第∞話 I want you to unbearable


正式にダンテと結婚をして数ヶ月の月日が流れた
いつものように朝食の準備をして、今日は仕事が入っていたので未だに寝ているダンテを起こしに行くナナは覚悟をしたように息を呑んで階段を上っていく



部屋を空けて目に飛び込んできたのが上半身裸で眠るダンテ
彼と一緒に暮らしていて上半身裸姿には大分慣れたのだが、未だに心臓をうるさくさせられてしまう
近くまで行きその肌に触れて身体を揺さぶる

「ダンテさん、起きて下さい。今日はお仕事があるんですよね?」
「んー……」
「あっ!!」

うっすらと瞳を開けたダンテはナナの腕を掴むとベッドの中へと引きずり込んだ
引きずり込まれた彼女が抵抗するがダンテは力強く抱きしめてそのまま強引に唇を塞いだ

「んんっ…!!」

目を固く閉じて頬を赤く染めるナナが可愛くてダンテは目を細める
腰を引き寄せて撫でる、そして尻に触れたときに彼女が思わず声を出した

「ダ、ダンテさんっ!!!」
「!…あ、あぁ悪かった…」

驚いたような瞳で自分を見つめるナナに気がついたダンテは身体を離してやり、ベッドから起き上がって下へと降りて行く
残された彼女もベッドから起き上がって未だにうるさく鳴る心臓を抑えながら頬を赤く染める
しかしダンテがこの行動を起こすようになったのも今日が初めてではない、結婚してから彼のスキンシップは酷くなったものだ。最初は優しくキスをしてくれたのにいつの間にか彼女の息が上がってしまうほど深いものになっていた
寝ているときだって抱きしめて厭らしく身体に手を這わせている事もナナは気づいていた、だけど言うのも怖い。目が変わるのだから、獲物を狙うオオカミのように……


* * *

「あーそりゃきっとヤりたいんだな」

ダンテを見送ってからナナも仕事場へと向かいロクサーヌに話した所彼女からすぐに返ってきた返事がこれだった
それを聞いたナナは耳まで真っ赤にさせて両手を大きく振った

「ロ、ロクサーヌちゃん!そんな事大声で言ってはいけません…っ」
「なんだよ本当の事なんだから」
「で、でも…」

いつまで経っても反応が可愛らしい彼女にロクサーヌも困ったようにため息をついた
こんな反応を見せられたらあのダンテだって耐えられないのだろう

「けど結婚してもう数ヶ月経つし、その前から一緒に暮らしてる……何もないってのがあたしにはビックリなんだよなー」
「そう…なんでしょうか…?」
「……まぁ早めにヤればいいってわけでもないけど、けどなぁナナ、愛する男に抱かれるってのは幸せな事なんだぜ」
「ロクサーヌちゃん……」

ロクサーヌの過去を知ったからこそナナには彼女の言葉の重みがわかる
ナナだってダンテに抱かれたくない訳ではない、ただ初めてだし裸を見せるのも恥ずかしいしどうしていいのかわからなくなる

「まぁ…ダンテに言えばいいんじゃね?自分の決心が着くまで待って欲しいって……けどダンテも限界まで来てるだろうから早くした方がいいと思うぜ。他の女で解消するってこともありうるからな……」
「!!そ、それは…」

ダンテが他の女と身体の関係を持つ事は嫌だった
だけど男はヤらせてくれないなら他の女で欲求を解消する事ができる生き物だ
だったら決意するしかない、ダンテに抱かれる事を……


* * *

「今日の仕事は楽勝だったわね」

報酬が入ったトランクを開けて嬉しそうに札束を眺めるレディにダンテはあぁ、と答えた
どこか暗い彼にレディは蓋を閉じて彼を見る

「なーに暗い顔しちゃって、可愛い奥さんに愛想尽かされちゃった?」
「そうじゃねぇよ……ただ、このままじゃやばい…」
「?」

最近自分がナナを強く求めている事にダンテは気づいていた
彼女にもっと触れていたいとスキンシップが激しくなったり、夢の中でも何度も彼女を抱いていた事があった
ナナを抱きたくて欲しくて仕方がない

「否定されるのが怖いんでしょ?」
「!?」


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