女の嫉妬は怖いよね
「もしもし康一くん?私…由花子よ」
『あ、由花子さん今晩は!どうしたの?』
「あの…明日もしよかったら一緒にどこか出かけたいなって…思って」
『あー……ごめんね、明日は仗助くんたちと川に遊びに行くんだ』
「え!?」
『ごめんね…じゃあ明日早いから寝るね』
「こ、康一くん!!」
そこで電話を切られてしまった
由花子は怒りで髪の毛をゆらゆらと動かしていた
【女の嫉妬は怖いよね】
駅から少し離れた場所にその川はあった
なんでも仗助たちの秘密の場所だそうで、人はあまりいないのだった
浮き輪を持ったなまえは目を輝かせていた
「じょーすけ!はやくはいろっ!!」
「まぁ慌てるなって、てか俺から絶対に離れるんじゃないぜ」
「うん!」
そう言っている側からなまえは駆け出して川へと入っていく
やれやれと苦笑して仗助は見ていた
億泰も待ちきれないと言った様子で同じように川へと入って行った
仗助も川に入ろうとしたときに康一の様子がおかしい事に気がついた
「どうしたよ康一」
「うん…昨日由花子さんからデートの誘いがあったんだけど…今日の事もあったし断ったんだ。けど…なんか悪い予感がするんだ」
「大丈夫だって!ここの場所はあんまり知られてねぇんだ、今日は楽しもうぜ!」
胸を張って言う仗助
その時遠くからなまえが二人に声をかける
「じょーすけ!こーいちくん!はやくおよごーよ!!」
「おーし!今行くぜっ!!」
「……まぁいっか!」
楽しんで川に入る4人
その姿を見つめている女が一人いた
「仗助、あっちまで競争しねぇか?」
「お、いいな!康一、悪いけどなまえの事頼んだぜ」
「うん、気をつけてね」
仗助と億泰が競争しに行ったので二人は残った
浮き輪をつけてパチャパチャと泳ぐなまえを見る康一、何だか一生懸命でとても可愛らしく自然と頬が緩む
「なまえちゃん僕の手に捕まって、引っ張ってあげるよ」
「ありがとー」
康一の手を握って引っ張ってもらうなまえ
その様子を見ていた女―由花子は拳をワナワナと震わせていた
「な、誰なのあの子…!あたしの康一くんの手を握って二人で泳ぐなんて…あたしでさえ一緒に泳いだことないのにっ!!」
悔しそうに唇を噛む由花子は我慢できなくなって二人の元へと急いだ
誰かの気配を感じた康一はそちらを見て目を見開いた
「ゆ、由花子さんっ!?どうしてここに!?」
「決まってるじゃない朝からずっとつけてたのよ…それよりその子誰よ」
「こーいちくんのおともだち?」
「お友達じゃないわっ!!恋人よっ!!その手を離しなさいよっ!!!」
由花子に怒鳴られてなまえは身体をビクリとさせた
そして今にも泣き出しそうな顔をして康一に抱きついた
「こーいちくんこわい…」
「ちょっと!抱きつかないでよっ!!!」
「由花子さんやめてくださいっ!!なまえちゃんが怯えてるよ!!」
とうとう川の中にまで入ってきた由花子は康一からなまえを引き離そうとした
浮き輪をつけた彼女は康一の手を離れてしまう
そして由花子は康一に詰め寄った
「康一くん!どうして嘘をついたの!?本当は仗助たちと川へ行くんじゃなくてあの子と川で遊ぶ予定だったんでしょ!?あたしがいるのに…他の女の事遊ぶなんてっ!!」
「違うよ由花子さん!あの子は仗助くんの妹なんだよっ!仗助くんと億泰くんが今競争しに行ってて…」
「あれ?由花子??」
競争を終えた仗助と億泰が由花子の姿を見て驚いていた
由花子も二人が現れて本当だったのか、と落ち着きを取り戻した
「おい康一、なまえちゃんはどうしたんだよ?」
「え?そこにいるんじゃ…」
4人が辺りを見渡すがなまえの姿が何処にもなかった
その時4人の背筋が凍りついた、最悪の事態が思い浮かんだからだ
由花子はハッとなった。もしかしてさっきの怒りで髪の毛が彼女の浮き輪に刺さって溺れてしまったのかもしれない
「康一!!おめー何してたんだよっ!!由花子とイチャついてたのかっ!?」
「ぼ、僕は…」
「やめろって仗助、俺らだって目を離してたのが悪いんだからよっ!」
「……悪い、康一」
冷静さを取り戻して仗助は億泰と共になまえを探す
康一は落ち込んだ
「どうしよう…僕のせいだ……」
「……康一くん、あなたのせいじゃないわ。私が勘違いしたのが悪いのよ」
由花子はそう言って康一を励ますと更に川へと入っていく
最後に彼女を見たのはこの辺だ、溺れてからそんなに時間は経っていないはず
スタンド能力を使って髪の毛で川の底を探す
すると何か引っかかったので引き上げてみるとなまえだった
仗助はすぐになまえに人工呼吸をしてやると彼女はすぐに息を吹き返した
「じょーすけ……」
「なまえ…よかったー…心配したぜ」
「…うぇえええぇぇっっ!!」
安心したのかなまえは泣き出して仗助にしがみついた
* * *
川へ遊びに行ってから数日後
家の前で遊んでいたなまえの元へ由花子が現れた
この間の彼女の怒った顔を思い出したのかなまえは警戒していた
「その…この間はごめんなさいね、私大人げなかったわ…」
「……ゆかこちゃんこーいちくんがだいすきなの?」
「……えぇとっても大切な人よ」
「なまえもねこーいちくんだいすきだよ、だからゆかこちゃんもだいすき」
えへへ、と笑うなまえに由花子は胸が熱くなった
なまえの小さな頭を撫でて彼女はそのまま立ち去っていった
由花子さん登場ww
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