くだらないことが一番の幸せ
「何よ!アナスイの馬鹿!!」
「ま、待ってくれ徐倫!!」
【くだらないことが一番の幸せ】
アナスイの家から走って帰ってきた徐倫は帰ってくるなり自分の部屋に引きこもった
そして携帯を取り出して電話をかける
『もしもし?徐倫か?』
「聞いてよエルメェス!あたしアナスイと別れるから!!」
『はぁ?いきなり何言ってんだよ徐倫、落ち着けって』
「だって…だってぇええっ!!」
『今FFとカフェにいるんだよ、話聞いてやるから来いよ』
話を聞いてくれるという親友に返事をして電話を切った
そして携帯をしまうと、部屋の扉を開けて覗き込んでいた幼い妹と目が合った
「なまえ…」
「じょりーんどうしたの?おなかいたいの?」
「…ううん、何でもないのよ」
心配してくれる妹に徐倫は微笑むと抱き寄せてキスをした
そして家の中から誰の声も聞こえないことに気がついた
「あんた…今一人なの?」
「じょなはね、でぃおおじちゃんのところにかいらんばんまわしにいったの、すぐかえってくるっていってた」
しかしすぐ帰ってくるはずが帰ってきていない
恐らくディオに絡まれていてなかなか帰ることができないのだろう
徐倫はなまえの手を引いて部屋を出た
「メモ残しておくから…一緒にカフェに行きましょ、退屈でしょ?」
「いく!」
****
カフェに着けば親友2人がこっち、と手を振ってくれた
徐倫はなまえの手を引いて二人の場所に向かった
「ごめん…遅くなって」
「いいって…なまえも一緒か」
「家に誰もいなくてね」
「久しぶりだなーなまえ」
ガシガシ、とFFはなまえの小さな頭を撫でた。そしてそのまま2人で一緒にメニューを見る、こう見えてFFは子守が上手かったりするのだ
エルメェスが話を切り出した
「んで?アナスイと何があったんだよ」
「エルメェス……あんたお姉ちゃんが男に裏切られたらどう思う?」
「はぁ?」
「どう思うのよ!?」
グイッ、と顔を近づけられてエルメェスは焦ったが「許せない」と一言返した
すると徐倫はぶわっ、と涙を流した
「そうよ!許せないわよね!?大事な人が傷つけられたら…そいつの事ブチのめしたいわよね!!」
「そりゃ例えだろ!?今のじゃわかんねぇよ…何があったんだよ徐倫!」
「アナスイの馬鹿馬鹿!!絶対に許さないんだからああぁぁっ!!」
大声で泣き出す徐倫を周りの客も何事かと見る
エルメェスも周りの視線を確認して徐倫を慰める
「アナスイの奴、徐倫に何をしたんだー?」
「さぁわかんねぇ…けどよっぽどの事があったんだろうな」
「じょりーん」
「なまえ…!」
徐倫の頭をよしよし、となまえの小さな手が撫でる
慰めてくれる優しい妹を徐倫はガバッと抱きしめた
「なまえ!あんたってなんて優しい妹なの…!自慢の妹よ!!」
「じょりーんもじまんのおねえちゃんだよ」
「ジョリーーーーーーーーン!!!!!」
遠くから声が聞こえた、なんとアナスイがそこにいたのだ
徐倫はきっと睨んだ後顔を横にそらした
「よかった、ここにいたんだな」
「何よアナスイ!顔も見たくないわ、帰ってよ」
「待ってくれ徐倫!俺には君が必要なんだ…帰れなんて言わないでくれ。俺が本当に悪かったよ、この通りだ!!」
頭を下げるアナスイにエルメェスが口を開いた
「何があったか知らないけど…アナスイがここまで謝ってるんだ。許してやったら?」
「……次はないからね、アナスイ」
「ああぁっ!!徐倫!!!」
ガシッとアナスイは徐倫を抱きしめた
なまえも一緒に抱きしめられた状態になり、状況がわからない彼女はとりあえずアナスイにも抱きついた
一件落着したことでエルメェスとアナスイはやれやれといった表情で二人を見ていた
「徐倫…これ同じの買ってきたよ」
「…チョコレートケーキ!!!」
「「!?」」
「勝手に食べてごめんな…もう食べないから」
「もういいのよ、ありがとうアナスイ」
「……おーい…お前らもしかしてケンカの原因って…」
「…俺がついチョコレートケーキの誘惑に負けて食べたんだ、徐倫が楽しみにしてたのに…っ!」
「……」
「まぁ仲直りしたんだし…よかったじゃん2人とも」
FFはそう言って笑って言った。エルメェスはその日一番の大きなため息を吐いた
****
「あなしー」
「なまえちゃん…!」
「じょりーんもうなかしちゃだめだよ」
「あぁ約束するよ!」
アナスイは抱き上げてなまえの頬にキスをした
だが次の瞬間、なまえが腕の中から消えていたのだ
「あ、あれ?」
「…アナスイ」
「!!承太郎さん!?」
「アナスイ…てめぇ徐倫だけじゃなくなまえにも手を出すとはな……」
「ま、待ってください違うんです!!」
「アンタは関係ないでしょ!!」
ぎゃあぎゃあと騒ぎ出す3人にエルメェスはさすがに付き合いきれなくなりFFをつれてその場を去った
エルメェスとFF初登場です
アナスイと徐倫はくだらないことでケンカして幸せに過ごしてるカップルでいいよ
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