美人かどうかは大人になるまでわからない



「ジョースターさん!いるかいっ!?」



【美人かどうかは大人になるまでわからない】



突然入ってきた訪問客にジョナサンは驚いてそちらを見る
しかし訪問客の顔を見て微笑んで出迎えた


「スピードワゴン!急に入ってくるからビックリしたじゃないか」
「すまねぇ!アンタに会えるのが嬉しくてなぁ」


スピードワゴンはへへっ、と笑いながら帽子を被りなおした
ジョナサンは彼にお茶を入れてテーブルの上におくと、スピードワゴンは「いただきます」と言ってお茶を飲んだ


「どうだい?財団の方は?」
「んー?んふふっ…」


スピードワゴンはジョナサンに聞かれて突然にんまりと笑い始めた
ジョナサンが「なんだい?」と首を傾げていると、スピードワゴンが連れて来ていた自分の部下に指示をすると立ち上がった


「ジョースターさん、勝手に部屋を借りちまって悪いんだが…ちょっと隣の部屋に来てくれるかい?」


スピードワゴンはそう告げると隣の部屋に移動する
ジョナサンも彼に続いて隣の部屋に続いた
隣の部屋に入ると怪しい箱型の機械が置いてあった。中は人が2,3人は入れるようになっている
その横には怪しいダイヤル式のスイッチなどがあった


「……なんなんだいこの機械は?」
「ふふっ…聞いて驚くなよ」


スピードワゴンはふ、と笑ってからキラリと瞳を輝かせた


「スピードワゴン財団が開発した…名づけて「タイムストレンジャー」!!」
「タイム…ストレン ジャー ……??」


ジョナサンが言葉を詰まらせながらもスピードワゴンが言った機械の名前を言う
スピードワゴンは機械に指をさし


「この機械は時を進めたり、戻したりする事ができるんだ!我々の財団で実験した生まれたてのネズミをこの中に入れて機械を動かしたら、なんとそのネズミが大人になっていた!!」


スピードワゴンの説明を聞いてジョナサンはすごい、と心の中で思っていたが
やがてハッとなってスピードワゴンに尋ねた


「……この機械、人での実験は…?」
「……それがまだなんだ動物とか物とかにしかやってない、そこでジョースターさん!アンタに頼みがある!!」


スピードワゴンの考えに気づいたジョナサンは苦笑いして首を横に振った
それを見たスピードワゴンは眉を下げて悲しそうな表情をした


「悪いけどそういう事には協力できないよ…」
「アンタじゃなくてもいいんだ、あの元気な弟たちでも……」


その場を去ろうとするジョナサンにスピードワゴンはついて行く
部下たちも慌ててついて行った
その部屋には誰もいなくなった……


「じょな〜……」


昼寝から目を覚ましたなまえが目をこすりながら部屋に入ってくる
実際は騒がしい訪問客のせいで目が覚めたといってもおかしくはないだろう
なまえは部屋の中を見渡しある物に気がついた
それはタイムストレンジャーの存在だった
興味津々でそれに近づき、叩いたり耳をあてたりしてみるが反応はない
そして上の方にあったダイヤルに気づき手を伸ばして適当に回してみた、すると閉まっていた扉が突然開いた
なまえは中を覗き込んで見る


「……おじゃまします」


なまえは小さい声で呟くと中に入った
途端に扉が閉まり、中に閉じ込められた
慌てて扉を叩くがビクともしない、中に白い煙が入り込んできた






「ただいまー!」


ジョセフ、承太郎、仗助が帰宅してきた
そして見慣れない靴があることに気づいた


「誰か来てんのか?」
「ジョナにかな…?」


廊下の奥からバタバタと走ってくる音が聞こえた
3人がそちらの方を見てやがて目をギョッとさせた
そちらから走ってくるのは裸の女だったからだ、本人は恥ずかしさもなくその体を晒しながら笑顔で走って来る
そしてジョセフに抱きついた


「じょせふおかえり!」
「あ、あぁただいまって……ええええっっ!!?」


どうして自分の名前を知っているのだろうか?
ジョセフは驚いて彼女の体を引き剥がして顔を見たが、やはり覚えがない
承太郎が眉間に皺を寄せた


「おい…知り合いか?」
「いやいや知らないって!いや知りたいけど!こんなかわいこちゃん」
「どういう関係ッスか…?」
「いや…だから……」
「じょうたろとじょーすけもおかえり!」


承太郎と仗助も自分たちの名前を呼ばれて彼女の方を見る
それを見たジョセフがニヤリと笑い


「おいおい…お前たちこそこのかわいこちゃんと何かあるんじゃねぇの?」
「あるわけねぇだろ、てめぇじゃあるまいし」
「てゆーか…そのもう俺無理ッス」


仗助はそれだけ言うと両手で自分の顔を隠した
それを見た承太郎は自分の学ランを脱いで、女の背中にかけてやった


「アンタも隠すとかしろよ…」
「何を騒いでるんだい?」


奥からジョナサンがやってきた、その後ろにはスピードワゴンもいる
彼が来ていたのかと3人はここで理解した
女はジョナサンの姿を確認するとすぐさま彼の元に駆け寄り、抱きついた


「じょな!」
「! 君は…誰だい?」


ジョナサンが優しく微笑んで彼女に尋ねると
女は少し頬を膨らまして不安そうな顔をしていたが


「なまえ……」






「すごいぞ!人での実験も大成功だ!」


スピードワゴンは大きな声で嬉しそうに言った
それを見たジョナサンははぁ、とため息をつく


「喜んでる場合じゃないよ。なまえはちゃんと元に戻せるんだろうね?」
「その点は心配しなくていいジョースターさん!またあの機械に入ればいい事さ!」


ならいいけど、とジョナサンはなまえの方を見た
徐倫がいなかったため自分のTシャツを一枚着させた。男物でその上自分たちは身長が高いのでなまえにはぶかぶかでワンピースみたいになっていた
そのなまえは今絵本を読んでいた、その周りにも兄たちがいる


「いやーそれにしてもよぉ」


ジョセフがなまえの顔をまじまじと見てニヤリと笑う


「まさかなまえがこんなにもかわいくなるなんてなぁ〜彼女にしちゃいたいぐらい!」


ジョセフがそう言ってぎゅう、となまえを抱きしめた
なまえも嬉しそうな顔をしてジョセフに抱きついた
呆れた承太郎が口を挟む


「おい、妹に手出すのは犯罪だぜ」
「見た目は15,6歳かな?3つぐらい年下か、ん〜まぁいいか!」
「聞いてんのかてめぇ…」


承太郎がジョセフとなまえを引き剥がした
ジョセフが不満そうな顔をして承太郎を見る


「何だよ、冗談に決まってんだろ。妹に愛情を注いでるところを邪魔すんなよな」
「てめぇの今の愛情の注ぎ方は危険だ」
「もう二人共やめましょうよ〜」


ケンカしそうな二人に仗助が間に入って止めた
承太郎はふん、と鼻を鳴らすと


「おいなまえ、そろそろ機械に入れ……」


さっきまでそこにいたはずのなまえがそこにいなかった
3人は慌てて辺りを見るがどこにもいない


「……まさか」





金髪の髪の色をした少年は本屋から出てきた
前々から読みたかった小説が手に入って満足そうだった
家に帰ればまずはあの父親をなんとか払いのけて、ゆっくりと部屋で時間を過ごそう
そう考えて歩いていると一人の少女が道に立っていた
それには別に気にせず横を通ろうとしたが、少女が道をふさぐ


「僕に何か用ですか?」


少年――ジョルノは少女に優しく微笑んで尋ねた
少女もその笑顔にニコリと微笑んで彼に抱きついた
少女のその行動にジョルノは驚いて、彼女を自分から引き剥がそうと肩に手をかけた


「じょるの!いっしょにあそぼ!」


その言葉に手をピタリと止めた
驚いてジョルノは彼女の瞳を覗き込む
そんな、まさか……


「なまえ……?」



090204

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