第22話 You will always be in mine


朝食を食べ終えて片づけが終わった後、休む間も無くナナはせっせと掃除を始めた
ダンテの事務所はハッキリ言って汚かった、ピザの箱がやたらと詰まれていたり部屋の隅の方には蜘蛛の巣なども張ってある
普段から母親と一緒に掃除をしていたナナには耐えられず、やりがいもあったのでモップを取り出すと床を拭き始める

「よく働くな…」
「お兄ちゃん部屋汚すぎます!体にもあくえいきょうですよー」
「俺は大丈夫だ」

そう言うとダンテは雑誌を広げて読み始める
が、実際は開いただけで内容などにまったく目を通していない
その視線は常にナナへといっていたのだ。彼女はその視線に気がつくことはなく掃除を始めているのだが
その時事務所の扉が開かれて入ってきたのはレディだった

「おはようナナ、事務所掃除してるの?偉いわね」
「おはようございます…レディさん」
「お菓子買ってきたの……ちょっとダンテとお話があるから2階で食べててくれる?」
「?はい…」

紙袋を受け取ったナナはモップを壁にかけると言われたとおりに2階へと上がっていく
部屋の扉が閉まった音が聞こえるとレディは胸元から一枚の紙をダンテがいる机に向かって投げた
彼はチラリ、とそれを見た

「新しい依頼か?」
「違うわ…それね街に貼られてたの。人を探してるって内容よ」
「人…?」
「多分…あの子の身内じゃないかしら、ナナとその両親の行方を捜してるって内容よ」

投げられた紙を手にとってダンテは見た
そこには写真が載っておりナナとその両親の写真だった
今思えばそうだ、親戚とか彼女にはいたのかもしれない。一人ぼっちではなかったのだ
だが彼はその紙を再び机に置いた

「放っておけばいいんじゃねぇか?」
「駄目よ、もし貴方の所にナナがいるってことがバレたらどうするの?何故連絡しなかったんだって言われるわよ?」
「知らなかった…でいいんじゃねぇか?」
「…あの子の事も考えてあげて、貴方といたら悪魔に襲われることだったあるし貴方が生活費を養ってあげなくちゃいけない……借金だらけの貴方にそれができる?」

痛いところを突かれてしまった
ダンテは眉間に皺を寄せた
レディの言うことが正しく彼女の気持ちがわかる、だがナナを自分の手から手放す…
それが何よりも嫌だった

「お兄ちゃん…」
「!!ナナ…いつからそこにいたの?」
「……さっきです」

階段に立っていたナナはそう言うと顔を俯かせた
ここまで聞いていたのなら隠す必要もないだろう、レディは彼女に歩み寄って肩に優しく手を置いた

「貴方の親戚がナナの事を探してるんですって…ここにいるよりはその人たちの所に帰ったほうが貴方の為になるわ、帰る気になったら私に言ってね」

それだけ言うと彼女はそのまま事務所を出て行った
残された二人だったがナナはすぐに階段を降りてダンテの側へと歩み寄り彼のズボンにしがみついた

「わたし…お兄さんと…ダンテさんと離れたくないです…っ」
「ナナ…」
「親戚の所になんかいきませんっ!ダンテさんと一緒にいますっ!!」

涙をボロボロと零しながら言うナナにダンテは胸を痛めた

罪滅ぼしだったのかもしれない
彼女の両親を殺したから、自分の命に代えても彼女を守らなければならないと
それで彼女を引き取ったのだと思った
だけど違う、自分は惚れていたのだ…この少女に……


ダンテはナナから離れると机へと向かい引き出しを開けて何かを取り出した
じっと見ていた彼女の元へと再びダンテはやってきて手を差し出すように言われた
涙を拭いながらナナが小さな手を差し出すとその上に赤い指輪が落とされた

「指輪…?」
「…昔な、俺の母さんが親父からもらった指輪らしいんだ」
「ダンテさんのお母さん?」
「あぁ…お前と同じで悪魔に殺されて死んじまったけどな」

初めて聞いたダンテの母親の最後に自分と同じだとナナは思った
そして彼は再び口を開く

「ナナ…それは"約束"の証として渡しておく」
「やくそく…?」
「…ナナが大きくなったら俺はお前をもらう、必ずな」

力強い瞳で見つめられてナナは心臓が大きく鳴った

「だから大きくなるまで…お前は親戚の所で暮らせ」
「え…?や、いやですいやっ!!ダンテさんと離れたくないですっ!!!おおきくなったらダンテさんわたしのことわかんなくなっちゃいます!!!」
「その為の証だろ?安心しろ…俺は必ずお前を見つけ出す、何があってもな」
「でも……」

未だ納得のいかない様子のナナにダンテは苦笑する
そんな彼女を抱き上げて目を合わせる

「ここにいたらな…やっぱり悪魔に襲われることは多くなるんだ、その事を考えたらやっぱり親戚の所にいるのがいいんだ。嫌だろ?悪魔に襲われるのは」
「……」
「大きくなったらまた一緒に暮らせるんだ、喜べよ」
「……はい」

ようやく微笑んだナナの小さな唇へとダンテはキスをした

それから数日後、ナナは親戚の家へと旅立った



「寂しくなったわね、ダンテ」
「……まぁな、で?今日は何の依頼だ?」

レディから仕事内容を聞くとダンテは赤いコートを羽織って外へと飛び出した


You will always be in mine
(約束の日までが楽しみだっ!!)


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