この世で恥ずかしいのは嘘つくことだ


午前8時
カーテンから漏れる日の光でなまえは目を覚ました
うーんと猫のように体を伸ばしてすぐに異変に気がついた


【この世で恥ずかしいのは嘘つくことだ】


「あ……」

なまえは自分の布団のシーツが濡れていることに気がついた
そうおねしょをしてしまったのだ。夕べ兄たちから眠る前に飲み物を飲みすぎるなと注意されたのに彼らに内緒でジュースを飲んでいたのだ
怒られてしまう…特に承太郎に怒られることを想像してしまいなまえはシーツを取り出すと近くのタンスの中に隠した

「おー起きたかなまえ」
「!じょせふ!」

急に入ってきたのでなまえは驚いてタンスに背を向ける
それを見たジョセフがニヤリと笑った

「なんだよそんな驚いた顔をして……そこに何か隠したって感じだな〜?」
「なんにもないよ!じょせふあっちいって!」
「おいおい兄ちゃんに隠し事か…さてはお前またなんか拾ってきたなー?」
「何してるんだい?ジョセフ」

部屋にジョナサンが入ってきた
なまえはジョナサンの姿を見て更にドキッと心臓が鳴った

「いや…なんかなまえの様子が変だからよ〜」
「変?具合でも悪いのかい?」
「なんか隠してるんだよなぁーコイツ」
「なまえなんにもかくしてないよ!じょせふのいじわる!」

両手をじたばたさせてジョセフに訴えるなまえ
そんな様子にジョナサンは落ち着かせるように優しく頭をなでた

「ジョセフ…なまえがこう言ってるんだからそれ以上はやめよう」
「はいはい、わかったよ」
「なまえはやましいことしていないんだ。僕は信じるよ」

ジョナサンの優しい微笑みになまえは胸が痛んだ



数時間後
なまえはぶらぶらと外を歩きながら一つの教会にたどり着いた
中に入り神の像の前で両手を組んで祈り始める
その様子を見ていた一人の男が声をかける

「君のような小さい子供がお祈りかい?」
「!だれ…?」
「あぁ失礼…私はプッチだ。ここの教会の神父をしている」
「しんぷさま…」

なまえはそれを聞くと再び両手を合わせて祈り始める
プッチは再び声をかけた

「願い事しにきたのかい?」
「…ううん、なまえかみさまにあやまりにきたの」
「謝りに…?どうしてだい?」
「……うそついたから」

祈るのをやめたなまえはもじもじしながらプッチに言う
プッチはそれを聞くと近くにあった椅子に座り、その横に座るようになまえに言った

「よかったら話してみてくれないか?もちろん君が今から話すことは誰にも言わないと神に誓うよ」
「ほんと…?しんぷさまぜったいいわないでね!」
「あぁ…さぁ話してごらん」

プッチの微笑みになまえは安心して話し始めた
夕べ兄たちに内緒でジュースを飲んだこと、そしてそれが原因で今朝おねしょをしたこと…そしてそのシーツをタンスに隠して兄たちには何もないと嘘をついたと

「君にとってこの世で恥ずかしいことはなんだと思う?」
「?」
「おねしょをしたことだろうか?君にとっては恥ずかしいことかもしれないな……だがもっとも恥ずかしいのは嘘をつくことだ。嘘をつかれたことに気づかされた人間は悲しむ者もいれば怒る者もいる…そして嘘をついた人間は周りから信頼されなくなる」

難しい顔をするなまえにプッチは言い方を変えようと思った

「兄たちからいい子だと思われたいだろ?」
「うん」
「悪い子だと思われると好きなものを買ってくれなくなるかもしれない…嘘をつくとそういう目にあう……こういう言い方なら理解してもらえたかな?」
「わるいこだめ!あとうそつくのもだめ!」

なまえはプッチに言うとプッチはそうだ、と微笑んだ
そして彼女を入り口まで見送る

「ちゃんと帰って兄に正直に話しなさい。そうすれば君はいい子でいられる」
「ありがとーしんぷさま!!」




帰宅後
なまえはジョナサンを部屋に呼んだ

「どうしたんだい?」
「あのね…じょな」

言いにくそうに話してなまえはタンスからシーツを取り出す
そして広げてみればおねしょの後があった

「きのうじゅーすのんだの…そしたらあさおねしょしちゃった……ごめんなさいじょな」
「……どうして今まで黙ってたのに言う気になったんだい?」
「……うそつくのははずかしいことだから」

なまえの言葉を聴いてジョナサンは優しく微笑んで頭を撫でた

「えらいねなまえ」
「どうして?じょななまえをおこらないの?」
「嘘をついてたのに正直に言うのは勇気がいるんだよ…怒られるかもしれないのにちゃんと言おうとしたのはどうして?」

聞かれてなまえ今朝のジョナサンの顔を思い出した
嘘をついていた自分を信じてくれていた兄の優しい顔を……

「じょなの…かなしいかおみたくなかったから…っ」
「優しいねなまえは……おいで」

泣き出したなまえをジョナサンは優しく抱きしめた




おちびちゃんの心が成長した日、プッチが初で口調やキャラが掴めなくてどうしような感じでした…
111026


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