第1話 A letter without an address


ダンテさんと結婚して数ヶ月
私は今…とても幸せです


カコンッ!
大きな音を立てて玉がぶつかり穴へと落ちていく
見事に決まった事にダンテはやったと口の端を上げるが、ナナはうぅと呻き声を上げた

「また俺の勝ちだな」
「……ダンテさん、初心者相手に手加減しないのはずるいです」
「何言ってるんだ。勝負事に手加減なんてしてたら勝てないだろ?……さて」

ダンテはキューを置くとナナに近づいて彼女を抱き上げるとそのままビリヤード台の上に彼女を押し倒した
突然の事に黙っていたが、自分の状況に気がつくとじたばたと暴れ始めた

「ダ、ダンテさん!?」
「負けたヤツには当然罰ゲームだろ?」
「だ、誰かに見られたらどうするんですか!?」
「別に構わないだろ?夫婦なんだしな」
「で、でも…んっ」

何かを言おうとしたナナの唇を塞いで長く口付けてやればやがて抵抗する力が弱まっていく
そのまま首筋に唇を這わせてやれば彼女の身体がピクリと反応した

「ダンテさん…ダンテさん…っ!」
「昼間から大胆ね」

突然聞こえた声にナナは身体を起こしてそちらを見た
サングラスを外して呆れたような顔をしているレディがそこに立っていた
舌打ちをするダンテと見られてしまったと顔を真っ赤にさせるナナ

「いいところで何の用だ?」
「あなたに仕事を持ってきたのよ…あ、そうだナナ。さっき手紙を受け取ったのよ」
「あ…!!!」

すぐにレディに近づいてナナは手紙を受け取るとお礼を言った
横からダンテが覗き込んできたので彼女はすぐに隠した

「誰からだ?」
「え、えーっと……お友達です」
「友達?まさか男じゃねぇだろうな」
「違います!ちゃんと女の子ですよ…」

ナナはそう言うと2階へと手紙を片付けに行く
その背中を見送っていたレディが口を開いた

「差出人…書いてなかったけどね」
「何…?」
「"変わったお友達"がいるみたいね、彼女……まぁそれは後にして仕事の話よ」


自分の部屋へとやって来たナナは数枚の手紙にため息をつくと、1枚の封筒を開けて中を読んだ
書かれてある内容に深く息を吐き、他の封筒の中身も確認してみれば同じような事が書かれていた
数枚の封筒を鍵がかかっている箱の中へと入れると急いで1階へと降りた
ちょうど仕事の話が終わったのかダンテはいつもの赤いコートを着て準備をしていた
彼女の姿に気がついたダンテはナナへと近づいてくると声をかけた

「仕事が入ったから行ってくる」
「はい…気をつけて下さい」

彼女の額にキスをしてダンテはレディと共に事務所を出て行った
ダンテが出て行ってから数分後、事務所の扉がノックされたので出てみれば数人の男と女が険しい顔で立っていた


A letter without an address
(ダンテさんに迷惑をかけるわけにはいきません)


130908


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -