07


昨日の光景が頭から離れられなかった
笑顔でその男に抱きついていたナナ
あのような表情をするということは彼女にとってその男はとても大切で、特別な存在なのだろう
自分がその存在になることができなくてクリスは胸を痛めた、チクリと針が刺さっていて

それはとても痛かった



「……ス!」
「……」
「リス…クリス!聞いてんのかっ!?」
「え…!?」

呆然としていたクリスがケビンに声をかけられてハッとなった
手に持っていた煙草の灰が今にも床に落ちそうになり慌てて灰皿の上に落とした
自分の話を聞いていなかった様子のクリスにケビンは大きくため息をついた

「だから、今度合コンするんだけどよぉ数が足りないからお前入ってくれねぇか」
「合コン……」
「そ!この間パトロールしてたら可愛い子達見つけて声かけたら合コンしようって流れになってよ。ほら俺ら警察だからモテるだろ、その上S.T.A.R.Sのお前も来たらもっと盛り上がるしよ」
「悪いがそんな気分じゃ……」
「頼むっ!!この通りだっ!!!」

両手を合わせて頭を下げるケビンにクリスはため息をついた
合コンなんて気分ではない、フラれたばかりだというのに
いや、振られたからこそ行くべきなのだろうか?別に絶対に彼女を作らなければならないというわけでもないし気晴らしで行くのもいいかもしれない

「……わかった」
「ホントか!?さすがS.T.A.R.Sの人間は違うぜっ!!じゃあ頼むぜ」

嬉しそうに去っていくケビンにクリスは片手を上げた
そしてケビンと入れ違いにやってきた人物を見てクリスは煙を吐き出した
ジルだった、彼女は今の会話を聞いていたらしくクリスを睨みつけている

「合コンに行くってどういうことなの?貴方ナナが好きなんでしょ?」
「……数が足りないから行くだけだ、それにどこに行こうと俺の自由だろ」
「ケビンの誘いなんか断りなさいよ!合コンに行く暇があったらナナに会いに「もう終わったんだよ」

ジルが驚いたように目を見開いた
イライラした様子でクリスは灰皿に煙草を押し付ける

「…何?振られたの」
「…そんな感じだ、いいからもう放っておいてくれ」
「あ、…クリス!」



* * *

そしてケビンとの約束の日がやってきた
当然クリスは全然乗り気ではなかったし、ケビンともう一人の男と比べるとテンションが低い

「ケビン!声かけた子たちは可愛いんだろうな?」
「当たり前だろ!向こうだって可愛い子連れてくるって言ってたしな!下手すりゃ今日持ち帰ることだってできるかもしれねぇぞ」

大声で嬉しそうに笑う二人にクリスはため息をついた
やはり誘いなんか断って家に篭っていればよかった、と
その時相手の女の子達がやってきたらしくケビンはこっちだー、と手を振った

「遅れてごめんね!友達ちゃんと連れてきたよー」
「おぉー!みんな可愛い子ばっかりじゃねぇか!!」

テンションが上がっているケビンにクリスは頭を抱える

「クリス……?」
「ナナ…!?」

聞き覚えのある声に名前を呼ばれてそちらを見れば、ナナがそこにいたのだった


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