第14話 Lend force to Amy


「エイミーちゃん、大丈夫です?」
「ナナちゃん……」

店の奥の机の上で足を抱え込んで座っていたエイミーの元へナナはやってきた
彼女に気づいたエイミーはどこか寂しそうに微笑んでうん、と答えた
続いてロクサーヌもやってきた

「追い返しといてやったよ……エイミーあいつらはあんたにとって良くない連中だろ?」
「…うん、まぁ…そんなとこかなー……」
「……たくっ調子が狂うなぁ…今日はもうあんた帰りなよ」
「え!?まだ店に来て1時間ぐらいしか経ってないよ!?」

驚いた表情でエイミーはロクサーヌを見る
すると彼女はやれやれ、と言った様子で髪の毛を掻いた

「いつもの調子が出ないあんたに店にいられても困るんだよ、どうせここはそんなに繁盛してる店でもないんだ。あんた一人ぐらいいなくてもやっていけるよ」

彼女はそう言うとそのまま表へと出た
ぱちぱちと瞬きをするエイミーにナナは微笑んだ

「あれでもロクサーヌちゃんなりの気遣いなんですよ、今日はお言葉に甘えて帰ってください…明日待ってます」
「……ありがとー」

ロクサーヌの言葉に甘えてエイミーは今日は帰る事にした
ロッカーから鞄を持ち出して表へと出る
カウンターに座っていたダンテがエイミーに声をかける

「帰るのか?」
「うん…また明日ねおじ様、そうだ!明日からおじ様の恋応援してあげるからね!」
「そいつは心強いな、期待してるぜ」
「えへへ…じゃあね〜」

笑顔で手を振るエイミーをダンテは片手を上げて見送る
その時彼の前にストロベリーサンデーが置かれる
ようやく来たかといった様子で彼はそれを口につける

「お待たせしてすみません」
「いや、ナナが運んできてくれるならいつまでも待つぜ」
「っ!?」


* * *


帰り道
エイミーは自分の前に立ちはだかった人物を見て息を呑んだ
昼間店に来ていた女達…昔自分をいじめていた連中がニヤニヤしながらこちらを見ていた
思わず後ずさろうとしたのだが腕を捕まれてしまう

「っ…!」
「ちょっと待ってよエイミー…あんたさぁあの店何なの!?お客様に向かってコーヒーとかかける普通!?」
「ムカつくからさぁ…あんたで謝罪してもらおうか」
「や、やめて離してよっ!!」

二人に腕を押さえつけられてその場に跪かされる
一人の女が彼女の正面に立ち手に持っていた缶コーヒーの蓋を開けてエイミーの頭にかけた
コーヒーがエイミーの頭や服を汚していく
その姿を見て女達は笑っていた

「きゃはははっ!!お似合いじゃんエイミー!!!」
「うわっ!コーヒー臭ぇっ!!!」
「っ…!!」

駄目だ
いざとなったら怖くて何も言い返すことができない

「にしても相変わらず変な服装だね…だっさ!!!」

キャロル……
あたしは貴方に教えられて自分の個性を大事にしてきたよ

「あたしたちがデザインしてあげようか?新しく…はさみ持ってきてよ!」

キャロル……
キャロル……

――コンナクダラナイ連中ニ負ケテイイノカ?

キャロル…?

――力ヲ貸シテアゲル


「ほーら髪の毛切ってあげるよ…」

エイミーの髪の毛を掴んではさみで切ろうとした時だった
その女の腕が彼女によって掴まれて壁に投げ飛ばされた
彼女の腕を掴んでいた女二人も驚いてエイミーを見つめる

「離せ」
「きゃあああぁぁぁっっ!!!!」

残りの二人も飛ばされた後地面に叩きつけられた
エイミーはゆっくりと立ち上がって真っ赤な瞳で彼女達を見下ろした

――エイミー力ヲ貸シテアゲタンダ、今度ハオ前ガ力ヲ貸ス番ダ


――逆賊スパーダノ息子ヲ殺セ、ソレカラナナトイウ女モナ


Lend force to Amy
(待っててねおじ様、ナナちゃん、今すぐ殺しに行くから)


120814


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