第11話 Amy oddball


――ホント気持ち悪いよねアンタって
――エイミーって変わってるわ



「あーまた遅刻しちゃった〜」

家からいつもの店まで走っていくエイミー
昨日夜遅くまで起きていたため朝目覚ましを見た瞬間に飛び起きた
またロクサーヌの雷が落ちてしまう、と考えながらエイミーは角を曲がったときに見覚えのある背中を見つけた

「おじ様〜おはよ〜!」
「ん?エイミーか…今日は店番じゃないのか?」
「そうなんだけどぉ〜寝坊しちゃって……おじ様も店に行くの?」
「あぁ、ストロベリーサンデーがタダで食えるしな……それにナナにも会える」
「……おじ様ナナちゃんが好きなのか〜」

残念とエイミーは寂しそうな瞳をした
そんな彼女の頭をダンテはポンポン、と軽く叩いた

「お嬢ちゃんにもその内いい相手が現れるさ」
「そういうことされるとエイミーおじ様の事諦められなくなっちゃう〜」
「ハハッ!エイミーは変わってておもしろいな」
「おじ様こそサンデー好きなんて変わってるよねぇ〜」
「変わってるほうが魅力があるだろ?」

エイミーはその言葉に心が打たれた
ダンテは更に言葉を続ける

「みんなと同じ人間じゃつまらないだろ?変わってるのは変じゃない、それは個性だ」
「……そう、だよね〜」

ニコリと笑ってエイミーはダンテと共に店に向かった


* * *

「エイミー……また遅刻か!今月で何回目だと思ってんだよっ!!」
「あうっ!」

握り締めた拳でエイミーは頭を叩かれた
涙目になりながら彼女は叩かれた箇所を撫でる、その様子をナナとダンテは見ていた

「目覚ましはちゃんとかけてたんだろ!?」
「かけてたんだけどぉ〜それにも気づかないぐらい寝ちゃってて…」
「バカっ!!!!」
「あうぅっ!」

再びロクサーヌの拳が飛んだ
黙ってみていたナナもロクサーヌの前に立った

「ロクサーヌちゃん、もうその辺にしてあげてください…エイミーちゃんも反省してますし…」
「ナナちゃん優しい〜エイミー大好きー」
「駄目だ!そうやって甘やかすから調子に乗るんだ!今日という今日は絶対に許さない…「ちょっとーコーヒーまだぁ?」

窓際に座っている女性の客がイライラしたような顔でこちらを見ていた
ロクサーヌはエイミーから手を離してその客にコーヒーを持っていくように指示した
すぐにコーヒーを淹れてエイミーはそのお客さんの所に持って行く

「すみません…お待たせしましたぁー」
「たくっ…遅いんだから……ん?」
「!」

女がじーっとエイミーの顔を見つめた
見られていることに気がついたエイミーも同じように女性客を見て目を見開いた

「あんた…エイミーじゃない?」
「!?ち、違いますよ〜失礼しますー」

慌ててエイミーは奥へと引き下がった
その様子を見ていたナナも気になってエイミーの後を追いかけた
ダンテも見ていたがエイミーの事はナナに任せることにした
そして目の前のサンデーを食べていたときに先程の女達の会話が聞こえた

「ねぇエイミーってあのエイミー?」
「そうそう!小学生の時にいじめてたアイツよ!変わり者エイミーにさ、さっきの店員似てたのよねぇ」
「でもアイツって地味だったじゃん!あんなロリータな格好なんてしないでしょ!」

いじめていた事を楽しそうに笑う女達にダンテはため息をついた
そして再び彼女達の方に視線をやればロクサーヌが行っており、彼女達のコーヒーを手にとって顔にかけていた
コーヒーをかけられた女は怒って立ち上がる

「何するのよっ!!!」
「出ていきな、ウチの店員の悪口を言う奴は許さない…二度と来るなよ」

女達はぶつぶつ文句を言いながら店を出て行く
ロクサーヌはふん、と言った様子で再びカウンターの中へと戻る

「客が減るぜ、ロクサーヌ」

そう言いながらもダンテはよくやった、という風に彼女に微笑んだ


Amy oddball
(嫌だ…心の傷が疼く…)


120809


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