後悔するならやっておけ



それは数年前の話――…


「ただいまッス!」
「おかえり仗助」


仗助が中学生だった頃…仗助は鞄を自分の部屋において、急いでまた玄関へと向かう


「どこ行くんだい?仗助」
「遊びに行ってくるッス!」
「じょーしゅけ!あそぼ!」


靴を履いている仗助の元にちょこちょことなまえがやってきた


「あぁ、帰って来たらな」
「……仗助。今日は仗助がなまえの子守をする約束だろ?」
「え?あぁだから帰った来たら遊ぶって……」
「前にもそんな事を言ってしなかったじゃないか、なまえは仗助が帰ってくるのを楽しみにしてたんだよ。今日は遊んであげなさい」
「けど……」
「なまえの面倒はみんなで見るって約束しただろ」


仗助はその言葉に何も言えなくなった。自分達の親が死んでから、幼いなまえの面倒はみんなで見ようと約束した


「……わかったッスよ!子守すればいいんだろ!!外に行くぞなまえ!」
「仗助!」


仗助はなまえを連れて、外に出て行った。ジョナサンは複雑な表情で、仗助が出て行った扉を見る


「……遊びたい気持ちはわかるんだけどね」



―――――


「じょーしゅけもおすなであそぼ!」
「いや……俺はいい」


中学生の自分がそんな事をしていたら笑われる、という恥ずかしさがあった


(あー…約束の時間に遅れちまうなぁ……)
「じょーしゅけもあそぼーよ!ひとりであそんでもおもしろくないよ!」
「……なまえ、かくれんぼしようか?」


仗助はニヤリと笑って言った。は遊んでもらえるという嬉しさに顔を輝かせ頷いた


「じゃあ俺が鬼になるから……俺が見つけるまで絶対動くんじゃねぇぞ」
「うん!」


仗助はなまえが隠れたのを確認すると、走って公園を出て行った



数十分経っても仗助が来ない事になまえは疑問を感じた。外に出ようか、とも考えたが仗助との約束を思い出し出るのをやめた


「だめだめ。じょーしゅけにみつけてもらうまででちゃだめ」


仗助はきっと自分のことが見つけられなくて困っているのだろう、そう考えるとなんだか笑えて来た


「じょーしゅけなまえのことみつけられなくてこまってるんだ」


なまえはそう呟くと、再び仗助が探しに来てくれるのを待った




―――――


「そしたらそいつ泣いてやがったんだ!」
「あはは!笑えるなっ!」


仗助は数人の友達とカフェで楽しそうにしゃべっていた
もちろんなまえの事などすっかり忘れて


「ゲーセンにでも行くか?」
「そうだなー……」


仗助たちが立ち上がりゲーセンに行こうとした時、救急車のサイレンの音が鳴り響いた
それはすぐ近くで止まったので、気になって様子を見に行った


「なんかあったんスか?」
「あぁ…3歳の女の子が車に跳ねられたんだって」
「なんだって!?」


仗助は驚いて運ばれていく女の子を見る。そしてなまえのことを思い出した


(なまえ…!アイツまだいるかな…?)
「おーい仗助。ゲーセン行こうぜ」
「……悪い。俺いいわ!」


仗助は友人達をその場に残し、なまえを置いてきた公園に向かった






「なまえ――!!」


仗助が大声で呼ぶが返事がない、あちこち公園の中を探し回った


「なまえ!どこにいるんだー!?」


もしかしたら自分がいつまで経っても探しに来ないから、自分から出て行って…そして知らない人間に誘拐されて……


頭の中ではよくない事ばかりが浮かんだ


「……俺がちゃんと子守してれば……」


仗助が唇を噛みながら、遊具の中を見る
すると丸まって眠っていたなまえがいた


「っ!なまえっ!!」
「ん……じょーしゅけ?」


起き上がったなまえを遊具の中から引きずり出して、抱きしめた


「えへへ〜みつかっちゃったね」
「! お前……ずっとここにいたのか…?」
「じょーしゅけがさがしにくるまででちゃだめ、っていったもん」


仗助はその言葉を聞いてなまえを強く抱きしめ、小さな肩に顔を埋めた


「っ…バカだろお前……ちょっとは人を疑えよ…っ!」
「じょーしゅけどーしたの?なんでないてゆの?どこかいたいの?だれかにいぢめられたの?」
「ごめん…ごめんななまえ…」


訳がわからないなまえはとりあえず仗助の頭をよしよし、と自分がいつもほかの兄達からされているように優しく撫でた




―――――


「ただいまッス!」
「じょーしゅけ!おかえぃぃー!!」


学校から帰ってきた仗助を出迎えるなまえ。仗助は頭を撫でてやる


「遊びに行こうぜなまえ!」
「うん!」


仗助はなまえを抱き上げると、そのまま外に飛び出していく


「仗助のやつ…一体どうしたんだ?」
「さぁ…でもいいことじゃないか」




080927

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