第28話 Darling is the devil2


「消えちゃいました…」
「あぁ……ナナのおかげかもな」

ダンテにも同じ悪魔の血が流れている
だけどダンテは違う、と言ってくれたナナの言葉はとても嬉しかった
そのおかげで彼の中の黒い感情は消えてたのだろう
だが油断はできない、彼はいつでも自分の中にいるのだから
ダンテはナナを抱きしめた

「ダンテさん!?」
「さっきの言葉は…俺が好きだってことでいいんだな?darling?」
「ぁ…その…」

かぁっと頬が赤くなるナナにダンテは頬にキスをする
そのまま固まってしまう彼女に彼が口を開いた

「俺は嬉しいんだぜ…ようやくナナが俺を好きになってくれて、ずっと待ってたからな」

ダンテは幼い頃のナナを頭の中に思い出して懐かしそうに目を細めた

「ようやく好きになったんじゃないです……私、昔の事思い出しました。ダンテさんに出会ったあの日からずっと好きだったんです」
「ナナ…」

身体を自分の方に向けさせて力強く抱きしめる
ナナもしっかりとダンテを抱きしめ返し、涙を流した

「もう離さないからな…」

そのままナナの唇を塞いだ



* * *
数ヵ月後……

「はい8番のチョコレートケーキ!」

ロクサーヌからケーキを受け取りナナはお客さんの元へと持っていく
そこに慌ててやってきたエイミーが店へとやって来た

「エイミー!!また遅刻かっ!!!」
「ご、ごめんロクサーヌちゃん〜二度寝しちゃって〜あはは」
「あははじゃねぇっ!!!」

彼女の怒りのゲンコツを喰らってエイミーは涙ぐむ
ナナもやってきて苦笑する
ロクサーヌはため息をついた

「……今日はお前最後の出勤なんだからちゃんと来いよ」
「……うん、ごめんねロクサーヌちゃん」
「……もう今日で最後なんですね」

3人は寂しそうな顔をする
そう、エイミーはデザイナーになるという夢を叶えるためにパリへと旅立つことになったのだ
ロクサーヌはやめやめ、と声に出した

「暗い店になっちまう、エイミーさっさと着替えて来い。ナナはそろそろ時間だろ?行っていいぞ」
「は〜い」
「はい」

ナナはエプロンを外して鞄を持つとエイミーと最後に握手を交わして店を出て行く
エイミーは奥へと行く前にロクサーヌに声をかけた

「ロクサーヌちゃん……ありがとね」
「……なんだよ、今更」

エイミーは微笑むとそのまま奥へと行った

「本当は寂しくて泣きたいんじゃないですか?」
「バーカ…いなくなってせいせいするよ……」

カウンターに座っていた男が声をかける
彼はロクサーヌの新しい恋人だった、口ではそういう彼女だが瞳はとても優しい

「ロクサーヌも素直じゃないですね」
「うるせーよ」




「ダンテさん」

店の外でバイクにもたれかかっていたダンテはナナに気がついて片手をあげた
彼の元へ小走りに近づく

「じゃあ行くか、乗りな」
「はい…」

後ろに乗るナナを手伝ってダンテはバイクに跨る
彼の腰に両手を回してしっかりとしがみつく

「こうして二人で墓参りに行くのは…久しぶりだな」
「はい……何だか緊張します」
「ははっ…しっかりつかまってろよ」

バイクは走り出した
数十年ぶりにナナは両親が眠る墓へと向かう、色々と忙しくてようやく今日行くことができた
そして両親に報告するのだ
ダンテと結婚することを


Darling is the devil
(私の彼は悪魔、だけどとても大好きな人)


120909


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