子供の扱いは難しい



暖かい日も続き、外は桜の花で満開だった
もちろん家でじっとしていられないなまえはジョセフ、仗助と共に外に出ていた



【子供の扱いは難しい】



「暖かいなー」
「さくらいっぱい!」
「そうッスね」


仗助とジョセフに手を繋がれながらなまえが嬉しそうに桜の木を見る


「じょせふ、かたぐるましてー」
「お、いいぜ」


ジョセフはそう言うとなまえを肩に乗せる
なまえはそのまま桜の木に触れ花びらを何枚か取る


「えへへ〜さくらとれたぁ」
「よかったなー満足か?」
「うん。じょせふありがとう!」


なまえがお礼を言ってジョセフに降ろしてもらった時だった


「おーい!仗助!」
「億泰?」


億泰が走ってきて仗助の元に辿り着いた


「どうしたんだよ?」
「町のゲーセンで最新のゲームが体験できるんだってよ!」
「なんだって!!?」
「今からやりに行こうぜ!康一もいるんだ!」


仗助が億泰と一緒に走り出してしまった


「おい仗助!……ったく仕方ねーな」
「……じょうすけ。なまえとあそんでくれないの?」
「悪い兄ちゃんだよなー?俺たちも後追っかけてみようぜ」


ジョセフはそう言うとなまえを抱き直しゲーセンに向かった




ゲームセンターに着くと仗助と億泰がすでにゲームをしており、その側で康一が見ていた


「おい仗助!」
「あ、ジョセフ……」
「じょーすけ!なんでなまえおいていっちゃうの?」
「あ…悪い、ごめんな……」


今にも泣き出しそうななまえの頭を撫で、謝罪をする仗助
その隙にジョセフがコントローラーを奪う


「てなわけで罰として俺にもやらせろ!」
「あ!てめぇずるいぞ!結局やりたかったんじゃねぇか!」
「そんなに俺がムカつくなら勝負するか?」


挑発してくるジョセフに仗助もコントローラーを持ち、勝負を始める
億泰もおもしろそうに見ていた

しかし康一となまえはおもしろくなかった


「……じょせふもじょうすけもあそんでくれない……ふぇ」
「あ…あー泣かないでなまえちゃん」


康一がとうとう泣き出したなまえの頭を撫でて慰めてやる


「そうだ!気晴らしにその辺で散歩でもしようか?」
「さんぽ!」
「うん…行こう!」


康一はなまえの手を繋ぎ、ゲームセンターを出て行った


「せっかく桜が咲いて綺麗なのに…ゲーセンで過ごすなんてもったいないよ」


康一が桜の木を見ながら呟く


「こーいちくんはさくらすき?」
「え?あ、うん」
「これね…さっきとったのちょっとあげるね」


康一の手のひらに桜の花びらを何枚か渡す
康一は思わず頬が緩む


「ありがとうなまえちゃん」
「えへへ」
「おや?康一君じゃないか!」

二人の後ろから声が聞こえた
康一は聞き覚えのあるその声に思わず苦笑いしてしまう


「露伴先生じゃないですか、今日はスケッチですか?」
「まぁな。天気がいいから桜でも描いていたんだ
ほらこれがそうだ」


露伴は自分の描いたスケッチブックを康一に見せた


「さすが…上手いですね」
「さくらのき!じょーず!」
「ん?」


露伴が自分の絵を誉める少女に視線を落とす


「康一君。誰だこの子供は?」
「なまえちゃんです。仗助くんの妹ですよ」
「クソッタレ仗助の妹だと!?」


露伴が驚いてなまえを見る、なまえは自分を見つめる露伴にニコニコと微笑む


「信じられんな…アイツにこんな小さな妹がいたとは……まぁいい、康一君家に遊びに来ないか?」
「いいですけど…なまえちゃんもいますよ。かまわないですよね?」
「………まぁいい」


露伴は少々納得がいかなかったが、仕方なくなまえを家に招く事にした


「紅茶でも飲むか?」
「あ、はいいただきます」


露伴が康一に尋ね、そのままキッチンに行こうとしたときに異変に気づいた


「……康一君。あのガキ…はどこ行った?」
「あれ!?そういえばどこに……」


康一の側にいたなまえがいつの間にかいなくなっていた
露伴はもしやと思い、仕事場の部屋に行った


「あ―――!!何してるんだ!?」


露伴の原稿用紙の裏になまえが絵を描いていた
なまえはえへへ、と笑うと描いた絵を見せる


「なまえもね、さくらのきをかいたの!」
「何自慢げに言ってるんだ!僕の大事な原稿用紙に何してるんだ!!」

露伴は怒りをあらわにしたまま、なまえから原稿用紙を奪い取る
なまえはその様子に思わず怯えてしまう


「なんで勝手に描くんだ!どうしてくれるんだ!!」
「ふぇ…うああああん!!」


なまえは大声で泣き出し、康一に抱きついた


「おい!康一君に頼るな!」
「露伴先生やめてください!大人気ないですよ!」
「っ……!」


康一に言われ黙り込む露伴
康一はなまえをリビングに連れて行った




「ふぅ…なんとか直せたな」


露伴はあの後もう一度原稿を書き直し、なんとか終わらせる事ができた
その時扉の開く音がした


「先生終わりました?」
「康一君か……あぁまあな」


露伴はうん、と背伸びをした。それと同時に康一の後ろからなまえが覗いていた
「なんだよ」
「露伴先生!なまえちゃん言いたい事があるんです。だから睨まないで下さい!」


康一はそう言うとなまえの背中を押してやる


「ろはんせんせい…かってにえ、かいちゃってごめんなさい……」
「……ふん」


露伴はそう言うと背中を向けた


「ろはんせんせい……」
「……まぁ僕も言い過ぎたしな。許してやる」
「!」


露伴はそう言うと椅子に座った、そこになまえが近づいた


「ろはんせんせい…なまえにえのかきかたおしえて…?」
「……僕の教えは厳しいぞ?いいのか?」
「うん!」


おそらく意味はわかってないだろう
そんななまえに露伴はかすかに微笑んだ。康一は二人を残しリビングへと行った


露伴はスケッチブックを取り出し、なまえも見やすいようにとテーブルに移り座り込む


「あぁ、この植物でいいか……よく見てろ……なまえ」


露伴は初めてなまえの名前を呼ぶ
そしてスケッチブックに描き始める。なまえは夢中になり思わず露伴の腕に引っ付く


「おいおい……そんなに引っ付かれたら描けないだろ?」
「ん」


露伴は苦笑いして言った。なまえは頷くと露伴の足の間に入り座り込んだ


「お、おい!なんで膝に乗るんだよ…」
「ろはんせんせーはやくかいて!」
「あ、あぁ……」


無邪気な笑顔で下から見上げて言う物だから怒れなくなり、そのまま描き続けた
子供なんて膝の上に乗せたことないから少しの事でも驚いてしまう


「ほら……できたぞ」
「わぁ!すごい!」


出来た絵をなまえに見せてやり、なまえは笑顔になって喜んだ


「ろはんせんせーあれもかいて!」
「桜か……さっきも描いたがまぁいいだろ」


なまえが窓を指差した方向に桜の木が見えた
露伴は頷いてまた描き始めた





オマケ


「なまえをほったらかしてゲームしてたんだってな?」
「じょ、承太郎さん……」
「悪い…つい夢中になって」
「てめぇら飯抜きだ」
「!!」


080408


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