溺愛セプテッド


「いいだろ、もう帰っていい」
「ありがとうございます。隊長」

書類をチェックしたウェスカーはナナにそう告げた
書類を受け取った彼女は自分の席に戻らずにまだその場にいた
それに気づいたウェスカーがちらり、と視線をやる

「まだ何か用か?」
「あ…えっと…その…」

何か言いたそうな様子で言葉を濁すナナ
言葉を待っているウェスカーだが後ろからジルが声をかけてきた

「ナナ、仕事終わったんでしょ?これから飲みに行かない?」
「ジル…えっと…」

ナナはそっと、ウェスカーの方を見た
だが彼はすでにナナから視線を外しており自身のパソコンと向き合っていた
それに気づいた彼女は少し寂しそうな顔をしたがジルの誘いに応じて部屋を出て行った



数時間後
ようやく仕事を終えたウェスカーは戸締りをしていた。そしてふと外では雪が降っていることに気がついた

(道理で寒い訳だ…)

暗闇の中に降る雪を見つめた後、ウェスカーは部屋の明かりを消して外に出た
自分の車に乗り警察署を出てすぐの所でウェスカーは車を止めた
そしてある人物を見つけてため息をつくと彼は車を降りてそちらに近づいた

「そんな所で何をしているんだ?」
「あ…」

そこにいたのは先ほどジルと飲みに行ったはずのナナがいた
彼女はしゃがんでいたのだがウェスカーの姿に気がついてすぐに立ち上がりまた回答に困っていた

「ジルたちと飲みに行ったんじゃなかったのか?」
「それは…断りました」
「何故だ」

ウェスカーは彼女が答えるまで待った

「たい……アルバートと一緒に帰りたかったから」
「……ずっと待っていたのか?」

こくり、とナナは頷いた
ウェスカーはため息をつくと自分の上着を脱いで彼女に着せる
そしてそのまま車の方へと誘導した

「え…」
「着ていろ、風邪を引かれたら困る」

ウェスカーの優しい気遣いに胸がいっぱいになり彼の上着をぎゅ、と握り締めた
そして車はそのまま彼の家へと走り出した





ウェスカーってホント難しいなぁ…甘夢になっているか心配ですが、この後ウェスカーは彼女のために温かい物買ってあげてるといいな、チトセ様今回は企画参加ありがとうございます!
淑女
111126


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