カラメル絡める舌先で嘯いた
※Daling is the Devil設定ヒロインです
「Trick or Treat!」
街中に響き渡るこの声に喜ぶ者もいれば苦笑する人だっているだろう
ナナもさきほど買ったお菓子をすでにいくつか取られてしまった、渡さないといたずらされても困るので仕方なかった
しかし事務所へと続く道へと入れば声をかけられることはなくなった
さすがにハロウィンといえどもここの道まで入ってくる人はいないようだった
「ただいま戻りまし、た……」
「おかえり」
事務所の扉を開けてナナは瞳を丸くさせた
中で待っていた夫でもあるダンテがいつもの赤いコートではなく、黒い衣装を身につけていたからだ。よく見ればコスプレだ
一体何のコスプレだろうか?というよりこんな衣装を持っていたのか
じっくりと見ているとダンテが両手を広げた
「どうだ?似合ってるか」
「えっ、と…どうしたんですこれ」
「前に話したろ?トリッシュって奴が持ってきたんだよ」
ダンテの相棒というのは聞いたことがあった、しかし気まぐれな人物らしくてなかなか姿を現さない。ナナも一度は会ってみたいと思っているのだが
(ダンテさんって何でも似合うんだなぁ…)
改めて彼の姿を見ればかっこいいとしか言いようがない、今気がついた
どうやら彼の格好はヴァンパイアらしい
じっと見続けるナナにダンテがニヤリと笑えば牙が見えた、そんな所までしっかりとやっているとは
「惚れ直したか?」
「ぅ……」
「お前も喜ぶだろうと思って着たんだが…正解だったみたいだな」
「……はい、とっても似合ってて素敵ですよ。ダンテさん」
頬を赤く染めて照れながら言うナナをダンテは抱きしめた
「Trick or Treat」
耳元で突然低く囁かれて身体をビクリとさせた
思い出したようにナナは手に持っていたお菓子をダンテに差し出す
だがダンテはそれを受け取るとテーブルの上に放り投げ、ナナをそのままソファーの上に押し倒した
「ダ、ダンテさんっ!」
「悪いがクッキーやキャンディーはいらないんだ。俺が欲しい"お菓子"はナナだからな」
「そ、そんなのずるいです…っ!ひあっ!」
反抗するナナの喉元にキスをしてそのまま舌を這わせ牙で軽く甘噛みしてやれば大人しくなる
「ナナ、いいだろ?お前が欲しいんだ」
最後に低く名前を呼んで囁いてやればいい
彼女はこれにとても弱いのだ
ナナも観念したかのようにコクリ、と頷いた
カラメル絡める舌先で嘯いた
エトワール
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