眠れない夜に数える羊


目の前で母親が死にナナはボロボロと涙を零しながらすでに動かない体を揺すり続ける。その時背後に気配を感じて見てみれば大好きな父親の姿。その父親に縋り付こうとするのだが手を振り払われてしまい姿を消してしまった


「っ…!?」

ベッドから慌てて身体を起こしたナナは周りを見渡す
そこは何も変わらない自分の部屋だった。安心したのか涙を零すと父親に買ってもらった大きなくまのぬいぐるみを抱きしめて再びベッドの中にもぐりこんだ
その様子を見ていた悪魔は口の端を上げて笑っていた


* * *

「ナイトメアだ?」

自分の机の上に行儀悪く足を乗せて雑誌を読んでいたダンテがその名前を呟いて目の前にいるレディを見た
彼女はコクリと頷いて口を開く

「そう、その悪魔がね。人に嫌な夢を見せさせて散々追い詰めて殺すんですって…眠れなくて困るから退治してくれってうるさくって…」
「それでどうしろってんだ?寝て待ってりゃいいのか?なら俺は大歓迎だぜ」
「馬鹿ね、寝たふりなんかしても来ないわよ。本当に"寝ないと"ね……」

厄介な悪魔もいたものだ、とダンテは舌打ちをした

「どうしたのナナ、全然食べてないじゃない」

ふとソファーに座っていたパティからの声にダンテもレディもそちらを見た
パティの横に座っているナナは彼女が用意してくれたサンドイッチの乗った皿にまったく手をつけていなかった
レディもソファーに近づくとパティの反対側に座って彼女に優しく声をかける

「ナナの好きなフルーツサンドじゃない、お腹でも痛いの?」
「…ううん、ただ…食べたくないの」
「どうしたんだナナ」

娘の様子が気になってダンテも近づいてくる
彼がナナに手を伸ばしたとき夢の中で見た映像を思い出してしまい、思わず手を振り払ってしまった。その衝撃で床にフルーツサンドが落ちた

「!!」
「ぁ…ご、ごめんなさい…」
「あ、ちょっと…ナナ!?」

ナナはソファーから降りて走り出すと急いで2階の自分の部屋へと向かった
3人は呆然としながら彼女の背中を見送る

「ちょっとダンテ!ナナの様子が変だわ、何か覚えないの?」
「……」
「あらあら…娘の反抗期にショックみたいね」

レディはくすくすと笑うのだがダンテは事務所の窓の外を睨みつけた
しかし彼が見つめる方向には何もない、ダンテはため息をつくと二人に帰るように言って事務所から追い出した
2階に上がっていたナナは自分の部屋の窓からレディとパティが帰っていく姿を見つめながら涙を流した

「レディさん…パティおねえちゃん…」

二人が帰ったのを見送ったダンテは先程レディが置いていった書類に目を通した

「ナイトメア……か」


* * *

ダンテと一緒に風呂に入って上がるとナナはタオルで頭を拭きながら夜が来たことに気分が落ち込んでいた
今日もまた嫌な夢を見るのだろう、眠りたくないあんな夢を見るぐらいなら
上半身裸で頭を拭いているダンテの横を通って小さくおやすみなさい、と父親に告げると彼女は部屋へと上がっていく
先に部屋へと上がっていった娘を見つめながら彼も同じように部屋に上がった

「おとーさん?」
「なぁナナ…今夜は久しぶりに俺と寝ないか?」
「え…!?」

俺の部屋で寝よう、とダンテは娘に手を差し伸べた。しかしナナは首を横に振る

「いい…一人で寝れるもん」
「…目の下にクマ作ってるのにか?お前寝れないんだろ……何があったのか話してくれねぇか?」
「……」
「……迷惑だって思ってるんならその考えは捨てろ。俺はお前の父親だ、娘の悩みを面倒だなんて思っちゃいねぇよ」
「おとーさん……」

ナナはちょこちょこと駆け寄ってしゃがんで両手を広げてくれているダンテの胸に飛び込んで力強く抱きついた
彼はそのまま娘を抱き上げると自分の部屋へと移動してベッドの上に彼女を寝かせた
ベッドに寝かせても自分の胸に引っ付いてくる娘の小さな頭を撫でながら優しく声をかけた

「怖い夢でも見たのか?」
「……うん、おかーさんが死んじゃっておとーさんもナナの事置いてどっかいっちゃうの」
「……くだらねぇ夢だな。そんなことあるわけねぇだろ」
「……うん」
「大丈夫だナナ、俺を信じろ。今夜からはいい夢が見られるぜ…おやすみ」

頭を撫でられて眠りについたナナにダンテは微笑むとベッドから抜け出して部屋を出る
そして事務所の一階に降りると口を開いた

「おい、いるんだろ」

ダンテの声に呼ばれて一匹の悪魔が姿を現した
この悪魔がレディが言っていたナイトメアに間違いないだろう、そしてナナに手を出していたのもこの悪魔だ

「ヒヒヒッ…ダンテぇ…スパーダの息子。泣けるねぇ…娘にあんな約束しちゃって」
「そうだろ?俺はあいつの前ではいい父親でありたいんでな……悪いがお前には死んでもらうぜ」
「ざけんじゃねぇええぇええっっ!!お前も今日から悪夢に悩まされるんだよぉおおおおっっっ!!!!」

ナイトメアがダンテに襲い掛かってくるのだが彼は目にも見えないスピードで移動して悪魔の額に銃を押し付けた
ダンテを見つけることができなかった事にナイトメアは驚いて動けなくなっていた、気づけば額に銃を押し付けられている
ダンテは鋭い瞳でナイトメアを睨みつけた

「馬鹿だなお前も…最初から俺に手を出しておけばよかったんだ。ナナに手を出したんだ、覚悟しろよ」

額を打ち抜かれてナイトメアは消えてしまった
やれやれだ、とダンテはため息をついて再び自分の部屋へと上がっていく
さっきのあの悪魔の声で起きていないだろうか、とベッドの中を覗き込んだのだがナナはすやすやと寝ているようだった、気のせいかうっすら微笑んでいるようにも見える
その顔を見てダンテもふっ、と笑うとベッドにもぐりこんで目を閉じた





奏様リクエストアニダン夢でしたー!!まず今回ヒロインちゃん全然しゃべってなくてすみません…っ!後悪魔の名前もそのまんまで…せめてアニダンだけでもかっこよく…そして娘思いの父親で書いたつもりですがちゃんと答えられているでしょうか?何はともあれこんなのでよろしければもらってやってくださいませー!!
エトワール
130111


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