小さい時に離れるのは難しいよね


「うええええぇぇぇっっ!!!」

みんなが寝静まっている深夜に響き渡る大きな鳴き声にジョナサンは目を覚ました


【小さい時に離れるのは難しいよね】


「なまえ?どうかしたのかい?」

部屋の明かりをつけて隣に寝ている妹に優しく声をかける
しかしなまえは声に答えずずっと泣きじゃくっている
様子がおかしい事に気がついたジョナサンは小さな額に手を当てて目を見開いた

「酷い熱だ…すぐに病院に連れて行かないと…!」

ジョナサンはすぐに着替えてなまえに上着を着せる
異変に気がついたジョセフと承太郎もやってきて一緒に病院に行くことになった


* * *

病院に着いてその日夜勤で入っていたジャイロにすぐに診察してもらった

「酷い熱だな…まぁ注射打ったからすぐに下がるだろ」
「よかった…」
「今日は念のため病院で寝てもらうけどな…後は俺に任せておたくらは帰りな」
「あぁ、頼んだぜジャイロ」

承太郎はそう言うとジョナサンとジョセフの背中を押して部屋を出て行こうとした
その時なまえが瞳を開けて3人の兄の背中に向けて手を伸ばす

「じょな…じょせふ、じょたろ…どこいくの?」
「なまえ!」

妹の弱弱しい声を聞いてジョセフはすぐに駆け寄って小さな手を握った
一生懸命に体を起こそうとするのをジャイロが抑える

「なまえ…お前は病気なんだ、今日1日はここで寝るんだ」
「いや…おうちかえる…じょせふここにいて」
「…明日朝一番に来てやるから、な?」
「いやいや…おうちかえるの、みんなといっしょがいいっ!」

立ち上がってベッドから降りようとするなまえをジャイロが抱き上げた
そして3人に向かって言った

「さぁ、さっさと帰りな」
「あ、あぁ」
「いやあああぁぁ!なまえもおうちかえるのっ!!じゃろはなしてーっ!!」

大声で泣き叫んで暴れるなまえをかわいそうな目で見つめながらも3人の兄は帰っていく
3歳のなまえにとっては置いていかれたことにショックを受けた
ジャイロは再び彼女をベッドに寝かせた

「まだ熱があるんだから大人しく寝てろよ」
「じゃろおうちかえりたいぃぃっ〜びょーいんいやああぁぁ〜」
「明日になりゃ熱も下がる、そしたら家に帰れる。だからもう寝ろよ…俺はもう行くぜ」
「いやあああぁぁっ!!じゃろここにいてっ!いっしょにねてぇぇぇ〜」

必死に泣き叫んでジャイロにしがみつくなまえ
彼ももちろん頼みを聞いて上げられるなら聞いてあげたいのだが仕事がある
なまえにばかり構っていられないのだ

「まいったな…」
「どうかなさったんですか?」

なまえの大きな鳴き声を聞きつけて一人の看護婦が入ってきた
知らない人間に気がついたなまえは泣き止んでジャイロの後ろに隠れる
看護婦はそのままベッドに近づくと優しく微笑んだ

「ジャイロ先生、ここは私に任せて下さい」
「あ、あぁ…頼んだぜエリナ」
「じゃあななまえ、ちゃんと寝て良くなれよ」

大きな手で頭を撫でられてジャイロは部屋を出て行った
出て行った方向を見つめて不安そうな瞳をするなまえ
エリナはそんな彼女に優しく話しかけた

「なまえ…って言うの?」
「……」
「私はエリナ、よろしくねなまえ」

握手をしようと手を出してくるエリナの手をなまえはおずおずと握り返した
側においてあった絵本を手に取ると読んであげるわ、とエリナは言った
それに瞳を明るくさせたなまえは布団に入って横になった

エリナの優しく読み聞かせるような声になまえも楽しく聞くことができた
そして彼女がいい人だとわかるとすっかり甘えるようになった

「どう?眠れそう?」
「えりなおねーちゃん、えほんよんでくれてありがと」
「ふふっ、どういたしまして」
「じょなもね、えほんよんでくれるの。えりなおねーちゃんみたいにやさしいの」
「…そう、いいお兄さんね」

ジョナサンの姿を思い浮かべてエリナは目を細めた

「さぁ、もう寝ましょう…明日には良くなるわ」
「うん…おやすみなさい」

なまえは二コリと微笑むとそのまま目を閉じた

次の日にはすっかりと体調が良くなり家に無事に帰る事ができた



おちびちゃんが3歳頃のお話です
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