第7話 Painful confession from her


家に着かなければ良いのに、とナナは思った
わざと足をゆっくりと進めば彼の気が変わったりしないだろうか?

どうかしている――、……

素性もわからない男に惹かれていく自分が
最初は怪我をしていたこの男に声をかけて、脅されて始まった奇妙な生活
だけど彼は自分を殺すつもりなど最初からなくて…
しつこい元彼も追い払ってくれた、優しい男だからだ
本当に犯罪者なら今頃殺されているし、レイプだってされているかもしれないのだ


「忘れ物はない?…っていってもコレだけだったっけ?」

明るく見送ろうとナナは寂しい気持ちを振り払うかのようにビリーに声をかける
彼女が指を指したのは一つの拳銃だ、彼はこれを使って自分の家に入り込んできた

「あぁ」
「…気をつけてね、また街に来ることがあったらぜひ寄って」

また街に来ることがあったら、というナナの言葉にビリーは眉間に皺を寄せた
彼の中ではもうこの街に来ることなどないからだ
自分は死刑囚…彼女が自分と関わってはいけないのだから
彼は適当に返事を返すとそのまま玄関へと向かう

行ってしまう……

その大きな背中を見送りながらナナは胸が痛んだ
この背中はピーターから守ってくれたときに逞しいと、頼もしい男だと感じた
自分の理想の男は彼のような男なのだと感じた一瞬でもある

玄関の扉が開かれる

さよなら……


「何してんだよ、お嬢さん」

一歩玄関の外へ出てからビリーはその場に立ち止まり声をかける
そのまま進めば良いのに、と思うのだがナナに上着を引っ張られてそれはできなかった

「……で」
「え」
「……行かないで、ビリー……」

涙を流しながら頼み込むナナ
駄目だ、この手を振り払わなければとビリーはゆっくりと手を上げる

「お願い……貴方がすきなの…っ」

彼女からの告白にビリーはしばらく立ちすくんだままだった
瞳を硬く閉じて考え込む、そして後ろを振り向いてナナを抱きしめるとそのまま玄関の扉を閉めた

「っん…!」

ビリーに唇を塞がれる、両手を壁に押さえつけられて何度も角度を変えて口付けられた
幸せそうに目を細めるナナの唇を離してビリーは囁いた

「いいのか?俺と一緒にいても幸せはないぜ?」
「いいわ…貴方がそばにいてくれるなら…っ」

彼はそのままナナを抱き上げると寝室へと向かう
その日の夜二人は体を重ねた


* * *

一方……
ビリーがナナを抱きしめて玄関の扉を閉めたときの事だ
その現場を目撃していた人物がいた

「な、んだよ…あいつナナの家に住んでるのか…?」

ピーターだ、彼は信じられないといった瞳だった
そしてギリギリと歯を噛み締めながら彼女の家を睨んだ

「あの男…誰なんだ?調べつくしてやるからなっ…!!!」



120708


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