大丈夫、ちゃんと好きだよ


「……ということなんですけど隊長?」
「……」
「隊長!聞いてますか?」

机をバンッ!と大きく叩かれてどこかに飛んでいた意識がようやく戻ってきたのかクリスは咥えていた煙草を手に持ちピアーズを見上げた
その顔はえ、とどこか抜けたような顔だった。それを見たピアーズははぁ、と盛大にため息をついた

「隊長、ここ最近変ですよ…何かあったんですか?」
「その…何かあったというわけでもないんだが…」

煙草を灰皿に押し付けるとクリスはまたもため息をつく
そして彼は話すべきか迷ったのだがゆっくりと口を開いた

「ナナの事なんだが…」
「ナナ?あぁ……最近付き合いだしたんですよね?」

名前を聞いてピアーズはナナの顔を思い出した
BSAAでクリスのチームに所属する彼女はピアーズの後輩でもある、射撃の腕も抜群でチームには欠かせない存在だし、誰に対しても優しい。そんな彼女に惚れてクリスは1週間ほど前に想いを伝えて告白した。その結果今では付き合えているというのに何が問題なのだろうか?
その時ナナが書類を持ってクリスの部屋へと入ってきた

「失礼します…」
「ナナ」
「あの…隊長、これ書類です」
「あ、あぁありがとう」

書類をクリスに渡すナナなのだが彼と目を合わせようとしない
彼に渡し終えると彼女はそのまま部屋を出て行った
出て行ったと同時にクリスがため息をついた

「見ただろ?ナナは俺と目を合わせてくれないし、食事も一緒に食べてくれないんだ」
「は、はぁ…でも何でなんでしょうね?俺と話すときは目を合わせてくれますけど…」
「……やはり俺が上司だから、本当は好きでもないのに付き合ってくれてるんだろうか?」

ブツブツと暗い影を背負うクリスにピアーズはやれやれ、とため息をついた。これで一体何度目だろうか?とにかくこのままではクリスは仕事に集中してくれないだろうし早めに解決しなければならないだろう
クリスがナナに理由を聞こうとしてもきっと無理だろう、目も合わせてくれないのだから会話さえ無理だ。ここは自分が動くしかないとピアーズは部屋を出て行った


射撃場で的に何発か当てていたナナはふぅ、と息を吐いて銃を降ろした
そこにピアーズがやって来る

「相変わらず上手いな」
「ピアーズさん…!」
「ちょっといいか?」

近くにあったベンチに座るように彼が促せばナナは頷いてそのベンチに腰をかける
ピアーズも彼女に続いて同じように座ると単刀直入に聞くことにした

「ナナ…隊長と付き合ってるんだよな?」
「え!?あ、は、はい…」
「目も合わせてしゃべらないし、食事にも行かないって聞いたぞ…」
「それは……」

身体をもじもじとさせて顔を俯かせるナナ
やはりクリスの言うとおり上司の告白を断れなくて無理矢理付き合っているのだろうか?

「その……本当は好きじゃないのに隊長だからって理由で断れなかったのか?」
「そ、それは違いますっ!!!」

ピアーズの言葉に大きな声でナナは否定した
予想以上の大きな声にピアーズは驚いて目を丸めていた、その表情を見たナナも我に返るとす、すみませんと顔を赤くさせた
そして一度目を固く閉じながら話し始める

「その…驚いてるんです。ずっと好きだった隊長から告白されて…付き合えたことはすごく嬉しいんですけど……その隊長カッコよくて好きだとものすごい意識しちゃって恥ずかしくて…目も合わせられなくて……私、嫌で付き合ってるんじゃないです。隊長の事大好きです」
「……だそうですよ隊長」
「え?」

惚気じゃないか、と少々呆れていたピアーズがクリスを呼ぶ
するとどこから現れたのかクリスが後ろからナナを抱きしめた
突然現れた恋人に抱きしめられている事に気がついた彼女は驚いてクリスを見る

「た、隊長!!どこから聞いてたんですか?」
「最初から全部だ」
「〜〜〜っ!」

顔が更に真っ赤になり身体が熱くなるのが感じるとナナはクリスの手を振り払ってその場から走り出す
クリスももちろんその後を追いかけた
恥ずかしくて逃げ出すナナなのだがあっさりとクリスに捕まりそのまま逃げられないようにと壁際に両手をつかれてクリスの腕の中に閉じ込められてしまう

「ナナ…俺の目を見て好きだと言ってくれないか?」
「っ…い、言えません…っ」
「頼む…」
「あうっ…」

クリスの低い声にピクリとナナの体が反応する
こんなに迫られてしまって爆発してしまいそうだ、今目を開けてしまったらきっと逃れられない。しかし言わなければずっとこのままだ
ドキドキと心臓を鳴らしながら目をゆっくりと開けてみればクリスとバッチリと目が合ってしまった
クリスの目が細められてそのまま唇を塞がれた

「んんっ…!」

押さえつけられている為逃げる事などできない
舌も絡められてしまい苦い煙草の味を感じる、ようやく唇が離されて二人の間に糸が引かれる
ナナはそのまま崩れ落ちてしまった

「ナナ!?すまない…」

やりすぎたか、とクリスは胸を痛ませて彼女の膝の裏に手を伸ばして抱き上げる
またも恥ずかしいこの体制…その時クリスの横顔が見えた
彼は今こちらを向いていないからだろうじっくりと大好きな彼の横顔を見つめる
男らしくてとても逞しい顔つき…その横顔にキスをして彼の首筋に顔を埋めた

「……大好きです隊長」

これが彼女なりの精一杯の伝え方なのだろう、クリスは嬉しそうに目を細めた





みゆ様リクエスト夢です、クリスに壁ドンされる話でしたが上手くできているでしょうか?巷で流行の壁ドンは最高ですねっ!!両手で壁ドンされるのもいいですが片手で壁ドンされて見下ろされるのも堪りませんっ…!!
どうやら私はピアーズを絡ませるのが好きみたいです…
みゆ様こんなのでよろしければ持って帰ってやってください!今回は企画参加ありがとうございますっ!!
自慰
130403


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