01 その扉の向こうに


「う……」

押し寄せる波によってピアーズは目を覚ました
気がつけば自分は砂浜で気を失っていたらしく、ゆっくりと身体を起こして辺りを見つめる
何もない、人気もなくただ砂浜が永遠に続いているだけだ
ここは一体どこなのだろうか?

ふと、気配を感じて見れば一人の女が立っていた
こちらを見ないため顔が見えない、だけどその姿はどこか見覚えがある
立ち上がってゆっくりと彼女に近づいていく
だが彼女も突然走り出したためピアーズは後を追いかける、もう少しで彼女に触れそうになった途端彼女の姿は消えた
そして目の前に扉が現れる、ここにさっきの彼女は入って行ったのだろうか?

半分扉を開けてみたい気持ちはある、だが半分は開けなくてもいいと思う
しかし扉を開けてみなければ何があるのかわからない

ドアノブを握り締めた




* * *

定期的な機械の音が聞こえる
心臓の鼓動のように一定のリズムで何度も繰り返される

「目を覚ましたぞ」

低い男の声が聞こえた、カプセルの中にピアーズはいた
白衣を着た男達が自分を見つめている

「ジェイク・ミューラーのおかげで君の化け物のような腕は無くなった……まぁ君は右腕がないままだが、それでもマシだろう」
「……」
「目を覚ましたばかりで悪いが、このまま実験を続けさせてもらうぞ」

男はそれだけ言うと部屋を出て行く
その場に残っていた若い男二人が口を開いた

「彼はBSAAの隊員らしいな」
「あぁ名前はピアーズ・ニヴァンス…腕の立つ狙撃主だったらしいが……もったいないな。今は息をしているだけの人形のようなものだしな…」

哀れな目をして男はカプセルの中にいるピアーズを見つめた
その瞳はどこを見つめ、何を想っているのか誰にもわからない

「そういやブレンドンの奴、彼女にプロポーズしたらしいな」
「本当か、また先を越されたな!」

何気ない会話だったのだがピアーズの左手がピクリと反応した
そして彼の頭の中にある映像が浮かび上がる
海辺で自分と女が一緒にいるところだった…



121028


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