第6話 Meal for two people alone


おしゃれな雰囲気の店でナナとビリーは席に着いた
彼女がよく来る店で雰囲気といい料理の味もかなり気に入ってるとのことだった
店員に注文するナナとやたら周りを用心深く観察するビリー
もし自分の事を知っている人間がいたら……

「どうしたの?」
「……いや、なんでもない」
「そう?…やたら警戒しているように見えたけど…?」

犬みたいに、とナナは笑った
そんな彼女にビリーは苦笑していた
このまま突っ込まれても嫌だったし、話題を変えようとビリーは口を開いた

「雰囲気のいい店だな」
「でしょ?私もかなり気に入ってて週に2回は来るわ、学校帰りとかに」
「…パスタばっかり食ってたら太るぞ」
「!そ、それは言わないでっ!」

パスタが奪われたら人生が終わってしまうと、大げさに言う彼女にビリーは微笑んだ
その時頼んでいたパスタが届き二人はナイフとフォークを取るとそれぞれ口をつける
ゆっくりと口に運んで熱いできたてのパスタを口に運びナナはおいしそうに「うーん!」と唸る
ビリーも口につけてあぁ、と何か納得したように答えた

「どう?」
「確かに上手いな、あんたが何度も足を運ぶのはわかる気がする」
「でしょ!パスタ食べ終えたら次はデザートね!ここデザートもおいしいんだからっ」

デザートという言葉にまだ食うのか、とビリーは少々呆れたように言うのだが
嬉しそうに食事をする彼女を見てたまにはいいか、と微笑んだ


* * *

「はぁ〜お腹いっぱいね」
「あんだけ食ったらな」

家へと向かう途中、隣同士で並んで帰る二人
体をうーんと伸ばしながら言うナナの横でビリーは言った

「でも貴方も結構食べてたじゃない、おいしいかったでしょ?」
「俺は2つだけだ、お嬢さんは6つも食ってたじゃねぇか…デブへの道まっしぐらだな」

ナナの頬をぎゅう、と抓るビリー
痛い痛いと笑ったナナは予想以上に大きかった男の手の平にドキッと心臓が鳴った
益々男だと意識してしまう

「あ…見てビリー!」

誤魔化そうとナナは夜空に向かって指を指した
同じようにビリーも夜空を見上げた、星が輝いており二人は目を細めて見つめた

「綺麗……」
「あぁ……」

こうしてじっくりと空を見上げるのはいつぶりだろうか?
下手すれば自分は一生見ることができないでいたかもしれないのに…
しかしこうしてナナと星を見れたのも何かの運命なのだろう

「平和……ね」

ナナの何気なく呟いた言葉にビリーは体を反応させた
そうだ彼女には未来がある
新しい男を作って結婚して幸せになる未来が…
自分に関わっていてはそんな未来を壊す可能性が高いのだ

「なぁ……」
「ん?」
「……あんたを家に送ったらそのまま俺は出て行く」
「え…?」

出て行くという言葉にナナは思わず声を煩わせてしまった

「元々手当てさえ終われば出て行くつもりだったんだ……今までありがとなお嬢さん」
「そ、うだったわね…え、と…うん、わかっ た…」

ナナはあはは、と笑って頷くとビリーと共に家に向かって歩き出した
家に着くまで二人はずっと無言だった



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