可愛い子にはあげたくなっちゃうよね


「はい、これでいいわよ」

最後に帽子を被せられてなまえは鏡に映る自分の姿を見てニコリと微笑んだ


【可愛い子にはあげたくなっちゃうよね】


今日はハロウィンだ、なまえは知り合いにお菓子を貰いに行くために仮装をすることになった
徐倫に着せられた格好は魔女の姿だった、とんがり帽子がまた可愛らしい
ジョナサンもやってきてなまえの目線に合わせるようにしゃがんだ

「いいかい、お菓子をもらったらちゃんとお礼を言うんだよ」
「うんっ!」
「大丈夫よジョナ、なまえはちゃんとその辺はできるわ」

ねー、と徐倫はなまえに首を傾げてやれば同じように真似をしてねー、と返す
ジョナサンは仲のよい姉妹の光景に微笑みカボチャの形をした鞄をなまえに渡す、それを受け取った彼女はさっそく部屋を飛び出していく
まず彼女が先に行ったのは兄達がいる部屋だった、突然入ってきたなまえの姿に兄達は目を見開いた

「なまえか…ビックリしたー」
「おやぁ〜可愛い魔女ちゃんが来たなぁ〜」
「とりっくおあとりーと!」

驚くジョニィ、ニヤニヤしながらジョセフが近づいてきたので彼に向かってなまえは両手を差し出す
漫画を読んでいた仗助はキャンディーを彼女の小さな手に乗せてやる、すると瞳を輝かせて鞄に入れると彼に抱きついた

「虫歯にならねぇように気をつけろよ」
「妹思いの兄ちゃんもやるぜ、ほらよっ」
「はいなまえ」

ジョセフもジョニィも彼女の鞄にキャンディーを入れてやる、するとなまえはそれぞれの兄達に抱きついてお礼を言うとまた部屋を出て行く
次に彼女が向かったのは縁側で煙草を吸っていた承太郎の所だ、近づいてくる足音に気がついた彼がそちらを見た

「とりっくおあとりーと!」
「…あぁハロウィンか…」

両手を差し出す妹に煙がいかないように吐き出すと、承太郎はクッキーとキャンディーを彼女に上げた

「じょうたろ!」
「…今回だけは特別だ」
「ありがと!」

なまえはお礼を言うとまた走り出して今度は外へと向かう、彼はその姿を見つめながらやれやれだぜ、と呟いた
次に彼女が向かったのはツェペリ家だ、めんどくさそうな顔をしながらジャイロが出てきた

「んだよぉーお前さんかよ」
「じゃいろ!とりっくおあとりーと!!」

なまえの言葉を聞いて今日はハロウィンか、とジャイロは納得した
そして頭をボリボリと掻きながらしっしっ、と手を振った

「おたくにやる菓子はねぇの、さっさと帰りな」

そのまま家の中へ戻ろうとしたジャイロだが、彼の前になまえが立ちふさがった
両手を広げて力強く彼を見つめている

「……何やってんだおたく」
「じゃいろがかえれないようにいたずらしてるの」
「は……それがいたずらか?」

コクリと頷くなまえにジャイロは思わず噴出してしまった
確かに困らせるようないたずらだが、簡単に彼女を押しのけてしまえる
彼はポケットからお菓子を取り出して彼女に渡してやる

「チーズ入りのクッキーだ、お前さんに特別にやるよ」
「ありがとジャイロ!!」

笑顔でお礼を言うと再び彼女は出て行く

次に彼女がやってきたのはブランドー家だ
どうやらなまえが来る事は予想していたのかジョルノがすでに待っていた
彼の姿を見つけて胸に飛び込む

「いらっしゃいなまえ、待ってましたよ」
「じょるの!とりっくおあとりーと!」
「貴様にやる菓子などない!」

突然聞こえた声に二人はそちらを振り向く、ジョルノは不機嫌そうな顔をして眉間に皺を寄せた
ジョルノの父親でもあるディオがこちらにやって来た

「小娘!ジョルノにやる菓子しかないのだ!さっさと帰れ」
「無視していいですよなまえ、僕がなまえの為に買ってきたお菓子があるんです。持って帰ってくださいね」
「ジョルノ!やるなといっているだろう!」
「あなたは黙っていて下さい」

ジョルノの言葉にディオは黙り込む
しかし彼は考えていた

ここでいつもは引いている私だが…今日は引かんぞ!こんな小娘に可愛い息子を取られて堪るかっ!!
ジョルノよ…泣くかもしれんがこれも父の愛だ…わかってくれ!

「ザ・ワールド!!!」

ディオはスタンドを出して時を止めた
ジョルノもなまえも時間を止められた為動かなくなる、ディオは大きな笑い声を上げた

「ふはははっ!さすがの息子も私のスタンドには敵うまい!このまま小娘を引き剥がして……!!?」

ジョルノの体に触れようとした瞬間ディオは動きを止めた
当然息子の彼にもスタンドがある、そのスタンドが時が止まっている空間のはずなのに顔を動かしてディオの方を見たのだ

「オ前ハなまえニ菓子ヲヤラズ、ジョルノノ邪魔ヲシヨウトシテイルソノ真実ニ辿リツクコト決シテナイ」
「な、なんだとっ!!?」

これがジョルノのスタンドなのか!?いや、落ち着け…私のほうが優位のはずだっ…!!
ここでビビッてどうするのだっ!!一生息子に舐められたままでいいのか!?

「私ニ攻撃ヲ加エレバ、息子ヲ愛ストイウ真実ニモ辿リツケナクナル」
「……!!」



「小娘よ」
「でぃおおじちゃん?」
「……やる」

なまえの鞄の中に大量のお菓子を入れてやりディオはその場を立ち去った
たくさんのお菓子になまえは満面の笑みを浮かべた

「じょるの!でぃおおじちゃんやさしいねっ!いっぱいくれた!」
「よかったですねなまえ、けど僕のを一番に食べてくださいね」
「うんっ!」


ハロウィンの話のはずが最後はギャグになってしまった
121030



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