第28話 Darling is the devil


「ダンテしっかりしろっ!!」
「おじ様目を開けてっ!!」

二人が何度も呼びかけて頬を叩いたりするのだがダンテは一向に目を覚まさなかった
ロクサーヌは女神の像を睨みつける

「あいつにやられたのか…?にしてもナナはどこに?」
「おじ様っ!!あたしまだ約束交わせてないよ!おじ様とナナちゃんの恋を応援するって約束したんだからっ!!」
「エイミー……」

涙を零しながら肩を震わせるエイミーにロクサーヌは優しく手を置いた
この時二人はダンテが死んだのだと思った

――ダンテさんっ!!
――………
――ダンテさん!目を開けてくださいっ!!私は待ってます…から…お願い

助けてっ!!!

ドクンッ!!!

ダンテの目が開かれた、そして彼はゆっくりと身体を起こした
彼が起きたことにロクサーヌとエイミーは驚いて思わず身体を後ずらせた

「ダンテ……?」
「助かったぜ二人とも、おかげでナナの声が聞こえた」
「……ナナちゃんあそこにいるんだね?」

エイミーが女神の像を指差した
ダンテは頷くとロクサーヌとエイミーの肩をガシッと掴んだ

「心配するなナナは必ず助け出す」
「頼んだぜ」
「おじ様、無理しないでね〜」

二人の声援を受けてダンテはウィンクするとそのまま建物の屋上へと飛び上がった


* * *

「さて…オトモダチの店はあれか?」

一軒の店を見つけた黒ダンテはニヤリと笑った
ロクサーヌとエイミーはいないのだが、それは彼は知るはずもない
店を壊せば落ち込むのは確かだ。黒ダンテは女神の像に向けてニヤリと笑った

「跡形もなくブチ壊してやれ!!」

女神の像が手を振り上げた時だった、彼女の手の上にダンテが乗っていた
それを見た黒ダンテは目を見開いていたがため息をついた

「本当にしつこい男だな…」
「悪いな…これ以上はお前の好きにさせない。そして…ナナは返してもらう」
「ナナならすでに像と一体化しちまったぜ、遅かったな」

ナナが囚われていた場所を見るが、確かに彼女の居場所はなかった
ダンテは女神の肩へと移動して声をかける

「安心しろナナ…必ず助けてやる」
「構うな!そいつを殺せっ!!」

黒ダンテが命令するのだが女神の像は動かなかった、動かないことにイライラした彼はその場にリベリオンを突き刺すのだが女神は動かない
女神の像にとりついている悪魔も暴れたいのだろう、だけど何かに邪魔されて動けない様子だった
ダンテは女神の胸元が赤く光っているのに気がつくとそこに移動してリベリオンを突き刺した、固いはずなのに何故かそこは柔らかくなっており下へと下げるとナナが出てきた
彼は力強く抱きしめた

「ナナ…」
「……ダンテさ、ん……」

ナナは嬉しそうに微笑むとダンテの首に手を回して抱きついた
ずっと止まっていた女神の像はやがて足元から段々と姿を消し始めた
ダンテはナナを抱きかかえたまま地上へと降りて行く


地上に降りて来たダンテはナナをゆっくりと地面へと降ろした
彼女は街がボロボロになっていることに気がついて悲しそうに目を伏せた

「これ……私がやっちゃったんですね……」
「ナナのせいじゃないから安心しろ、悪いのは…悪魔だ」

ダンテが睨みつけた先に黒ダンテが立っていた

「お前は俺だって言ったな」
「そうだ…お前の中の黒い感情から生まれた……ナナに悪魔が嫌いだって言われてから俺は目を覚ますのを待っていたんだ」
「……私の言葉で?」
「そうだ、そいつはお前を愛しているからな。愛するものから否定されるのはどれほど悲しくて…そして怒りの感情が沸いてくるかわかるか?」

そして黒ダンテは背中のリベリオンをダンテに向けた
だがダンテを庇うようにナナが立った

「ナナ!?」
「……確かに悪魔は嫌いです、大切な両親を殺したし…大切な人を傷つけるから…好きにはなれそうにないです……でも、ダンテさんは違います。力強くて優しくて…人を思いやる心を持った…誰よりも人間らしい人です
私は……そんなダンテさんとこれからもずっと一緒にいたいです」

ナナの言葉にダンテも黒ダンテも目を見開いていた
そして女神の像と同じように黒ダンテも段々と足元から姿が消えていく
彼はそれに舌打ちをするとダンテを見た

「忘れるな…俺はいつでもお前の中にいる」

そう言ってニヤリと笑うと彼は姿を消した


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