第∞話 I want you to unbearable


コーヒーが入ったマグカップに口をつけながらレディはくすっ、と笑う
ダンテは罰が悪そうな顔をした

「悪魔も恐れるデビルハンターが一人の愛した女性に否定されるのが怖いだなんてね」
「ナナを傷つけたくないんだ……」
「でももう限界なんでしょ?いつか爆発して無理矢理彼女を抱いて傷つける事だってありうるのよ?」

持っていたマグカップをテーブルの上に置いて彼女はトランクを持って立ち上がった
側においてあった伝票を手に持ってそのまま歩いていく

「さっさと彼女に伝えなさいよ、貴方が欲しくて堪らないって」

ニッ、と笑ってレディは店を出て行く
残されたダンテは大きく息を吐いて髪の毛をバリバリと掻いた


* * *

事務所に帰ればいつものように夕食の準備をしているナナの姿が目に入った
ダンテが帰ってきたことに気がついた彼女はニコリと微笑んだ

「おかえりなさいダンテさん」
「…あぁ、ただいま」

再び作業を始めるナナの背後へとダンテは近づいていく
小さな身体、一生懸命自分の為に料理をしてくれる彼女が愛しくて仕方ない
欲しくて堪らない

「ダンテさん…?」

後ろからダンテに抱きしめられた
ナナの心臓がうるさく鳴りはじめる、それと同時に昼間ロクサーヌに言われた事を思い出す。ダンテは自分を抱きたくて堪らないのだと…

「ダンテさん……」
「ん…?」
「……私が、欲しいですか…?」

自分を抱きしめてくれるダンテの手を離してゆっくりと彼女は振り返った
ナナからの言葉にダンテは驚きを隠せずにはいられない、わかっていたのだ自分が欲しているのことを

「…男の性ってやつだな……ナナが欲しくて仕方ないんだ」
「……好き、ですか?」
「え?あ、当たり前だろ!それ以上に愛してるぜ」
「っ…」

力強く抱きしめられてナナも彼の背中に手を回して抱きしめる
そして決意したかのように口を開いた

「私も…ダンテさんを一番あ、愛して、ます……だから、優しくしてください……」

彼女なりの精一杯の言葉
だけどダンテの理性を壊すには十分な言葉だった
すぐにナナを抱き上げて寝室へと向かった



「怖いか?」

お互い裸になってシーツで体を隠しているナナにダンテは問う
彼女は少し、と答えた後ダンテの大きな手を握った

「でも…ダンテさんに愛されるなら私は幸せです…」

そう言って微笑む彼女の唇を塞いだ


ダンテさんはとても気をつかって優しく接してくれました
何度も痛くないか?と聞いてくれてとても嬉しかった
初めてだったけどそれほどまでに痛くもなく、たくさん愛してくれました…
とても幸せな時間でした……



「ん…」

ナナが目を開ければダンテに抱きしめられていた
彼の顔を見て昨日の事を思い出してとても恥ずかしくなってしまうけれど幸せだった
まだ寝ている彼に微笑むとナナはその逞しい胸板に額を押し付けて幸せそうに目を閉じた




* * *

数年後……
デビルメイクライに大きな鳴き声が響き渡る

「うええええぇぇぇっっっ!!!!」
「何よ!あたしはちゃんと貸してって言ったじゃないっ!」

泣きじゃくる弟からおもちゃを取った姉はイライラして答えた
そこにナナが慌ててやってきた

「ロダン、どうして泣いてるんです?」
「ママー!おねえちゃんがあぁぁっ!!!」
「リリア、弟からおもちゃを取るのはよくないです。返してあげてください」
「……私は貸してって言ったのに、ママのバカっ」

リリアはおもちゃを地面に放り投げると階段を上っていく
そんな娘にナナは困ったようにため息をついた
娘のリリアは外見はナナにそっくりなのだが中身のやんちゃさはダンテに似ている
そして息子のロダンは外見はダンテに似ているのだが中身はナナに似ているというなんとも奇妙な子供達だった

「リリア、そんなに乱暴じゃあ男にモテないぜ?」
「いいの!パパとけっこんするんだからっ」

1階での騒ぎが聞こえていたのかダンテに抱きかかえられながらリリアと共に降りて来た
リリアは相変わらず不貞腐れた表情を見せている
そんな娘に苦笑しながらもナナはダンテに口を開いた

「そろそろ出かけましょう、ロクサーヌちゃんもエイミーちゃんもお店で待ってます」
「そうだな…おらロダンも泣いてないで行くぞ」

リリアを降ろしてロダンを立ち上がらせると手を繋いで事務所の外へと出て行く
ダンテ、リリア、ロダン、ナナという順で家族4人で手を繋いで歩いていく
まさに幸せな家族……

「リリア、ロクサーヌの息子とケンカすんなよ」
「だってルークがわるいんだもん」
「ママ、ストロベリーサンデーたべたい」
「着いたら作ってあげますね」


I want you to unbearable


ずっと書こうか迷っていたのですがヒロインに幸せな初体験をしてほしくて書きました。お互い強く求めていて深く愛し合っている話にしたかったんですけど…上手く書けてるといいんですが、今回の子供達はいつもとはちょっと違いますまず双子じゃなくて姉の方は中身はダンテにそっくりでやんちゃ弟はヒロインに似ておとなしい子にしました。成長して娘は父親と一緒に悪魔を狩り、弟は文学の道へと進んでいてもいいなぁ…もしくは娘は段々大人しくなり、大人しかった弟が悪魔を狩る仕事についていてもおもしろい、てかどっちに転んでもおいしい設定ですねww
ここまで読んでくださりありがとうございます!!
120916


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