第20話 Whereabouts of the parents


すっかりと冷えてしまった身体
寒いと何度も呟きながらダンテは事務所へと足を向かわせる
そして今頃事務所で寂しい思いをして待っているナナを笑顔にさせることができるかもしれない、とワクワクしていた
だが彼の考えは飛んでしまう、角を曲がって事務所を見てみれば扉が開いている
急いで中に入ればナナの姿はなかったのだ

「まさかアイツ……自分で探しに行ったのか…!?」





「寒い……」

事務所を飛び出したナナは白い道を歩いていた
雪が積もりコートも着ていなかった彼女の体を容赦なく冷やす
やっぱり事務所に戻ろうかと考えたときにはもう遅かった
この周辺の事などわからずに飛び出してしまった為、戻ろうにもどちらへ行けばいいのかわからない
泣きそうになりながら近くの階段へと腰をかける

「パパ…ママ…」

両親に会いたい
会ったらたくさん抱きしめてもらってキスをしてもらって、いっぱい話を聞いてもらいたい
こんな寒い日は母の作るクリームシチューが食べたくなる
その時ナナに影が迫る、地面に写った影を見て上を見上げれば悪魔が見下ろしていた

「ぁ…あぁ…」
「キシャアアアアア!!!」

ナナはなんとか悪魔の攻撃を避けて走り出す
当然悪魔も彼女を逃がすまいと後を追いかけてきた
誰かに助けを求めたくても人がいない、泣きながら角をたくさん曲がって逃げる
だがある一つの角を曲がれば行き止まりだった
後ろを振り返れば「捕まえた」と言わんばかりに悪魔はおもしろそうに見下ろしている

「パパ…ママ……」

バンッ!!

銃声が響いた
ナナの上からダンテが飛び降りてきた、彼は一匹の悪魔を倒すとそのまま次の悪魔を倒す
まるで悪魔と踊っているかのように次々と倒していく彼の姿にナナは目を奪われた
そしてすべて倒し終えるとダンテはすぐにナナを抱き上げた

「何で勝手に出て行ったんだ」

いつもと様子が違っていた
彼は怒っていたのだ
ナナはぶわっと涙を零しながら口を開いた

「だって……パパにもらったお人形が…っ…それに…パパとママに会いたいです…っ」
「……人形ってのはコレだろ?」

ダンテはくまのぬいぐるみをナナに差し出す
それは間違いなく彼女が父親に買ってもらったぬいぐるみだった
ナナは少し汚れてしまったぬいぐるみを受け取り抱きしめる

「たくっ…せっかく人が探しに行ってたのにお前はいなくなるし…心配したんだぜ?」
「……ごめんなさい…」
「上着も着ずに出て行きやがって…あーそっか上着ないんだったな」

今度レディにでも頼んで彼女の服を買ってきてもらおう
そしてダンテは再び口を開いた

「……両親に会わせてやるよ」
「えっ!?」

両親に会えるという言葉にナナは嬉しそうに笑った
その笑顔にダンテは胸が痛んだ、両親に"会える"といっても"会えない"のだから
だがこれ以上隠すのは難しいと感じたのだ


一つの墓の前にナナを連れてきた
彼女はキョロキョロと辺りを見回す、どこに両親がいるのだろうか?
一向に自分の前に現れてくれない

「お兄ちゃん…パパとママどこにいるの?」
「……それだ、それがお前の両親だ」
「え……」

ナナはダンテに言われた墓を見る
そこには両親の名前が刻まれていた、彼女は首を横に振る

「違うよ……」
「…両親と一緒に悪魔に襲われたのは覚えてるか?」
「……」

ダンテに言われてナナは悪魔に襲われた日の事を思い出す
本当は思い出したくもない、思い出しただけで恐ろしくなってしまう
体を震わせるナナの頭にダンテは優しく手を置く

「ナナが気を失った後……殺されたんだ。"悪魔"にな」
「…パパとママが…死んじゃったの?…もうあえないの…??」
「………あぁ」

もう二度と会うことはできない
つらい現実にナナは大きな声で泣き出した
その姿は幼い頃の自分にソックリだった、母親を失いバージルがいなくなり
毎日泣き続けていた自分に……

ダンテはナナを抱き上げた

「俺と一緒に暮らさないか?」
「え……」
「…悪魔からお前を守ってやるよ。それにお前の親父さんに頼まれたしな」

ナナは泣くのをやめて考え込んだ
この人と一緒に暮らす……
両親は死んでしまったし、自分は一人ぼっちだ
大切なぬいぐるみを探してきてくれたこの人ならいいかもしれない

「うん……」
「よし、決まりだな」
「……あのお兄ちゃん」
「ん?」

ナナは涙を拭いてダンテを見つめる

「ぬいぐるみ探してきてくれてありがとう…です」

ニコリと微笑んだナナの笑顔にダンテは心を奪われた


Whereabouts of the parents
(命をかけてこの笑顔を守る)


ダンテはロリコンじゃないですよww
120825


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -