本当に欲しい物はなかなか手に入らない



僕の目に映る君は

とても素敵な女の子だった




【本当に欲しい物はなかなか手に入らない】



「なまえ……なんですか?」


ジョルノは自分を見上げてくる少女を見ながら尋ねた
するとその少女は答えが当たったのを喜んだかのようにニコリと笑うと


「うん!なまえだよ、じょるのせいか〜い!」


なまえはそう言ってジョルノの首に手を回して抱きついた
ジョルノは頭の中がグルグルと混乱していた
自分はここまで混乱したことがあっただろうか?いや、きっと大好きななまえの事だから混乱するのだろう
ジョルノはなまえの体を引き離して、もう一度じっくりと彼女を見た


細い体に柔らかくて長い髪の毛。クリクリとした大きな瞳
しかしふと気づいたのが名無しの服装
大きなTシャツを一枚着ただけの姿。この様子では下着など当然着けていないのだろう
この姿で男に襲われなかったのは奇跡かもしれない


「なまえ…今度からこんな姿で歩いちゃダメですよ」
「どうしてだめなの…?」
「どうしてもです。わかりましたね?」


「はぁい…」と小さな声で返事をする
ジョルノはそれを聞いて微笑んでなまえの頭を撫でる


「いい子ですねなまえは、せっかくだからこのまま出かけましょう」


ジョルノの出かけるという言葉になまえもパッと顔を明るくさせて頷いた
そしてジョルノの手に自分の手を重ねた


途端に心臓がドキリと鳴った




ジョルノはなまえの服装をなんとかしてもらおうと、女性の服屋に来ていた
彼ではなまえにどういう服装をさせればいいかわからない
やはりここは女性の力だろうと言う事で服屋に来ていた
なまえの準備が終わったらしく、ジョルノはそちらに視線を向けて体が固まった


「じょるの〜おわった!」


そう言いながら出てきたなまえ
化粧もされていて服装もその辺にいる女の子と同じような格好
だけどなまえは特別綺麗に見えた
何も答えないジョルノの顔をなまえが不思議そうに覗きこんだ


「じょるの〜?」
「! あ、すみません…ボーッとしてました……」


ジョルノはハッとなってなまえにそう告げた
それを見ていた店員がクスクスと笑いながらジョルノの耳にそっと唇を寄せる


「彼女さん綺麗になってよかったですね、見惚れちゃいました?」


彼女……


「……えぇ。自慢できますよ、ありがとうございます」




そのまま服屋を出て町を歩くと、何人かの人間がこちらを見て来た
それはやはりなまえに目が行くのだろう
ジョルノはちらりとなまえに目をやった。とても兄たちを困らせているような5歳児には見えない
そこら辺にいる女性と何も変わらない


「ねぇねぇあそこのカップルかわいくない?」
「中学生ぐらいかなー?かわいい!」


やがてあちこちからそんな声が聞こえてくるようになった

カップル……


その言葉にジョルノは心の中で喜んだ
5歳児の姿のなまえと歩いているとどうしてもカップルには見えない
兄妹と間違われるくらいだ
だけど今は違う。自分の彼女だと間違われるくらいだ


そんな事を考えていると前から数人の男が絡んできた


「お嬢ちゃんかわいいね、俺たちと遊ばねぇ?」


一人の男がニヤニヤしながらなまえを見る
なまえはその瞳に怯え、ジョルノの後ろに隠れた
ジョルノは男たちを睨みつける


「おい坊や、その子俺たちに渡しな。痛い目にあいたくないだろ?」
「…それはこっちの台詞です。あなたたちこそどこか消えてください」
「なんだとっ!」


男が腕を振り上げるが、それを軽くかわしてジョルノは男の腹に思いっきり拳を入れた
もちろん殴ったのはジョルノのスタンド。しかしこの男たちには見えない
倒れた男を見た仲間たちは次々にジョルノに襲い掛かってくる
しかしジョルノはそれを鼻で笑いながら次々と攻撃をかわしていく


「や!じょるの!!」


なまえが突然ジョルノの背中に抱きついてきた
驚いたジョルノはなまえを見る
すると彼女は今にも泣き出しそうな顔をしていた。その表情は5歳のなまえを思い出す…


「けんかしちゃだめ…なまえこわい…」
「なまえ……」


ジョルノは安心させるようになまえに微笑むと、そのまま彼女の手を掴んだ
そして男たちから急いで逃げた




二人は近くの公園に来ていた
もう夕方近いため公園にはジョルノとなまえの二人だけだった
しばらく夕日を見ていたジョルノはふとなまえに目をやった


「……すみませんなまえ、怖がらせてしまって…」


ジョルノが少し落ち込んだように言った
それを見たなまえはニコリと笑う


「でもじょるのなまえのことたすけてくれた、ありがと」


お礼を言ったなまえにジョルノはふと笑うと彼女の頭を撫でた
頭を撫でてくれるジョルノに嬉しそうに笑う
その顔を見たジョルノはなまえを抱きしめた


「じょるの……?」


もうすぐ帰らなければいけない
きっとなまえの兄たちも探している事だろう

だけど……


帰ってしまったら、明日になったら君は元の姿に戻るのだろう
純粋な子供の姿に


「………ま」
「じょるの?」
「……このまま君をどこか遠くに連れて行ければいいのに……」





「じゃあなまえ、この中に入って」


ジョナサンに言われてなまえは機械の中に入る
その様子を兄たちも含めジョルノも見ていた、複雑な表情をして…
スピードワゴンがスイッチを入れると扉が閉まった


「まぁこれで安心だジョースターさん。目が覚めたらなまえちゃんも大人になった事は覚えてないだろうし……」
「え……どういう事ですか?」


ジョルノが思わずスピードワゴンに詰め寄る
彼はジョルノの行動に驚いていたがやがて人差し指で頬を掻くと


「……いやぁこの機械の欠点は体験した記憶を持っていけないというところなんだ」
「……じゃあなまえは今日のことは何も覚えていないと…?」


どこか落ち込んだように言うジョルノにスピードワゴンは首を傾げた
そして彼の肩をポンと軽く叩くと


「まぁまたその辺は研究し直すさ!今度こそ完璧な機械を……」


ジョルノはその言葉を聞いて、なまえが入った機械を見た
すると扉が開き、中には眠っている5歳児のなまえがいた


明日からは君に今日のことを話しても何も思い出さないのだろう



ちょっと切ない経験をしたジョルノ
090218


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