心配で堪らないんです


ピピピッ…

「計り終わったみたいだね」
「どれどれ〜?」


【心配で堪らないんです】



「37.8度…風引いたみたいだね承太郎」
「あぁ…」

承太郎は咳き込みながらジョナサンに答える
ジョセフは側にあったタオルを濡らして絞るとそのまま彼の額の上に乗せた

「承太郎が風引くなんて珍しいな〜おとなしくいい子で寝てるんですよー」
「…うるせぇ、さっさと出て行け」

ジョナサンとジョセフは立ち上がって部屋から出ていく、その時こちらの様子を伺っていたなまえと目があった

「どうしたんだい?」
「…じょうたろしんじゃうの?」

なまえの言葉にジョナサンとジョセフは目を丸めたがジョセフは笑いながらなまえを抱き上げた

「バカだなーなまえ。承太郎はちょっと熱が出ただけなんだよ、あいつならすぐに元気になるぜ」
「ほんと?じょうたろしんじゃったりしない!?」
「大丈夫だよなまえ」

ジョナサンも安心させるように優しく頭を撫でた
去っていく足音を聞きながら承太郎はやれやれ、と目を閉じた

しかし数十分後
額に誰かが手を乗せているのを感じて承太郎は目を開けた

「なまえ…?」
「じょうたろ!げんきになった!?」
「…数十分でなるわけねぇーだろ、お前ここで何してんだ?」
「じょうたろがげんきになるまでそばにいるの!」
「駄目だ。出て行け」
「や」

なまえは頬を膨らまして寝ている承太郎の身体に引っ付く
承太郎は体を起こしてなまえを引き離すと声を出して誰かを呼ぶ

「おい!誰かいねぇか!」
「どうしたんスか〜?」
「仗助、なまえを部屋から出せ」

承太郎はなまえを抱き上げて仗助に渡す
するとなまえは両手両足をばたつかせて必死に抵抗する

「やー!じょうたろのそばにいるのー!!」
「承太郎さんの風うつったらヤバイだろー俺が遊んでやるから」
「じょーすけ!はなしてー!うぁあああぁんっ!!」

大声で泣き叫びながらも部屋から連れていく仗助
承太郎はまた布団をかけなおして横になった
だが再びバタバタとこちらに向かって走ってくる足音が聞こえる

「じょうたろ!」
「………」

承太郎はニコニコと笑いながら引っ付く妹にため息をついた

「…本気で怒られたいのか?なまえ」
「……や」
「だったらわかるだろ?部屋から出て行け」
「……じょうたろしんじゃったらいやだもん」

なまえは泣きそうな顔をしながら承太郎に引っ付く
父親も母親も亡くなって、それ以来なまえは家族をこれ以上失うのが嫌なのだろう
承太郎はなまえの頭を撫でた

「風引いただけだって言ってんだろーが…これぐらいで死なねぇよ」
「ほんと…?」
「あぁ…それよりもお前の方がまだ身体が弱いんだ。俺の風邪がうつって悪化したら危ねぇ……俺だってなまえに死んで欲しくねぇ…だから部屋から出ていってくれ」

承太郎の言葉になまえは頷いた
いい子だ、と承太郎は微笑むと背中を押して部屋の外へと出す
なまえはこちらを振り向いた

「じょうたろ…はやくげんきになってね。げんきになったらなまえといっぱいあそんでね」
「あぁ…」

承太郎は応えてやりなまえが部屋から出ていったのを確認すると目を閉じた



次の日の朝
承太郎の熱はすっかり下がっていた

「おはよう承太郎、もう大丈夫なのかい?」
「あぁ…」
「じょうたろ!」

なまえは承太郎の姿を確認すると嬉しそうに駆け寄ってきて彼の足にしがみつく

「じょうたろ!げんきになったの!?」
「あぁ…おかげさんでな」
「よかった…」

なまえは承太郎の返事を聞いて嬉しそうに微笑む
そして彼に向けて両手を広げた

「なんだ?」
「じょうたろ…だっこ」
「……やれやれだぜ」

承太郎はふ、と笑うとしゃがみこんでなまえに向けて両手を広げた
するとなまえはすぐに彼の胸に飛び込んで抱きついた

この日なまえは承太郎から離れなかった、夕食もお風呂も一緒に過ごした

そしてその日の夜

「おいなまえ…いつまで引っ付いてるつもりだ?」

承太郎の部屋に行き一緒に布団に入り、彼にひっついて離れない

「や、じょうたろとねんねする!」
「やれやれ…今日だけだぜ」
「おやすみなさいじょうたろ」

なまえは承太郎におやすみのキスを唇にして目を閉じた
承太郎は同じようになまえの額にキスをして目を閉じた



おやすみのキスは承太郎はおちびちゃんだけには唯一してあげてるといいなー
110905


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