これもきっと今だけ



「承太郎お風呂沸いたよ」
「…あぁ、じゃあ先に入るぜ」
「あ、そうだ入るついでに頼みがあるんだ」





【これもきっと今だけ】





「頼みってなんだ?」
「なまえも一緒に入れてあげてくれないかな」


ジョナサンからの頼みを聞いて承太郎は頷いた
そうと決まればさっさとあの妹を見つけて風呂に入れなくてはならない
声が聞こえる方に行けばそこになまえはいた
ジョセフや仗助たちと一緒に遊んでいた


「ほらもう少しで完成するぞ!」
「頑張れッスなまえ」
「う〜んここにもはまらないよ…」


パズルをして遊んでいたらしい
後3つほどでピースのすべてが埋まり完成しそうなのだ


「なまえ」
「じょうたろう!」
「風呂に入るぞ、続きは後でしろ」
「…や、これおわってから」


なまえは承太郎に断って再びパズルに目を戻す
承太郎はピクリ、と眉を寄せたがジョセフがまぁまぁ、と宥める


「後ちょっとで完成なんだし待てって、ここで無理やり連れていっても泣き叫ぶぜ」
「……チッ、早く終わらせろ」
「なまえハマったな!後ちょっとだぜ」
「えへへ…これがこうで……あ!これでぜんぶだ!やったー!かんせいしたー!!」


パズルが無事に完成してなまえは嬉しそうに声を上げた
そしてそのパズルを持ってどこかに行こうとするが承太郎が服をつかんで止める


「おい…どこに行く気だ」
「じょなとじょりーんとじょにぃにみせにいくの!」
「駄目だ…さっさと風呂に入るぞ」
「なまえ、今は風呂に入って来いよ。じゃないと承太郎がプッツンするぜ〜」
「…はぁーい…」


パズルのボードを仗助に渡してなまえは承太郎と一緒に浴室へと向かう
浴室へ着くなり承太郎はさっさと服を脱いで腰にタオルを巻く
ふと、なまえの方を見ればまだ上着を脱ぐのに手こずっているようだった
承太郎はしゃがんで服を脱がすのを手伝ってやる


「やれやれだ…そろそろ一人で出来るようにならねぇとな」
「ありがとじょうたろう!」
「服はその籠に入れておけよ」


脱いだ服をなまえは言われたとおり籠に入れる
そして二人で浴室の中へと入る



なまえ用の小さい椅子に座らせて向かい合わせにさせる
承太郎は手で熱さを調整してからシャワーをなまえにかける
なまえはお湯が目の中に入らないようにと必死に目を瞑っている


「じょうたろーもういい?」
「駄目だ、今から頭洗うんだ。もう少し大人しくしてろ」
「ぶー」


唇を尖らせる妹に苦笑してシャンプーを頭にかける
大きな手に頭を触られて気持ちよくなり、つい眠りそうになる


「寝るんじゃねぇぞなまえ」
「うーん…」
「……もう洗い終わったからな」


泡を洗い落として承太郎はなまえを抱き上げると湯船の中へと入る
先程の眠気はどこにいったのかさっそくおもちゃを出してきて遊び始める
イルカとアヒルのおもちゃだ


「このイルカ…どうしたんだ?」
「じょなにかってもらったの!」
「ジョナのやつ…あれほど甘やかすなって言ったのに」


だが目の前で嬉しそうに遊ぶ妹を見てため息をつく


(まぁ…買ってやりたくなる気持ちはわからんでもないがな)
「じょうたろうもいっしょにあそぼう!」
「やれやれ…」


アヒルのおもちゃを渡されて受け取る承太郎
そしてじっ、となまえを見つめた


「……こうして風呂に一緒に入るのももうあと少しかもしれねぇな」
「なんで?」
「……なまえが大きくなったらわかる」
「なまえじょうたろうとずっといっしょにおふろはいる!あしたはみんなで入ろう!じょなもじょせふもじょうすけもじょにぃもじょりーんもみんなで!」
「……そうだな、いつか、な」


承太郎はかすかに微笑んでやるとなまえを抱き上げて浴室を出た




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