鏡音リンの生まれた理由
私、鏡音リン。
私は先代、メイコ姉やカイト兄、ミク姉を超えるため、造られた存在。
「リン!!ちゃんと歌いなさい!!そんなんじゃ、また超えられないぞ」
またマスターの怒鳴り声。
「お前は何のために生まれて来たんだ?!
お前が楽しそうに歌わないから、聴く人も楽しくならないんだろう?!!」
最近、楽しく歌うという事がよくわからなくなってきた。
きっと私は楽しく歌うという事を忘れてしまったのだろう。
(…ボーカロイド、失格だよね。私)
はぁ、とため息をつく。
「ため息をついてる暇があるなら少しでも歌ったらどうだ?」
マスターの手が振り上げられ、すぐ近くで破裂音がする。
あぁ、頬を叩かれたのだな、と頬に手をやり、痛みを感じた。
マスターはどうやら、頭に血が登りすぎて、息を乱している。
今はこんなんだけど、昔、ちょっと前まではとても悲しかった。
なぜ、マスターを怒らせなければならないのだろう?と何度もおもったし、そんな自分に嫌悪感を持っていた。
しかし今は、そんな事思う事も無駄だと思い始めている。
マスターが壁を思いっ切り叩き、部屋を出ていった。
こうなってしまえば、今日は私の歌うという役目は終わる。
「…なんでこうなんだろ」
寝室へ戻り、しばらくして寝た。
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]