第6話 Identity of the criminal


二人から離れた所に探していた自販機があった
財布から小銭を数枚取り出して自販機に入れる

「えっと…エイミーちゃんがココアでロクサーヌちゃんはコーラかな…?」

赤く点滅したボタンを押す
ココアとコーラが出てきた、自分は紅茶でも買おうと小銭を入れたときだった
後ろから物音が聞こえてナナは振り返る
しかしそこには何もなかった、風で草が揺れたのだろうか?と再び自販機に目をやった

ガンッ!!

「っ…!!?」
「へっへっ…運が悪かったなお嬢ちゃん」

大きな物音が聞こえて見てみれば自販機に刃物が刺さっている
それもナナの顔のすぐ横でだ
後ろから気味の悪い笑い声が聞こえる

「あ、あなたは…?」
「あれ?この辺りで起きてる連続殺人事件を知らない?」
「っ…まさか…」
「そう俺だよ」

よりにもよって一人になった時に遭遇するとは…
そのまま体の向きを正面に反させられて口元を片手で塞がれた
恐怖で体が動かず男の手を振り払うこともできない
男は舌なめずりをすると刃物をナナへと向けた

「安心しな…お嬢ちゃんを殺した後すぐに残りの二人も始末してやるからさぁっ!!!」
「っ…!!」

男が刃物を振り上げる
目を固く閉じた時だった

バンッ!!

「ぐあっ!!」
「悪いがbabyには手を出させないぜ」

銃声が聞こえた後男はその場に倒れこんだ
その視線の先に見えた人物はダンテだった、銃を構えてニヤリと笑っている
ナナは彼の姿に微笑んですぐに駆け寄る

「ダンテさんっ!」
「大丈夫か?」
「はい……あっ!!」

先程ダンテの銃弾に倒れたはずの男が不気味に笑いながら身体を起こす
ダンテはすぐに自分の後ろにナナを隠した
彼女はダンテの背中越しに男を見た、男の瞳が赤い不気味な色へと変わっている
ゾクリと体が凍った。その瞳には見覚えがある
幼い頃両親を殺したその瞳に……

「やっぱり悪魔だったか…大当たりだな」
「あ、くま……」
「キエエエエエェェッッッ!!!!!」

悪魔は奇声を上げながらダンテとナナに襲い掛かってくる
彼女はダンテのコートを力強く握って瞳を固く閉じた
背中に備えていた銃をもう一つ取り出して悪魔に向かって放った
先程よりも何倍の銃弾を浴びて悪魔はその場に倒れて砂となった

「一件落着…だな」
「ナナーーーっ!!!!」

息を切らしながらロクサーヌとエイミーが走ってきた
ロクサーヌはナナの両肩をがしり、と掴んだ

「大丈夫か!?」
「はい…なんとか…」
「おっさん!ナナに何もしてねぇだろうな!?」

さぁな、とダンテがおどけてみればロクサーヌは彼に掴みかかろうとした
だがそれをナナが止める

「ロクサーヌちゃん…ダンテさんは犯人じゃないです」
「え?」
「悪魔…だったんです。連続殺人犯の正体は…」
「あ、ホントだ〜、悪魔の跡があるよ〜」

エイミーが砂になった悪魔を指差す
信じられないといった様子でロクサーヌはそれを見る

「じゃあ…おっさんは?」
「助けてくれました…私を悪魔から」
「……」

真っ直ぐに自分を見つめて言うナナにロクサーヌは感じた
自分が間違っていたということに
彼女はダンテの前に来ると頭を下げた

「アタシが悪かったよ…疑って悪かった」
「別に、気にしてねぇよ…それより例の約束ちゃんと守れよ」
「……明日からちゃんと置くよ、もちろんあんたにはタダで」

それを聞いたダンテは満足そうに微笑んだ
仲直りをした二人を見てナナもエイミーも微笑んでいた


Identity of the criminal
(ナナ、家まで送ってやるよ。なんなら俺の家に来るか?)
(えっ!?)
(…やっぱりこのおっさん好きになれそうにねーわ)


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