第2話 The name of the man who helped


「じゃあ明日からはナナの作ったケーキで決まりだな」

テーブルの上にいくつものケーキが並べられていた
3人で色々と食べてみたのだが一番おいしかったのはナナが作ったケーキだった

「えぇ〜あたしのもイケるよ〜」
「ふざけんな、ハバネロいれてる時点でアウトだろ」

エイミーが作ったケーキは見た目も赤く、試しにロクサーヌが食べてみれば身体中が熱くなって何度も水を飲むほどだった
彼女はもちろんその後こっぴどく叱られたのだが…

「お、もうこんな時間だな。ナナ今日はもう帰っていいぜ」
「え?でもまだ後片付けが残ってますよ?」
「あたしとエイミーでやるよ。あんたいつも残ってもらってるしね…たまには早く帰りな」
「ありがとうございます、ロクサーヌちゃん」

頭を下げてお礼をいうナナにロクサーヌは微笑んだ
途端に不満そうな声を上げるエイミーだったがロクサーヌの一喝ですぐに後片付けを始めた
彼女は今日遅刻してしまったのだから仕方ないといえば仕方ないのだが…

今日は言葉に甘えて帰る事にしたナナ
そんな彼女にロクサーヌは再び声をかけた

「ナナ…帰り道気をつけろよ。エイミーの事もあったし…さ」
「大丈夫ですよ、ここから家まで10分ほどですし…」
「……とにかく気をつけなよ」
「はい、おやすみなさい」

ニコリと微笑んでナナは店を後にした


人通りの少ない道をナナは進んでいく
この辺りに悪魔が出る、というのは珍しいことでもなかった
この世界には実在するのだ
ナナはエイミーが"悪魔"に襲われたということに瞳を濁らせる
それは遠い昔の記憶、自分も悪魔に襲われたことがあった
両親と悪魔から逃げようと車で走り回った…そして両親は自分を庇って悪魔に殺されてしまった
その時すでに息を引き取っていた両親の肩口から見た赤くて鋭い瞳をした悪魔の姿は一生忘れられない

悪魔は一生好きになれないだろう……

ガタッ

聞こえた物音にナナはそちらを見る
大きなゴミ箱がある、風で揺れたのかそれとも猫でもいるのだろうか
特に気にせずそのまま歩こうとした

ガタタッ!!

「!!」

再びゴミ箱に目をやれば大きな手が出ていた
鋭い爪を持ったそれはゴミ箱の蓋を開けて出てくるとすぐにナナの姿を見つけた
悪魔だ
彼女は後ろに数歩後ずさる、それに合わせて悪魔も詰め寄ってくる
ナナはすぐに体の向きを変えて走り出す、右へ左へと建物の間の細い道を…

「あっ…!?」

彼女が次の角を曲がればそこは高いフェンスが待ち受けており行き止まりに近かった
どうしようかと考えていると後ろには悪魔がいた
フェンスに背中を預けて体を震わせる、悪魔はニヤリと笑うと大きな口を開けて彼女に襲い掛かった

「きゃ…!!」
「ギエエエエエエェェェッッッ!!!!!!!」
「?……!?」

大きな悪魔の悲鳴が聞こえてそちらを見れば自分の目の前に大きな背中が見えた
男は悪魔に向かって銃を突きつけている、どうやら悪魔を彼が倒したらしかった
そのまま悪魔は倒れこむとすぐに砂になって消えた
ナナは助けてくれた男に声をかける

「あの…ありがとうございます」

男は振り返って微笑んだ
銀色の髪にアイスブルーの瞳…そして赤いコート
そういえばケーキを作っていたときにエイミーが言っていた男と特徴が似ている
もしかしてこの人だろうか?

「あ、貴方は…エイミーちゃんを助けてくれた人ですか?」
「エイミー?」
「昨日悪魔に襲われてた女の子です…私のお友達なんです」

男はそれを言われて思い出したのかあぁ、と返事をした
エイミーだけでなく自分も助けてくれた

「助けていただいてありがとうございます。エイミーちゃんだけでなく私まで…」
「babyは可愛いな」
「え?」

顎を掴まれて上に向けさせられるとそのまま頬にキスをされた
一瞬何が起こったのかわからないナナだったがすぐに顔を赤くさせてキスをされた頬を片手で押さえた
その反応にまたも男はククッ、と喉の奥で笑い「可愛い」と呟いた

「俺の名前はダンテ……また会おうぜbaby」

ダンテはそう言って笑うとその場を去った


The name of the man who helped
(い、今のって…キス…ですよね…?)


セクハラですダンテさんw
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