片足だけの休日


久しぶりの承太郎とのデートに心を弾ませていたなまえ
学校では化粧ができないため休みの日は、せめて彼とのデートのときは綺麗に見せたい
しかし彼はあまり濃い化粧は好きではないと言っていたのであまりできないので結局はすっぴんに近い顔になってしまう
家のインターホンが鳴り鞄を持つとなまえは一目散に玄関へと向かい扉を開けると大好きな承太郎の姿、と先程まで晴れていたのに雨が降っている景色が写った

「…今降って来たぜ、遊園地は無理だな」
「そ、そんな…っ!!」

がっくりと肩を落とすなまえに承太郎はやれやれだ、とため息をつくと彼女の頭に自分の大きな手を乗せた

「…またいつでも行けるだろ遊園地ぐらい」
「……うん!」
「それより今日はどうする」

確かに雨が降ったときの場合どうするか考えていなかった
首を捻りながら考えていたなまえは何かを思いついたのか玄関の扉を先程よりも大きく開けた
何してるんだという感じで承太郎は彼女を見下ろすと照れくさそうにしながらなまえは小さな声で言った

「私の家で…過ごさない?」

それを聞くと承太郎は本人にはまったくその気はないのだろうが誘っていると取られても思われない彼女の行動にまた深くため息をついた

先に部屋で待っていて欲しいと言われて承太郎は恋人の部屋に初めて足を踏み入れた
女の子らしくピンク色で部屋が飾られているぬいぐるみなどもたくさん置いてあり一つ手に取るとなんとも不細工な顔をしている
これのどこが可愛いんだ?と承太郎は首を傾げて元の位置に戻す
そしてタンスの上に置いてあったいくつかの写真を見てくすっ、と笑ったときになまえが部屋に入ってきた

「ごめんねお茶持ってきたよ……って承太郎、タンスの中とか見てないでしょうね?」
「見てねぇよ、どうせ色気のねぇ下着ばっかだろうが」
「ひ、酷いっ!承太郎のばかっ!」

ポカポカと自分の体を叩いてくるなまえだが承太郎にとってみれば全然痛くない
そんな彼女の両手首を掴んで彼は唇が触れそうなぐらい顔を近づけた
それに気がついたなまえはふいっ、と顔を横に逸らす

「だ、駄目だよ承太郎」
「何でだ?俺を部屋に入れたってことは期待していいんだろ?」
「そ、そういうつもりで入れたんじゃ……んっ」

反抗しようとする唇はすぐに塞がれる
キスをしている間に承太郎はうっすらと目を開けて様子を見れば顔を真っ赤にさせて固く目を閉じているなまえの姿が映った
このまま彼女を押し倒せばぐずぐずと泣き出してしまうのだろう
やれやれだ、と承太郎は唇を離してそのまま床に座り込んだ
床に座り込んでしまった彼に声をかける

「何不思議そうな顔してんだ」
「だ、だって…あのまま…」
「あのまま何だ、抱いちまってもよかったのか?」
「!!」
「安心しろ……お前を泣かせたくねぇからな」

承太郎の優しい気遣いになまえは嬉しそうに微笑んだ
本当はあのキスの後に抱かれてしまうのではないかと内心ドキドキしていたから
胡坐をかいて座っている彼の上に乗りそのまま力強く抱きしめた
抱きしめてくる彼女を承太郎もまた抱きしめ返す

「…こういうことするんならヤるぞ」
「だ、駄目っ!!承太郎のえっち!ばか!嫌いっ!!」

慌ててなまえは承太郎の上から退くとそのままテレビの上に置いてあったDVDのパッケージを手に取り彼に見せる

「…承太郎が好きだって言ってた映画借りてきたの……一緒に観よう」

照れくさそうに言うなまえに承太郎は口の端を上げて嬉しそうに笑った
家でできる事なんて限られている、どこかに出かけるのもいいが
たまにはこうして二人でのんびりと過ごすのも悪くないかもしれない



(嫌いなんてよく言えたもんだ、タンスの上の写真俺ばかりじゃねぇか)


瑠璃様リクエスト夢です。お家デートだったのに…全然お家デートな話じゃなくてすみませんっ!!お家に誘われたんだからあわよくばみたいなオオカミ承太郎さんが書けて楽しかったり…あぁもう本当にごめんなさいっ!!こんなのでよければもらってやってください!!この度は250000企画にご参加頂きありがとうございますっ!!
誰そ彼
130326


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