雨の日のお届けもの



「お、何書いてんだ?なまえ」


ジョセフがスケッチブックにクレヨンで絵を描いているなまえに声をかけた



【雨の日のお届けもの】



「え、かいてたの!」
「ふ〜ん…どれどれ?」


ジョセフがスケッチブックを覗き込む
人間とは言えないが…何人か人物がいる


「これね…じょせふ」
「俺ぇ!?そうかそうかー」
「こっちがじょうたろとじょな」
「ハハハ!承太郎のふてぶてしい顔はそっくりだなー」


煙草を咥えて目がキッと睨んだ顔になっている、それに対してジョナサンの絵はニコニコと笑っている


「悪かったな…ふてぶてしい顔で」
「なんだよ実際そうじゃねぇか」


後ろから現れた承太郎がジョセフを睨む


「やだ、雨降ってきたわ!洗濯物取り込まないと…」
「ホントだ…曇ってたからね」


徐倫とジョナサンが窓から空を見上げ呟き、徐倫は急いで庭に向かった
そしてふとジョニィが気づいた


「そういえば仗助は?まだ帰ってきてないよね…」
「アイツは確か学校に残ってた筈だ…」
「傘持っていなかったな…」


それを聞いてなまえが立ち上がった


「なまえじょーすけにかさとどけにいく!」
「えぇっ!?」


なまえの発言にみんなが驚く


「気持ちは嬉しいけど…危ねぇだろ」
「いや、何事も経験だよジョセフ」


ジョナサンが口を挟みなまえにかっぱを着せる


「仗助の学校は知ってるよね?がんばれるよね?」
「うん!なまえがんばる!」


なまえはジョナサンに微笑んだ


「車に気をつけるんだよ。これ仗助の傘」
「うん!いってきまーす!」


なまえは元気よく手を振り、雨の中を歩いていった




「あーめあめふーれふれ♪」


歌を歌いながら水溜りに飛び込んだりする


「やぁ随分機嫌がいいんだな、なまえ」
「てぃむ!」


パトロール中だったのだろう、ティムがなまえに気づき声をかける


「どこか出かけるのか?」
「じょーすけのがっこう!なまえね、かさとどけてあげるの!」
「そうか…偉いな。気をつけていくんだぞ」
「うん!てぃむもおしごとがんばってね!」


なまえはティムに笑顔で手を振り学校への道へ向かう


「癒されるな……」


なまえの背中を見ながらティムは呟いた




「キャッ、キャッ♪」


なまえは何個か水溜りを見つけ、遊ぶ事に夢中になってしまった


「キャー!」


大きな水溜りに思いっきり飛び込もうとするが

バシャン

派手に転んでしまった


「……いたい…ふぇ」


なまえは体中が濡れてしまい、膝も擦りむいてしまった


「ふぇ……じょな」


なまえは泣きそうになる
が、仗助に傘を届けに行かなければならないという使命を思い出し、がんばって立ち上がった


学校までもう少し…



「クソ〜雨なんて聞いてないッスよぉ!」
「ホントついてねぇな…二人とも傘持ってねぇもんなー」


仗助と億泰が建物の入り口のところで空を見て呟いていた


「お、おい…門のところに誰かいるぞ?」
「あー?……!?」


そこには仗助の傘を引きずり、泥だらけになったなまえだった


「じょーすけー!かさもってきたよ!」
「なまえ!?マジか…」


なまえが仗助の所にたどり着く


「なまえ!お前泥だらけじゃねぇか…転んだのか?」
「うん!でもなまえなかなかったよ、えらい?」
「…えらいえらい!ありがとな傘持ってきてくれて」


仗助が言ったときだった


「お、仗助雨やんだぜ」
「ホントだ…」
「じょーすけ!あれ!」


なまえが指差す方向を見ると、虹がかかっていた


「じょーすけあれなに?」
「あれはな…虹って言うんだよ」
「にじ?おそらにいっぱいいろあるよ!なんでにじができるの?」
「あー…それはあれだなまえへのご褒美じゃねぇかな?傘持ってきてくれたから」


仗助の言葉に嬉しそうに微笑む


「じゃあなまえへのご褒美にパフェでもおごってやるか!」
「たべる!」
「俺も行っていいだろ?」
「おくやすもいこ!なまえのぱふぇわけてあげるね」
「優しいなーなまえちゃんは…」


三人は笑顔で喫茶店へと向かった


080313


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