやがて歌となった。
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