うれしくて死んじゃうって


城の庭園で兵士たちの掛け声が聞こえる、それに合わせて振るわれる槍は見事に揃っている
うんうんと首を頷かせる李典は口の端をあげて微笑むと兵士たちに動きを止めるように声をかけた

「よーし今日はここまで!後は好きにしていいぞ」

それを聞いた兵士たちは李典に頭を下げてその場を去っていく
自分もそろそろ家へと戻るかと考えたときに後ろから声をかけられ振り向いてみれば楽進がそこに立っていた
どうやら彼は李典と手合わせをしたい様子で己の獲物を持っていた
気がついた李典はわかってはいるのだが理由を聞いてみる

「何か用か?」
「李典殿!もしよろしければ手合わせを願いたい」
「悪いけど他の奴当たってくれねぇか?俺兵士たちの訓練に付き合ってたから疲れてんだよな」
「も、申し訳ございません!」

慌てて頭を下げて謝る楽進に気にすんな、と声をかけて李典はその場を去っていくのだがどこか嬉しそうだった
本当は楽進との手合わせもできるほど体力は残っている、魏の立派な武将なのだから当然だ
しかし今日帰る時間を告げていた人物――なまえに会う為にどうしてもこの時間に帰りたかったのだ。なまえは李典の屋敷にいる女官で李典が思いを寄せる女性なのだ
たくさんアプローチをしているのだが彼女は気づいていないのか、恥ずかしがっているのかわからない状況だ
どちらにしろ今日は桃まんを用意して待ってると言ってくれたのでそれが非常に楽しみだった


「帰ったぞーって…あれ?」

屋敷に帰ってきた李典だがなまえの姿が見つからなかった
一体どこに行ってしまったのだろうか、と屋敷の中を一通り探すのだが彼女の姿が見つからない。入り口へと向かえば買い物から帰ってきたらしいなまえの姿が見えて李典はすぐに走り出した

「よぉなまえ!買い物行ってたのか?」
「李典様!…ごめんなさい桃まんの材料が足りなかったので…すぐに作りますね」
「……わざわざ買いに行かせて悪かったな、貸してみな」

なまえから材料の入った紙袋を受け取ってそそくさと歩いていく李典の後を彼女は慌てて追いかける
屋敷の主に荷物を持たせるなんて申し訳ない

「李典様!大丈夫です自分で持ちますから…!」
「気にすんなって、なまえに持たせるなんて俺の気が済まないからな…甘えてくれよ」
「っ…」

優しい李典の言葉になまえの頬は赤く染まる
その赤く染まった頬を見て李典は今日はいい予感がする、と勝手に思ってニヤニヤしていた
台所に材料を置いた李典はそのまま壁にもたれて準備するなまえの様子を見つめる
自分よりも小柄な彼女がせっせと動く様子がなんとも可愛らしい
彼がずっと立っていることに気がついたなまえは李典に声をかける

「李典様、できたらお呼びしますので部屋で待っていてください」
「いやここにいるよ……でもまぁ退屈だし眠くなってきたな」

ふわぁ、と大きなあくびをする彼になまえは材料を置いて彼の背中を押して歩く
向かう先は李典の私室だ
背中を押されていた李典だがくるりと向きを変えてなまえを床に座らせるとそのまま横になり頭を彼女の膝の上に乗せた
一瞬状況が理解できなかったのだが自分の膝の上に李典の頭が乗っていることに気がついて慌て始める

「り、李典様何して…!!」
「何って膝枕。俺が寝るまでこうしてること、これ命令な」
「命令って……桃まん作るのが遅くなりますよ?」
「別にいい、そんなの最初からどうでもよかったしな」

最後の方はボソリと呟いた李典はそのまま目を閉じる
遠慮がちに声をかけるのだが寝息が聞こえてなまえはため息をついた
頼りがいがあるがちょっとわがままな所もある、だけど惹かれている自分がいる
彼の額をそっと撫でてその上にキスを落とした

「好きです……李典様…」

自分のした行動になまえは顔を赤く染めた
この後すぐに狸寝入りをしていた李典にキスをされるまで後数秒だ



(ほらな、やっぱりいい予感がしたんだ)


愛子様リクエスト夢です、なんでもいいと来たので無双7でハマってしまった李典を書きました!初なので口調とかおかしいですが…ハマらないと思っていたのに…愛子様企画参加ありがとうございます!こんなのでよろしければもらってやってくださいー^^
sugary
130327


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -