いい子にしてたら必ずプレゼントは貰える



「う〜……」


体をブルッと震わせてなまえが布団の中で寝返りをうつ。自分の目を擦って意識を覚醒させると起き上がって外の景色を見た



【いい子にしてたら必ずプレゼントは貰える】




「うわぁ……」


カーテンを開けてなまえは声を上げる
そう外は一面白の世界になっていたのだ、毎年この季節になると見れるこの光景。なまえは急いで外に出ようとした


「おっと」


外に出ようとしたがジョセフに抱き上げられてその行動は止められた


「お前朝からその格好で外に出ようとしてたのか?」
「じょせふ、ゆきがつもってるよ!ゆきだるまつくるの!」


じたばたと腕の中で暴れるなまえにジョセフは苦笑いして、落ち着かせるように頭を撫でる


「わかったって、でもまずは着替えて飯食わないと承太郎に怒られるぞ〜?」


承太郎と言う言葉を聞いてなまえはジョセフに降ろしてもらうように頼むと、タンスの中から自分の服を取り出して着替え始めた
慌てる妹の様子がかわいくてつい笑ってしまう
着替え終わるとなまえがもう一度抱っこをねだって来たので、ジョセフは抱き上げて居間へと向かった




「じょにぃ、なにしてるの?」


モミの木に飾り付けをしているジョニィに声をかける


「今日はクリスマスイブなんだよ、サンタが来る日だよなまえ」
「さんた!」


サンタと言う言葉を聞いてクリスマスというイベントを思い出す。そこに承太郎がやって来た


「なまえはサンタに何を頼んでるんだ?」
「んー……」


承太郎に聞かれてなまえはしばらく考えていたが、やがて顔を上げてニコリと笑うと


「さんたさんならわかるからいわない」
「………」


なまえはそう答えるとジョニィのマネをして一緒に飾り付けを始める。ジョニィは承太郎に苦笑いしている
承太郎はさっそく廊下にジョセフと仗助を呼び出す


「どうするんだ、なまえのヤツ言わねぇぞ」
「今までは簡単に言ってたのになぁ」
「ダメだな承太郎、簡単じゃねぇか」


ジョセフはまぁ見てな、とウィンクして再び居間へとやってくる


「なぁなまえ」
「なに?」
「……実はな、今年からサンタにプレゼント頼むときは俺たちに言わないと届かないシステムになったんだぜ?」
「え!?」


ジョセフの言葉になまえは慌て始める。そんななまえの様子にも笑いそうになるがジョセフは頭を撫でて安心させる


「でも今言えばまだ間に合うんだ。さぁ言ってみろよ兄ちゃんに」
「うん!」


ジョセフの耳にこっそりと言うなまえ。ジョセフはわかった、と言って微笑んだ
そして再び廊下に戻る


「ほ〜ら簡単だろ」
「すげぇーなちゃんと聞けたんだ」
「ふん……」


3人の下にジョナサンがやって来る


「あぁ、3人共。これからクリスマスの買出しに行って来てくれないかい?ここにメモもあるから」
「…あぁわかった」


承太郎はジョナサンからメモを受け取り、返事をする。その時扉が開けられてなまえが承太郎の足にしがみつく
たいていこうやって引っ付くときは自分も連れて行って欲しいという行動
仗助はなまえに上着を着せて手をつないだ


「ちゃんと俺の手を握ってるんだぞ」
「うん!」






クリスマスという事で町はすっかりそのムードになっている
あちこちにカップルや親子連れがたくさん歩いていた


「しかしこの時期はホント人が多いよなぁ」


ジョセフが荷物を抱えなおしながら、たくさんの人を見ながら言う


「承太郎さん、後どのぐらいあるんッスか?」
「……後はケーキぐらいだ」


仗助の言葉に答えながら4人はケーキ屋にたどり着いたが、大勢の人が並んでいた
待つのに30分ぐらいはかかるだろうか…?


「……これを待つのか?売りきれるんじゃねーの?」


ジョセフの言葉も一理ある。このままでは待っていても売り切れるかもしれない
悩んでいた3人に仗助が何かを思いつく


「そうだ…トニオの所に行ったらどうッスかね?」
「……いいアイデアだ」




トニオの店は町外れにあるということもあってケーキを買う人間は数えるくらいしかいなかった


「こレは皆さん」
「トニオ。俺たちにもクリスマスケーキ頼む」


仗助の言葉にトニオも喜んで、と返事をする。その時なまえの前をケーキを買った親子が通っていった


「ままーケーキかってくれてありがとー!」
「いいのよ、パパが帰ってきたらクリスマスパーティしましょうね」


楽しそうに話す親子を黙って見つめるなまえ。そんな妹の頭に承太郎は手を乗せる


「じょうたろ?」
「……なまえ、好きなケーキ選んでいいぞ」


なまえの目の前に色んなケーキのデザインを見せるトニオ。なまえは少し考えてからこれ、と指を指した


「すぐニ出来上がリマすのデ、少々お待チ下さイ」








「それじゃあ……メリークリスマス!かんぱ〜い!!」


ジョセフの合図にそれぞれが食事に手をつけ始める。承太郎はなまえが窓の外を見上げているのに気づいて近づく


「どうした?食べないのか…?」
「……さんたさん、きてくれるかな?」


なまえが不安そうな顔をして承太郎を見る。承太郎はその言葉にふっ、と笑うと


「……いい子にしてたら来るぜ」
「なまえいいこ?」
「そうだな」


承太郎の言葉に安心したのかなまえは微笑んでみんなの所に戻って食事を始めた





「……なまえのやつ、ちゃんと寝てるだろうな?」


承太郎はなまえの部屋の前に来ていた。食事が終わってそれぞれが眠りについた頃、なまえの枕元にプレゼントを置くために来ていた
扉を静かに開けて中の様子を見る


「…ちゃんと寝てるな」


ふと、なまえの枕元を見ると彼女が欲しがっていた、自分たちが用意したはずのクマのぬいぐるみが置かれていた。
承太郎は自分の手に持っている箱を見て考える
自分たちが用意したプレゼントは自分の手の中にまだある……
風を感じて窓の方を見ると、なんと窓が開いている。承太郎は窓を閉めた


「……まさか、な……」




「さんたさんね!くまさんのぬいぐるみふたつくれたの!だからひとつじゃいろにあげるね!」
「マジッスか!?」

081221


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -