らぶゆー、きすみー


あの戦いから数ヶ月の月日が流れた


「そんじゃあ、行って来るぜナナ」
「いってらっしゃい、アル」

笑顔で見送るナナ、彼女はあの戦いの後アルヴィンと暮らしている
仕事に行くアルヴィンの為に毎朝お弁当を作り毎朝こうして笑顔で見送ってくれる
夫婦みたいだが、二人の関係はまだ恋人止まり…だが

「ナナ…ん」

アルヴィンがいってらっしゃいのキスをしてほしいという意味で唇を尖らしてみる
だがナナはそれに気づくとすぐに家の扉を閉めた

「……付き合ってるんだからキスぐらいしてくれてもいいのにねぇ」

今日も彼女がキスをしてくれないことにアルヴィンは残念そうに眉を下げた
ナナは恋人同士であるのに何故かキスをしてくれない、最後にしたのはいつだったか?付き合い始めてすぐぐらいだったような気がする。考えてみればそこからキスをしていない。何故かしてくれなくなったのだ


****

「照れてるのか?いやいやまさかもう一緒に暮らして数ヶ月経つのにそれはねぇか、じゃあ原因はなんなんだ…?」
「アルヴィン?」

ジュードがぶつぶつと独り言を言っているアルヴィンの顔を覗き込んだ、その周りではエリーゼやローエンもアルヴィンに視線が集まっていた

「どうしたの?何か悩み事?」
「いや…べつにおたくらには関係ない話さ」
「ナナのこと…ですか?」

エリーゼに自分が悩んでいたことを付かれてしまい、ローエンもなるほど、と頷いた
やはりかつて一緒に戦った仲間たちには隠すことなどできなかった
アルヴィンは重たい口を開いて事情を説明した
しかしジュードとエリーゼは顔を赤くしてしまい何も答えることができない、アルヴィンは二人の顔を見てため息をついた

「ジュード君とエリーゼ姫には今の話でも刺激的なわけ?」
「キス…だなんて僕は…したことないし…」

ジュードはもじもじしながら答えた、エリーゼに抱かれていたティポがわかったーと声を上げてアルヴィンに近づく

「アルヴィンくん、ナナに何か嫌われるようなことしたんだろー!」
「はぁ!?」
「だってキスしてくれないなんて原因があるに決まってるじゃん!アルヴィンくんは乱暴ものだしねー!」
「んな訳ねぇだろ!俺はナナを大事にしてるんだぜ!変な事言うんじゃねぇーよ」
「いたたたた!」

ティポの頬を抓って左右に引っ張るアルヴィンにエリーゼが悲鳴を上げる
ティポを離してやるとローエンが今度は口を開いた

「アルヴィンさん、やはりここはナナさんに理由を聞くのが一番ではないですか?」

彼女に直接聞く方が原因が早く見つかってアルヴィンも仕事に集中できるのではないか?と、ローエンの言葉にアルヴィンは頷いた

「…答えてくれるかねぇ」
「大丈夫、自信を持って聞きなさい」

ありがとよ、とアルヴィンは片手を上げてその場を去った



「ただいま」
「おかえりなさい!」

家に帰ればナナは笑顔で迎えてくれる、よしもう一度試してみようとアルヴィンは少しかがんでキスをねだってみる。が、やはりいつもと同じでナナは顔を逸らした

「今日はフルーツやきそばを作ったんだよ」
「なぁナナ」
「ん?」
「俺…お前に何か嫌われるようなことしたか?」

アルヴィンの言葉にナナはえ?と不思議そうな顔をする、そしてすぐに首を横に振った

「そんな訳ないだろ?何かあるんだろ?」
「どうしてそんな事言うの?」
「じゃあなんでキスしてくれねぇんだよ」

少しイラついた様な口調でアルヴィンは聞いた、ナナは顔を赤くしてだって、と小さく言った。アルヴィンは彼女の両肩を掴んだ

「だって…なんだよ?」
「…バランが」
「え」
「バランがアルにキスばかりしてたら死ぬって」
「は?」

思わず間抜けな声を出して体が固まってしまったアルヴィン

数日前にバランに会った、ナナを紹介しに。どうやらその時にバランがナナに余計なことを吹き込んだようだった
「アルフレドは寂しがりやだからね、君のことばかり考えすぎて仕事に集中できなくて死ぬかもしれない」と言われたのだそうだ。純粋なナナは信じてしまったのだろう

「それに…狼にもなるって言われたわ」

それは否定しないでおこう、俺だって男だからね
そりゃ好きな女と一緒に暮らしてたらキスだけじゃ満足できねぇしな

「ナナ…俺、簡単には死なねぇから」
「アル…」
「だからその…なんだ、ナナの事好きだし…キスぐらいして欲しいわけよ。つーか、もう我慢できねぇわ」

そう言って俺は数ヶ月ぶりにナナの唇を塞いだ、しばらくキスしていなかったせいかすぐに離してはやらなかった。苦しそうにしているけれどキスさせてくれなかったバランのバカな話を信じていたお前が悪い

「ナナ姫、わかった?俺がこんなにも大好きだってこと」
「うん…ごめんねアル」

ナナが謝った後離してやろうとしたら今度はナナからキスをしてきた
突然の事に俺が目を丸くしていたらナナは言った

「なんだかアルにキスしたらもっとしたくなっちゃった…」

甘えた声で言うものだから俺の中の何かが吹き飛んだ、そう理性というやつだ
すぐにナナを抱き上げた。驚きの声を上げる彼女に言ってやった

「バランの話で一つだけ正解なのがある…なんだと思う?」
「なに…?」
「狼になるってやつだ」

アルヴィンはニヤリと笑うとそのまま寝室へと連れて行った



(アルヴィン、キスしてもらえたの?)
(ジュードくん…キスどころか俺狼になっちゃったよ)
(え!?何それ?どういうこと!?)



***
愛子ちゃんリクエストのアルヴィン甘夢ですが…なんだか甘くなくてごめんなさい!!後口調が難しくてアルになってたらいいんだけど…天然なヒロインでバランに吹き込まれたことはなんでも信じてる子だといいよ。バランはアルをいじめるのが好きだといいなw今回は企画参加ありがとうございましたー!またいつでも遊びに来てください!
sugary
111123


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