愛を閉じ込めた檻


※MyBoss,MyDarling!設定です


TRICELL、その会社は就職活動している若者なら誰でも聞いたことがある会社だ
憧れの職場でありそこに面接に来る人間は後を絶たない
今日も今日でウェスカーは部下のクラウザーと数名の部下とともに志望して来た若者達の面接をしようやく終えたところだった

「ふん……何百人と来て数十名しか期待できるものはおらんな」
「女は秘書希望のようですな」
「秘書はいらん……」
「アルバートさん」

部屋の扉がノックされて入ってきたのは自分の妻のナナだった
面接を終えたということを聞いた彼女はコーヒーを持ってウェスカーの所へとやってきたのだ
それを見た彼はサングラスを外してため息をついた

「何故お前がやるんだ、他の者に任せればいい」
「ふふっ…何だか落ち着かなくて、もう貴方の秘書じゃないけれど」
「子供に何かあったらどうするんだ」

お腹が膨らんだ彼女の腹へとウェスカーは目をやる
あの日指輪を彼女に渡したと同時に告げられた妊娠……
最初は混乱していたが自分と彼女の間にできた愛する子は嬉しかった
早く生まれてきて欲しいとさえ思う

彼女が淹れてくれたコーヒーを飲みながらウェスカーは自分の腕時計に目をやった

「ナナ、そろそろ病院に行く時間だろう。支度しろ」
「え、あ…はい」

ナナも壁にかかっている時計を見てもうこんな時間なのか、と少々驚きながら支度を始める
壁にかかっている上着を着てウェスカーに背中を支えられながら会社を出た



* * *

「順調に育ってますよ、今のところ何の問題もありません」

検査を終えて医者に告げられた言葉に二人は安心していた
医者はカルテから目を離すと二人に目を細めて微笑んでから口を開いた

「性別もわかったのですが…聞きますか?」
「え…わ、私は聞きたいです!アルバートさんは!?」

興奮して自分を見上げる妻にウェスカーは口の端を上げて返す
それは聞いてもいいという彼の返しだったのだ
ナナは嬉しそうに笑うと再び医者へと目をやる

「どうやら男の子のようですよ」
「男の子……」

二人の間に生まれるのは長男……
お腹を擦りながらナナは男の子か、としみじみとなった
きっと夫に似て強く逞しい男の子に育ってくれるに違いない



「男の子かぁ……」

病院から帰宅したナナは嬉しそうに呟いた
元気で生まれてきてくれれば男でも女でもどちらでもよかった
性別がわかってから名前をつけるのや服を買うのが楽しみになってきた
ソファーでウキウキしている彼女の横にウェスカーがやってくる

「男か……」
「えぇ、きっとアルバートさんに似ますよ。せっかくだから今度のお休みに色々と買いに行きませんか?」
「…気が早いんじゃないか?まぁいいが」

ワクワクしている彼女に駄目だなんて言えなかった
ウェスカーは彼女の腕を掴んで自分の方へと引き寄せた、引き寄せられたナナはそのままウェスカーの胸の中へと収まる

「…子供もいいが、今は俺に構え」
「…ぁっ…!」

首筋を撫でられて小さく声を上げる彼女の唇をウェスカーは塞いだ
妊娠してからは夫婦の営みも控えている、その上彼女は子供ばかりの話をするのだから…
唇が離されて潤んだ瞳でナナはウェスカーを見つめる

「アルバートさん……」
「そんな目で見つめるな…襲うぞ」
「駄目です、この子が生まれるまでは…」
「生まれてからならいいんだな?」

ナナの言葉にウェスカーはニヤリと笑った
頬を赤く染めた彼女が首を横に振るのだがすでに遅かった

「子供が産まれたら腰が砕けるほど愛してやる」





双我様リクエスト、長編連載でのウェスカーが生存していたら…です。相変わらず彼は社長として忙しい日々を毎日送っているだろうなーと、そして秘書はやめたけれど相変わらずヒロインは秘書のような事をしてるといいです。仕事場では厳しいけれど愛する妻には優しい旦那さんっていいですよね〜
企画参加してくださりありがとうございました!!
恋人
130115


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