手作りが一番気持ちが伝わるよね


「おじゃましまーす!」
「徐倫!チョコ買ってきたぞー」


【手作りが一番気持ちが伝わるよね】


玄関から聞こえた親友の声に徐倫の膝の上に座っていたナナが立ち上がると同じように徐倫も立ち上がって玄関へと向かった
入り口へ行けばコートを脱ぎだしたエルメェスと材料の入った袋を持ったFFがいたのだ

「ありがとー!二人とも」
「いいって、じゃあさっそく作るか」
「じょりーんなにするの?」

3人の後を着いて行きながらナナは声をかける
すると徐倫はくるっと振り返ってニヤリと笑った

「ほら今日はバレンタインでしょ?女の子が好きな男の子にチョコを渡す日なのよ」
「ばれんたいん……」
「ナナも作るか、兄貴たちにでも渡してやれよ」
「うん!やるっ!!」

エルメェスの提案に彼女はにこりと笑った
さっそくナナ用のエプロンを引き出しから取ってきた徐倫は彼女に渡す
着る事はできるのだが後ろで縛る事がまだできないので徐倫が結んでやる

「はい」
「ありがとーじょりーん」
「ところでナナは誰にやるんだ?好きな男いるのか?」

ニヤニヤしながら聞いて来るFFにナナはうーんと考え込んだ
まず家族の男達には全員やる。そして近所のジョルノやジャイロにもやる予定だ

「その辺でいいでしょ、じゃあ始めましょ」
「おー!!」

チョコレートをバラバラに切り刻む作業を隣で見つめるナナ
様子を見ている妹に徐倫はふっ、と笑った
瞳をキラキラと輝かせているので彼女も作業がしたいのだろ

「じょりーんナナもそれやりたい」
「包丁は危ないわよ……やれやれ、じゃああたしの手を握ってて」

自分の体の間にナナを入れて包丁を握らせるとその上から徐倫の大きな手に握られてゆっくりと刻んでいく
二人の様子を見ていたエルメェスが口を開いた

「姉妹のはずなんだけどなぁ…そうして見てみると親子みてぇだな」
「えぇ!?変な事言わないでよ」
「じょりーんはおねえちゃんだよ」
「ねー」

意気投合する二人にエルメェスはため息をついた
チョコレートを刻み終えるとボールの中にアーモンドと一緒に混ぜ込んだ

「あたしはアナスイにあげるけど、二人はどうするわけ?」
「あー…あたしはグロリアにあげるよ。いつもありがとうってな」
「あたしは誰もいないや〜だから徐倫とナナにあげる」
「ナナもFFおねえちゃんにあげるっ!!」

FFに高い高いをしてもらいながらナナは嬉しそうに声を上げていた


* * *

数時間後綺麗にラッピングをしてもらったナナは一つ一つそれを手に取り自分専用のポシェットに入れる

「ここであいつらに渡せばいいじゃない」
「や、ナナがいちばんにあげるの」
「ただいまー!」

噂をすればさっそくジョースター家の男達が帰ってきたらしい
ナナは笑顔になって急いでキッチンを飛び出して玄関へと向かった
だが大きな紙袋を持った兄達を見て不思議そうに目を見開いた

「今年もたくさんもらっちゃったね」
「おい承太郎、おめーいくつよ?今年は俺のが多かったりしてなぁ!」
「くだらねぇ…」
「…おかえり」

遠慮がちに声をかけてきたナナの方にみんなが一斉に振り向いた
ジョセフは彼女を抱き上げてただいま、と返事を返した

「おうただいまナナちゃ〜ん!ちゃんといい子で留守番してたか?」
「……ジョセフ、そのふくろなに?」
「ん?あぁこれか…喜べナナ、これ全部バレンタインチョコだ!!兄ちゃんモテモテだろー!?」
「ちょこ…!?」

兄達それぞれの大きな袋にチョコレートが入っているというのか
しかも量もすごくて自分には到底及ばない

「これどうすんだ」
「んー…しばらくチョコレートがご飯とか?」
「ジョナ…それマジっすか」
「とりあえず消化してかなきゃいけねぇんだ!適当に一つ選んで「だめっ!!」

ジョセフの足にナナがしがみついた
周りの兄弟達も驚いたように彼女を見下ろした

「じょせふそれいちばんにたべちゃだめ…」
「え?何でだ?」
「ナナもじょりーんとちょこつくったの…みんなのぶんもあるんだよ…いちばんにたべてくれなきゃ、や」

愛用のポシェットから徐倫にラッピングしてもらったチョコレートを兄弟たちに渡す
承太郎は袋を破ると一口口に含んだ

「…うまいぜ」
「じょうたろ!」
「おぉー!今まで食べた中で一番ッスよ!!」

承太郎と仗助はナナの小さな頭を撫でてやる、ジョナサンもジョニィもおいしいよと優しく微笑んでやった
それを見ていたジョセフは手に持っていたチョコレートを投げ捨てるとナナのチョコレートをすぐに口に含んだ

「おおおおおおぉぉおおっっ!!!なんだー!?この伝説的な美味さはっ!!!」
「じょせふ!?」

ジョセフの反応の仕方に他の兄弟は大げさだ、と笑っていた
驚いているナナをジョセフは抱き上げた

「お前最高だよナナちゃんっ!兄ちゃん今までこんなに美味いチョコレート食べたの初めてだぜ!!」
「ほんと?ナナがいちばん?」
「当たり前じゃねぇか!!兄ちゃんはナナちゃんが大好きだからなっ!!!」
「ナナもじょせふだいすきー!!」

ちゅう、と口付けする二人に他の兄弟は更にチョコレートが甘くなったような気がしたのであった


130212


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