フルーツタルトレットと少女の甘い約束


DevilMayCryと大きく書かれた看板の前に一台の車が止まっている。その車はここの事務所の主のものではない、彼にいつも仕事を持ってくる男の物だった
その車を避けて一人の少女が事務所へと入っていく

「久しぶり!ダンテ!モリソン!」
「おや、パティじゃないか!元気にしてたか?」
「えぇ!もちろんよ!」

再会を喜ぶ二人だがダンテは不機嫌そうにビリヤード台に座っていた
そんな彼の様子に気がついたパティが声をかける

「ダンテどうしたの?」
「そこの男が仕事持ってきやがったんだ」
「あらいいことじゃない」
「たくっ…なんで"今日に限って"…」
「え?何かあるの?」

パティが尋ねるのだがダンテは答えない、するとモリソンがパティの耳元でそっと囁いた

「いや、実はな…アイツの娘が今日帰って来るんだよ。久しぶりの再会を邪魔されて拗ねてるんだ」
「なるほど……ってええええぇえええ!!?ダンテ子供いたのっ!!!?」

大きな声で叫ぶパティだがダンテは相変わらず答えない、そしてピンを置くと壁にかけてあるコートを羽織り始める
そんな彼の元へとパティは詰め寄る

「子供がいたってどうして教えてくれなかったの!?」
「聞かなかっただろ、お前」
「結婚してたなんて聞いてないし…その上子供までいたなんて…」
「ちょうどいい。お前俺が仕事に行ってる間に掃除しといてくれ…後ナナが来たら数時間で帰るとも伝えといてくれ」
「え……ちょ、ちょっとダンテ!!」

ダンテは言う事だけ言うとさっさと事務所を出て行く、モリソンに苦笑されてパティは思い切りダンテの背中に向けて舌を出した


* * *

「まったく…またピザばっかり食べてるのね」

詰まれたピザの箱を見つめながらパティは頬を膨らます。自分がいた頃は毎日掃除していたのでここまで汚くならなかったのだが…

「ダンテの子供っていくつなのかしら?毎日掃除させられる運命になって可哀想ね」
「ダンテ!いるー?」

その時事務所にトリッシュと小さな女の子が入ってきた。トリッシュはサングラスを外して掃除をしていたパティに気がついた

「あら?ダンテはどうしたのかしら」
「仕事だって、数時間で帰るって言ってたけど」
「そう…残念ねナナ。ダンテは今いないって」

トリッシュと手を繋いでいる小さな女の子――それがナナだった
パティは目を丸くしてナナを見つめていた。どうやら彼女がダンテの娘らしいのだが自分が想像していたよりも小さな女の子で意外だったのだ
ダンテがいないということを聞いてナナは寂しそうな顔をした

「おとーさんがいないんなら…ここにいたくない。トリッシュさんといっしょがいい」
「すぐに帰ってくるわよ、それに一人じゃないわ…このお姉さんが一緒にいてくれるしね」
「え…あ、う、うん!」

トリッシュに肩を叩かれてパティは返事をする、ナナはパティをじーっと見つめた
くすっ、とトリッシュは笑うとナナの手を離して事務所を出て行く

「私は仕事があるから、その子の事お願いね」
「うん…いってらっしゃい」

トリッシュを見送って残されたパティとナナだがそのまま沈黙状態になる
空気の重さに耐えられなくなったパティは心配そうな顔をしているナナへと向き手を差し出した

「え、と…初めまして私パティ・ローエルよ、よろしくね」
「……ナナ、よろしくパティおねえちゃん…」

差し出された手を小さな手が握る、パティが微笑んでやればナナも安心したのか少しだけ微笑んだ
自己紹介が終わった所でパティは再び掃除を始めようとほうきを持ち出した

「じゃあ私これから掃除するから適当にくつろいでてね」
「ナナもいっしょにやる!」
「え…?あ、うんいいけど…」

ナナはさっそく踏み台を持ってくると埃と指紋で汚れた窓を雑巾で拭き始める
まだ彼女は4歳かそのぐらいだと思うのだが、あのぐらいの年齢の子で自ら掃除したいと言うのは珍しい。じっと見ていたパティは我に返って掃除を始める

「まぁ…父親があんなにだらしなかったら子供がしっかりしてくるものよね」

窓を拭き終えたナナはダンテのテーブルの下へと入り込んだ
そして数分後出てきたのだが彼女の顔は埃まみれで顔が真っ黒に汚れていた
それでも掃除を再び始めようとするのだがパティはくすっ、と笑ってナナの元へと近づき綺麗なタオルで彼女の顔を拭いてやる

「ほら可愛い顔が汚れてるわ、拭いてあげるからじっとしてて」
「ん」

目を固く閉じるナナ、ぞうきんで拭いてやれば汚れも取れて綺麗な顔になる
ゆっくりと目を開けたナナがパティを見つめる。アイスブルーの瞳はやはりダンテを思い出させる、そして彼女がダンテの娘であるということも……

「そうだ、ストロベリーサンデーは好き?作ってあげようか」
「だいすき!!」
「ふふっ、やっぱりダンテの娘ね!じゃあ休憩しましょ」

飛び上がって喜ぶナナの姿にパティはくすくすと笑った


* * *

ストロベリーサンデーを作ってもらったナナは赤いソファーに座ってそれを食べる
彼女が食べている間にパティは掃除を進めていた、ナナの協力もあってか今日はいつもよりも早く終わりそうだった
その時事務所の扉が開かれてダンテが帰ってきた、彼の姿に気がついたナナはスプーンを置いて走り出す

「おとうさん!!」
「おぅナナ」

ダンテがしゃがんで両手を広げてやればナナは彼の胸に飛び込んだ
久しぶりに娘を抱きしめる感触に彼は目を細める、ナナも嬉しそうに彼の胸に頬を擦りつけた

「いい子にしてたか?」
「うんっ!今日はおねえちゃんといっしょにそうじしたのっ!後ねストロベリーサンデーもつくってくれたっ!!」
「そうか…よかったな」

ナナに微笑んでダンテはそのまま彼女を抱き上げるとパティの元へと近づく

「礼を言うぜ、パティ。お礼にピザでもどうだ?」
「いらないわよっ、お母さんが待ってるんだから……けど、また遊びに来てもいいかな?」
「あぁ大歓迎だ。こいつの遊び相手にもいいしな」

ダンテに微笑まれてパティも同じように微笑み返した





奏様リクエストパティとの友情夢でしたが…友情になっているのか…リク通りになっていなかったらすみませんっ!!一応娘が事情があってダンテと離れていたのは、ダンテがギャングを滅ぼしたんだけど生き残りがいてその連中が娘に目をつけることを考えたダンテはトリッシュに自分が生き残りの連中を片付けるまで預かって欲しいと頼んだのです。で、連中を片付けて娘を迎えにいこうとしたけれどそこでパティの依頼(アニメ第1話)が入って先延ばしになってしまった…という感じです……
奏様!リクエストありがとうございます!こんなのでよければもらってやってくださいませっ!!

エトワール
120925


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