わたしにとってのお父さん



なまえは床でゴロゴロしながらジョルノにもらった指輪を眺めていた



【わたしにとってのお父さん】



「えへへ…」
「お?何持ってるんだなまえ」


ジョセフがなまえの横に座り、手に持っているものを見る


「これね?じょるのがくれたの!」
「……指輪かよ、アイツもやるな」


ジョセフがジョルノの顔を思い出し苦笑いする


『今日は父の日です。皆様は何か買われたでしょうか?』


テレビから聞こえた声になまえとジョセフが見る


『何かお父さんに買ってあげたのかな?』
『あのねあのね!パパにはんかちかってあげたの!』


テレビのインタビューを受ける子供はちょうどなまえと同じ年くらいの子供
父親に笑顔を見せ、笑っている


「おとーさん……」


なまえには父親も、母親もいない
もちろんそれはなまえにだけ言える事ではない、兄弟みんなが寂しがっているが
なまえにとっては今は甘えたい時期だろう


「じょせふぅ……」
「あーよしよし!泣くなよ。兄ちゃんはな、なまえの笑った顔が一番好きなんだからよ」


ジョセフに抱きついて泣くなまえを慰めるように頭を撫でる


「なまえ…俺たちには親父がいねぇけど……でも父親代わりに育ててくれた人がいるだろ?」
「だれ……?」
「ジョナだよ!なまえにとっては親父でもあり、兄ちゃんでもあるだろ?」


ジョセフの言葉に頷く


「うん…じょなはおとーさんでもあるしおにいちゃん!」
「そ!じゃあジョナにプレゼントでも買いに行くか?」
「いく!」


すっかり泣き止んだなまえを抱き上げてジョセフは出かける準備をする





「結構人がいるなぁ……」


とりあえず近くのデパートに来たジョセフは人の多さにポツリと呟いた


「なまえ。兄ちゃんにしっかりしがみついとけよ」
「うん」
「ジョセフ!」


人混みの中からジョセフを呼ぶ声が聞こえる


「あぁっ!シーザー、こんな所で何してるんだよ!」
「決まってるだろう。デートだ」
「……あぁ、そう」


シーザーの言葉に呆れるジョセフ


「しーざーはおとーさんにぷれぜんとかわないの?」
「あ、なまえちゃん…」
「なまえ。コイツはそんなの買わねぇよ、女と遊んでるんだ」
「ジョセフ!そんな事言わなくていい!」


シーザーの事を笑いながら見るジョセフ


「まぁいい…なまえちゃんはプレゼント買うのか?」
「うん!じょなにかうの!」
「そうか…じゃあ俺も付き添う」


シーザーの言葉にジョセフが驚く


「お前デートしてたんじゃねぇのかよ!」
「なまえちゃんがいるのならデートはどうでもいい」
「しーざーもいこ!」


なまえがにっこりと微笑んで言う
シーザーはジョセフからなまえを奪い進んだ


「さぁ何を買おうか」
「ケッ…女ったらしが!」


ジョセフもシーザの後に続いて歩き出した


「あれ!あれがいい!」
「え?」
「どれ?」


プレゼントを選んでいるとなまえがハンカチに向かって指を指した


「ハンカチ?これがいいのか」
「うん!」
「ネクタイとかもあるよ、それじゃなくていいのか?」
「じょなにははんかちがいいの」


なまえが決めたのだから仕方がない
二人はハンカチを取るとそのままレジに向かった



家に帰ってからなまえはジョナサンの帰りを待っていた


「じょな…まだかなぁ」
「心配しなくてももうすぐ帰ってくるって」


ジョセフがなまえの頭を撫でながら優しく言う


「ただいま」
「! じょな!」


帰ってきたジョナサンに飛びつくなまえ


「今日は熱烈なお出迎えだねなまえ」
「あのねじょな!ぷれぜんとがあるの!」
「プレゼント…?」


なまえが手に持っていた袋を渡す
開けていいのか?と視線で問うとなまえは微笑んでいる


「わぁ…ハンカチじゃないか」
「きょうはちちのひだから!」
「父の日……」
「じょなはね、なまえにとっておとーさんでもあり、おにいちゃんでもあるの!」


なまえがニッコリ笑って言う
ジョナサンはそんな妹に優しく微笑んだ


「ありがとう…なまえ」
「よかったななまえ」
「うん!」



080615

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -