第8話 Cruel fate of Roxanne


男は単純な生き物だ
男が嫌いだったわけじゃない……
ただアイツに出会ってアタシの運命は変わってしまった



買い物を終えたロクサーヌはそのまま店に帰らずに港へと来ていた
足元に紙袋を置いて柵に手を置いてそのまま海を眺める
忘れていたはずの辛い過去
また最近になって思い出したのはダンテに触れられかけたのがきっかけだと思った
彼に触れられそうになった時にあの時と同じように体が恐怖で支配された

「やっぱ…忘れられないか……」
「ロクサーヌちゃん!」

聞き覚えのある声に振り返ればそこにはナナがいた、とダンテも
やはり彼女は自分の態度に気がついてついて来たか、とロクサーヌは苦笑した
人の心配ばかりするこの娘はそういうのは敏感だから

「店はどうしたんだ?」
「エイミーちゃんにお願いしてきました……その、ロクサーヌちゃんが気になって」
「そう……てかなんでおっさんもいるんだよ?」
「俺はナナの側を離れたくないんでな」

ダンテはそう言うとそのまま階段に腰をかけた
そうかよ、とロクサーヌは風になびいている髪を整えながら再び海へと視線を戻す
今聞いてもいいだろうか?ナナは考えた

「何か聞きたいことがあるんだろ?」
「え!?えーっと……はい…」
「ふっ…ホント隠し事が下手だね。あんたは」

くくっ、と笑うロクサーヌにナナは謝る
そして彼女はどこか遠くを見つめるような瞳で語りだした
己の過去を

「アタシさ……5年前に付き合っていた男がいたんだ。ロバートって言うんだけど……そいつにレイプされたんだ」
「!!」
「優しい顔してたのに……アタシを強姦している時のアイツの顔は悪魔だった」

衝撃的な彼女の過去にナナは思わず口元を押さえた
自分で話していて強姦されているあの時の映像が頭の中で蘇り、ロクサーヌは唇を噛んだ
ダンテは何も言わずに聞いていた

「強姦されてからアイツは毎日セックスしようって言ってくるようになって…嫌になってこの街に引っ越してきたんだよ……店を始めてようやく忘れられそうになってたけど、やっぱり完璧には消えてくれないね」
「ロクサーヌちゃん……」

今にも泣き出しそうなロクサーヌをナナは優しく抱きしめた
もう言わなくていいと言われている様でロクサーヌも涙が出そうになった
だが彼女はナナの腕から抜けるとダンテに指をさした

「アンタだってナナの体が目当てなんだろ!?好きだの可愛いだのって言って最終的には男はみんな身体目的なんだろ!?」
「……そうだな、好きな女を抱きたいって思ってしまうのは男の性だ」

それまで黙って聞いていたダンテは否定しなかった
そして重い腰を上げてロクサーヌを見る、真っ直ぐに

「だが俺とそのロバートって男には圧倒的に違う部分がある」
「何だよ……」
「俺は好きな女を泣かせない」
「…!!」

ロクサーヌの頬に涙が伝う
運命とは残酷なものだ、人との出会いによって変わってしまう
自分は最悪な男に出会ってしまい、男が嫌いになった

ダンテの赤いコートを力強く握り締めた

「……もっと、早くにアンタみたいな男と出会ってたら…アタシの運命は変わったのかな?」
「……さぁな」





しばらく海を眺めていたロクサーヌは立ち上がって紙袋を手に取った
そしてナナに微笑んだ

「帰ろうか、エイミーも待ちくたびれてるだろうし」
「もう大丈夫なんです?」
「あぁ……久々に泣いたらスッキリした」

言葉通り気持ちのよい顔になったロクサーヌにナナとダンテは微笑んだ
そして3人で店に向かって歩き出した
その時だったロクサーヌの視界に一人の人物が写り目を大きく見開かせた

彼女を強姦した男……ロバートが別の女性と歩いていたのだ


Cruel fate of Roxanne
(3人共遅い〜エイミー一人で退屈なんだけどぉ)


120804


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