悪い男は認めません


街の中をちょこちょこと走り回っているなまえ
そんな彼女に大きな影が迫ってきていた


【悪い男は認めません】


角を曲がったとき1台の大きなバイクがなまえに向かってきていた
彼女がそちらを向いてバイクの姿を確認したがその大きさに驚いて逃げようとしたのだがその場にこけてしまった
バイクに乗っていた人物もなまえの姿を確認して間一髪でよけ、バイクを止めるとすぐに降りて来た

「悪ィ…大丈夫か?お嬢ちゃん」

なまえの脇の下に手を入れて立ち上がらせると男は顔を覗きこんだ
すると彼女はニコリと微笑んだ

「だいじょうぶだよ!なまえなかなかったよ?えらい?」
「……ハハッ!そうだな、いいこだ」

よしよし、と頭を撫でてやる
だが彼女の膝からは血が出ているのは事実、男はなまえを抱き上げてバイクに乗せるとそのまま走り去る


* * * *

「消毒するぞーちょっとしみるけど我慢しろよ?」
「いたいのいやー」
「ちょっとだけだ…いい子なんだろ?」

消毒液をつけれやればなまえは「ひっ!」と小さな声を上げた
そのままバンドエイドを貼ってやり頭を撫でてやればすぐにまた笑顔になった

「ほらこれで大丈夫だ」
「ありがとーおにいちゃん」
「家はどこだ?送ってやるぜ「裕ちゃーん!!」

その時向こうから制服をだらしなく着た3人の女たちが近づいてきた
裕ちゃんと呼ばれた男は3人に向かって両手を広げてやればすぐに女たちは彼の胸へと飛び込んだ

「裕ちゃん何してんのー!?」
「これから遊びに行かない!?」
「悪ぃなお前ら、先にあのお嬢さんを送ってやらないとならねぇーんだ」

指を指された方向にバイクにちょこんと座っているなまえがこちらを見ていた
女達はすぐになまえを取り囲んだ

「何この子!?」
「裕ちゃんの妹ー!?」
「ちげぇよ…ちょっとあってな…お前らその子知らないか?」
「知るわけないじゃーん、子供なんて興味ないしー」
「……だよな」

女達はまた連絡頂戴ね、と言うとその場を去っていく
やれやれと言った様子でエンジンをかけてバイクに跨った
するとなまえは顔を上げて口を開いた

「おねえちゃんたちはゆうちゃんのともだち?」
「あー?友達じゃねぇよ、俺の取り巻きの女達だ」
「とりまき?とりまきってなに?」
「……んなことよりよぉーお前家どこなんだよ?」
「あっち」

正面に指を指すなまえにまたもため息をついた
そして彼女の服の匂いを嗅いでバイクを走らせた



「なぁ仗助!これから暇だしよぉゲーセンに行かねぇか?」
「お、いいな!行くかー」

学校からの帰宅中の仗助と億泰と康一の3人組がいた
本当に好きだな、と康一が思っていると1台のバイクが通り過ぎた。それを見た康一は大声を上げた

「あ!仗助くん!!今の見た!?」
「あー?どうしたんだよ康一?」
「墳上裕也のバイクになまえちゃんが乗ってたよ!!」
「何!!?墳上のバイクに!?」

それを聞いた仗助はすぐに近くに止めてあったバイクを奪って走らせる
億泰と康一もすぐに後を追いかけた

ミラーを見たなまえは仗助の姿を見つけて笑顔になるとすぐに墳上に知らせた

「ゆうちゃん!じょーすけがいる!」
「あぁ?仗助だぁ?」
「てめー!!墳上!!なまえを返せーーっ!!!!」
「なんか勘違いしてねぇか!?アイツ…」

殴られるのは勘弁だと墳上はバイクをすぐに止めた
追いついた仗助はすぐにバイクから降りると墳上の前に座っていたなまえを抱き上げた

「なまえ無事か!?こいつに何もされてねぇか!?」
「じょーすけ!」
「仗助…その子の知り合いか?」
「こいつは俺の妹だよ!おめぇこそ何でなまえをバイクに乗せてたんだよ!」
「ちゃんと説明してやるから構えるのはやめろって!!」

スタンドを出す仗助に墳上はこれまでの経緯を説明した
それを聞いた仗助はすぐに理解した

「そっか…なまえ、ちゃんと周りを見て歩けよ」
「うん!」
「……後、墳上にお礼いっとけよ」
「ゆうちゃんありがとう」

頭を下げてお礼を言うなまえに墳上は頭を撫でてやる
そしてバイクに跨ってエンジンをかけるともう一度なまえを見た

「じゃあななまえ」
「ゆうちゃん…なまえゆうちゃんのとりまきになる!」
「はぁ!?」

なまえの発言に驚いたように声を上げた仗助
それを聞いた墳上は大きな声で笑った

「10年早いぜ…って言いたいところだが、特別に俺のとり巻きにしてやってもいいぜ」
「やったー!」
「喜んでんじゃねぇッスよ!なまえ!俺は許さないからなっ!!!」

バイクで走り去る墳上にいつまでも手を振り続けるなまえだった


(なまえ!アイツのとり巻きなんて絶対ダメだからなっ!)
(や、なまえゆうちゃんのとりまきになるの)
(…億泰くん、これどうなってるのかな?)
(さっぱりわかんねぇーよ)



裕ちゃん登場
120529


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