知らない間に成長しているもんなんです



布団に入って横になっているなまえを見つけた承太郎は首を傾げて見ていた



【知らない間に成長しているもんなんです】



「なまえ…何してるんだ?」


承太郎の言葉に布団に潜っていたなまえがひょっこりと顔を覗かせ、承太郎を上目遣いで見た


「おねんねしてるの」
「昼寝ならさっきしただろ?まだ眠いのか?」
「ううん、はやくあしたになってほしいの」


なまえの言葉に承太郎は明日何かあっただろうか?と考える。もちろん思い当たることは何もないわけで…


「今から寝ても夜眠れなくなるだけだ。起きとけ」
「や、あしたくるのまつの」
「何があるんだ」


承太郎の言葉になまえはえへへ、と笑うと


「あしたはじょなとこうえんであそぶの」
「……それで早く寝てんのか」


なまえはジョナサンの事が大好きだ、普段忙しくて構ってもらえないなまえにとって久しぶりにジョナサンと遊べることはすごく嬉しいのだろう



「なまえ。ジョナと遊びたかったら今は起きとけ」
「……いまおきてたらじょなといっぱいあそべるの?」
「あぁ…」


承太郎の言葉に頷くとなまえは布団から出て、承太郎の膝の上に乗る


「じょうたろ!おなかすいた」
「そろそろおやつにするか…」


承太郎はなまえを抱き上げて台所へと向かう


――はやくあしたにならないかなぁ…




―――――


日曜日ということもあり、公園にはたくさんの親子が来ていた。なまえはジョナサンの手を引きながら早く、とせがむ


「なまえ、何して遊ぶんだい?」
「あれあれ!すべりだいしたい!」


なまえが指を指す方向を見て、ジョナサンはなまえに微笑むとそのまま後ろをついていく


「じょな!はやくのぼってきて!」
「ちょっと待ってくれよなまえ……った!!」


ジョナサンが頭を上げると、上に壁がありそこに頭をぶつけてしまった


「さすが子供用だね……大人が遊ぶもんじゃないもんな…」
「じょなじょな!こっち!」


なまえがすべり台の付近でジョナを待っていた
ジョナは何とかしてなまえの所まで行き、座って準備をしているなまえの後ろに座り、腹の部分に手を回す


「よし、じゃあ行くよ」
「うん!」
「きゃー!はやい!」


なまえが嬉しそうに声を上げながら滑る。ジョナサンも子供の頃以来のすべり台に懐かしい気持ちがこみ上げてきた


「あーたのしかったぁ!」
「もう1回滑るかい?」
「ううん、もういいの」


なまえは立ち上がると、今度はブランコの方へと走っていく。ジョナサンもすぐに後を追いかけた


「じょな、おして!」
「はいはい」


ジョナサンはなまえの後ろ側に回り、背中を軽く押してやる


「ここの公園でよく遊んでるのかい?」
「うん!じょせふとじょうたろとじょーすけとまえはあにきとぺっしともあそんだの!」
「あにき?ぺっし?…なまえは友達が多いなぁ」


ジョナサンがなまえに笑って答える。その時二人の横に親子連れが来て、自分たちと同じようにブランコを楽しんでいた


「きゃー!パパもっと押してっ!」
「行くぞー!」
「ママ!見てる!?」
「見てるわよー!」


父親と母親と遊んで幸せそうに笑っている子供をなまえは見ていた。その様子をジョナサンも見ていた


やはり自分がいくら親代わりといっても、本当の父親や母親には勝てない

親子は遊んでいくとそこを離れていった




なまえは顔を俯かせていた。もしかしたら泣いているのではないかと心配になり、ジョナサンはなまえの頭を撫でた


「……ごめんね。寂しい思いをさせて……」


ジョナサンの言葉になまえは顔を上げてニコッと微笑んだ


「なまえぜんぜんさみしくないよ!だって、じょせふもじょうたろもじょーすけもじょりーんもじょにぃもいるし、じょるのもじゃいろもほっちゃんもいるもん!」


それにね、となまえはブランコから降りてジョナサンの足にしがみついて彼を見上げる


「じょなもいるからさみしくないよ!」
「なまえ……」


ジョナサンはしゃがんでなまえを強く抱きしめた


いつの間にこんなに強くなったのだろうか?
少し前までは親がいなくて泣いていた事もあったのに、今では笑顔で寂しくないと言っている


知らない間に成長しているもんなんだね……


「くしゅっ!」


夕方になり気温が下がってきた。なまえのくしゃみにジョナサンは微笑むと、立ち上がった


「焼き芋でも買って帰ろうか」
「なまえやきいもすき!」
「みんなの分も買って帰ろうね」


ジョナサンはなまえの手を握って歩き出した


(お父さん、お母さん。僕らの妹はこんなにも逞しく成長しています)


おちびちゃんが成長した日
081107


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