02 僕が守る、私は側にいる


引いてはまた押し寄せる波…単純な動きだが海は見ていて飽きない
こうしてずっと見つめているといつの間にか日が暮れている、なんてことはしょっちゅうだ
人は海から生まれて死ねば海に帰るというのがあるが…

「ピアーズ」

名前を呼ばれてどこか遠くへとやっていた意識をそちらへ向けた
付き合って数年になる自分の彼女――ナナがこちらを見ていた

「どうしたんだ?」
「それはこっちの台詞、ピアーズが海に来たいって言ったのにさっきから黙ってばかり」
「悪い…」

そう言うと彼女はぷいっ、と顔を横に逸らし履いていたサンダルを脱いで海の中へと入っていく
冷たい、と言い身体を震わせるナナを見つめながらピアーズは目を細める
そしてポケットの中に忍ばせている箱を握り締めてタイミングを伺っていた
彼が彼女を海に誘いに来たのはただ遊びに来たわけではない、男にとって人生最大の事でもある。プロポーズをしようと決めていた
BSAAという特殊部隊に入っている自分を見捨てずにいつも側で支えてくれる彼女
逃がしたくない、どこにもやりたくなかった

バシャッ

「うわっ!!」
「ほらまた眉間に皺を寄せてるっ」
「やったな…待てっ」
「きゃー!!」

顔に水をかけられたピアーズはニヤリと笑うと立ち上がって逃げ出すナナの後を追いかける
だが軍で鍛えている彼に敵うはずもなくあっさりと捕まってしまい後ろから抱きしめられた。大声で笑いあう二人、ピアーズから離されたナナが仕返しにと彼に思い切り抱きついた。彼女を受け止めたが足場が悪かったというのもあり二人はそのままその場に倒れてしまった
水を全身に被り二人ともびしょ濡れになってしまった

「怪我してないか?」
「うん…あははっ、二人ともビショビショだね」

何気なく笑うナナだったのだがとても色っぽい
ピアーズは真剣な瞳をして彼女の頬に手を寄せるとそのまま唇を塞いだ

「…ん」

唇が離されてピアーズはポケットから箱を取り出した、中を開ければ綺麗な指輪が入っている
ナナは息を呑んだ

「俺と結婚して欲しい。俺がこれから先もずっと君を守る」
「……はいっ」

返事をするとピアーズに手を取られて指輪をはめられる
嬉しくてナナはそのまま彼に抱きついた

ナナもこの瞬間決めた
この先もずっと一緒にいたいと思うのはピアーズだけだし、何があってもずっと一緒にいようとそう決意した


121028


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