第24話 Timid man and woman who lost


ダンテから聞いた過去にロクサーヌとエイミーは驚きを隠せなかった
レディも黙って聞いていたが今回初めて知ったこともあったのだった

「これが俺が知る限りの話だ」
「だからアンタはナナにやたらと纏わりついてたのか」
「最初に見かけたときにすぐにわかった…だがナナは俺の事を見ても何も言わなかったからな」
「…覚えてないんだね」

全員が黙り込んでしまった、が口を開いたのはレディだった

「で、あなたこれからどうするつもり?」
「そうだ…ナナに全部話してやれよ。両親の事もさ」
「…俺が殺したって言うのか?」
「おじ様はナナちゃんを助ける為だったんだから仕方ないよ〜ナナちゃんだってきっとわかってくれ「無理だ」

珍しく弱気なことを言うダンテに一同は目を見開く
いつも自信たっぷりで余裕な態度を見せる彼は一体何処にいってしまったのか?

「あいつは自分の両親を殺した悪魔を一生許さないだろう…前に悪魔の姿の俺を見て手を振り払われた」

それはとても怖かった

「全部話して……アイツに否定されるのが…嫌だ……」

悪魔の血が混じった自分を


大の男がとても小さく見えた
愛した女の事になると男はどうしても弱くなってしまう
ロクサーヌは一枚の紙をダンテのテーブルの上に置いてエイミーの手を引くと玄関へと向かう

「それ…あの子の住所だから、逃げずにちゃんと向き合わないと後悔するぜ」
「……」
「おじ様!エイミー約束したでしょ!おじ様の恋を応援するって!」

扉が大きな音を立てて閉じられた
レディは二人の背中を見送ってダンテの方へと体を向ける

「ずっと愛していた子なんでしょ?さっさと行って気持ちを伝えてきなさいよ、また遠くに行ってしまってもいいの?」

ため息をついてレディは事務所を出て行った
残されたダンテはゆっくりと手を伸ばして1枚の紙を手に取る
ナナの家の住所が書かれた紙、それを握り締めると壁にかかってあるコートを着て外へと出て行く
その時ダンテの影から何かが具現化した……



手に握られた赤い指輪
ナナはそれを手の中で転がしながら遠い日の事を思い出す
そう、彼女はあの日ダンテが自分の前で悪魔の姿になった時がきっかけで昔ダンテと暮らした日々の事を思い出したのだ
それから引き出しに閉まっていたダンテに貰った赤い指輪を取り出してきた
それを自分にくれた、ダンテの母親の形見だと

「…返さないといけませんね…」

また彼と一緒に暮らすことを約束した証
それをダンテに返すということは彼との約束は果たせない
別れを意味する
だけど彼は…自分の両親を殺した悪魔の血が入っている、許せない存在だ

「パパ…ママ…私はどうすればいいんですか…?」

悪魔は許せない、だけど彼は……


コンコン

「! はい?」
「……俺だ」
「!!」

ドア越しに聞こえた聞き覚えのある声にナナは身体をビクリとさせた
そして指輪を握り締めるとそのまま扉へと向かう
呼吸を整えて扉を開けてダンテを見上げた彼女だったがそのまま彼に首を掴まれてしまった

「うっ…!!」
「ふぅん…?お前がナナか」
「ダ、ダンテさん…?」
「悪くない…殺すにはおしいな」

ペロッ、と舌を出してナナの頬を舐める
今までされたことのない恐ろしい感覚に体がガクガクと震えた
目が赤く髪の色も漆黒に近い色をしている、彼はダンテなのか?
彼はナナの首から手を離してそのまま抱きしめる、後ろから誰かが銃を撃ってきたらしい
撃った人物はダンテだった

「ダンテさんが二人…!?」
「大丈夫か?ナナ」
「ようやく臆病者の登場だな」

黒ダンテはグイッとナナの顎に手をやりダンテの方を向かせる
痛みに彼女が顔を歪めるのを見てダンテは眉間に皺を寄せた

「お前にこの女が救えるか?臆病者のお前に…」
「ナナを…離せ」
「だったら奪いに来いよ」

ニヤリと笑うと彼はそのまま彼女を抱き上げて窓から飛び出した
ダンテも同じように後を追いかける


Timid man and woman who lost
(俺に勝つことができるかな?臆病者)


私は黒様が好きなんですねww
120904


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