クリームが世界を飲みこんだ


ドキドキと心臓を鳴らしながらフライパンの火を消して炒めたそれを皿へと盛り付けていく
今日こそはうまくできていますようにっ!と願いながらナナは皿を手に取るとすでに座って待っているダンテのテーブルへと持っていく

「で、できました…」
「hmm…どれどれ…」

側に置いてあったフォークを手に取ると炒められた具を刺し口へと運ぶ
その様子を見ながらナナは心臓を鳴らす
数回口の中で噛んだダンテだが突然口が止まって一瞬眉間に皺が寄った
それに気がついたナナは急いで皿を持ち上げる

「ご、ごめんなさいっ!ダンテさんっ!!不味かったですよね!?あぁ…今日もピザを頼みましょうっ!!」
「い、いや…確かにクセのある味だったがせっかくお前が作ったんだ「駄目です!!お腹壊しちゃいますっ!!!」

本当は不味くて仕方ないはずなのにダンテはいつも食べようとしてくれる
それが申し訳なくてナナは急いで皿を持ち上げるとゴミ箱へとそれを捨てるとダンテの机に置いてある黒電話をとってピザを注文した
不味いものを食べさせるぐらいなら彼の大好きなピザを頼んだ方がいい
それにしても自分はどうしてこうもうまくできないのか
レシピ本なども何冊も買って本の通りに作っているのにうまくいかない
ダンテと一緒に暮らし始めてから毎日練習をしているのに…このままでは彼に捨てられてしまうかもしれない(ダンテとしては捨てる気などないのだが)
明日も練習をしなければ……
悶々と考えているナナをいつの間にかやってきていたダンテが抱きしめた

「ダンテさん!」
「あんまり自分を責めるなよ?作ろうとしてくれるその心が俺は嬉しいからな」
「…ダンテさん」

優しいダンテの言葉に胸が一杯になり、彼の腕をぎゅう、と抱きしめ返した
どんなに失敗をしてもダンテは怒らない
だからこそ彼の期待に答えてあげたいのに

「ダンテさん…何か食べたいものありますか?明日こそは必ず成功させますっ!」
「ちょっとは休んだ方がいいんじゃねぇか?」
「ダメですっ!1日でも休むとタダでさえ下手なのにもっと下手になります!言ってくださいダンテさんの食べたい物!!」

ナナの力説にダンテは少々苦笑しながら少し考えてから口を開いた

「なら…ストロベリーサンデーが久々に食いたいな」
「わかりました!明日お仕事が終わるまでには完成させておくので楽しみにしててくださいねっ!!」

力強くダンテに向けて拳を作ってみせるナナの額にダンテは無理するなよ、とキスを落とした
落とされた途端に力強く握り締めていた拳は緩んでしまいキスをされた額に手を当てて頬を赤く染めた


* * *

翌日ダンテが仕事に出かけたのを見送ってからさっそく材料を買いに行き、準備を始める
買い物に行く前にダンテが昔からストロベリーサンデーを食べに行っている店に作り方を教えてもらい、メモを取り出した
きっとこの通りにやればできるはず。火を使ったりとかしないので簡単だろう
気合を入れて料理を開始する……

「あ、あれ…?うぇっ……喉が火傷しそうなほど甘いです……」
「うぇぇ……今度は辛いです……」
「ん〜〜…すっぱい……」

ちゃんと教わった通りに作ったというのに何故か色んな味が出来上がってしまった
水を飲んで口の中の味を一旦リセットさせると、今度は悪魔のような悲鳴が聞こえてきそうなストロベリーサンデーに挑戦しようとしたときその器が後ろから伸びてきた手に取り上げられた

「これはやめておけ(なんでこのサンデーから悪魔の悲鳴が聞こえるんだ…)」
「ダンテさん!」

仕事から帰ってきたらしいダンテはたくさん作られたサンデーの山を見た
しかしどれも失敗しているのだこれにはさすがの彼も呆れているだろう、そう考えると自然と両目に涙が込み上げてくる

「ごめんなさいダンテさん…っ、私不器用だから……っ」
「泣くなよbaby…言っただろ?作ろうとしてくれるその心が嬉しいって」

流れる涙を指でぬぐってやりダンテは額にキスをすると、赤いコートを脱いでソファーに放り投げるとナナが買ってきた材料の入っている袋を漁り始める

「ダンテさん…?」
「一緒に作ろうぜ、俺も料理に関しては全然駄目だからうまくいかないかもしれねぇがな」
「……はいっ!」

ニコリと微笑むダンテにナナも満面の笑みを見せて一緒にサンデーを作り始める
何度も味見をしながら、ようやく出来上がった一つのストロベリーサンデー
材料もこれが最後だったのでどうか美味くできていることをナナは祈った
ダンテはスプーンを手にとってサンデーをすくうと口に含んだ
すると彼は目を細めてうまい、と感想を述べた

「本当ですか!?」
「あぁ…ほら食ってみな」
「はい!…………あ、ホント…おいしいです!!」

ようやくできたサンデーの味にナナは嬉しそうにダンテに微笑んだ
苺を手に取ったダンテは彼女の口に咥えさせるとそのまま口を塞いだ
自分の口の中で苺を砕くと舌を絡めながら彼女の口へと移す
唇が離されてダンテはニヤリと微笑んだ

「こうすれば…何倍もうまい、な…」
「っ…ダンテさんっ」
「今度からこうして毎日飯を食うか?そうすればどれだけ失敗した料理でも美味くなるかもな」

毎回食事のたびにこんなキスをされては自分がもたなくなる
ぶんぶんと顔を赤くさせながら首を横に振るナナにダンテは口の端を上げた





睦月様リクエスト夢です。不器用なヒロインちゃん…サンデーから悪魔の悲鳴が聞こえるようなの作ってしまうってある意味天才ですね笑。この後からヒロインちゃんは失敗したくない、失敗すればダンテさんとのキスが待ってる嫌じゃないけどあのキスを毎日してたらうわあああってなってるといいです。それで料理の腕が上がってるといいですね。まぁ腕が上がってもダンテはキスをやめませんが…
睦月様こんなのでよろしければ持って帰ってください!企画参加ありがとうございますっ!!
sugary
130405


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -