01


「フォレストが怪我?」

喫煙所で一服していたクリスの耳に飛び込んできた同僚の怪我
それを知らせに来たのが同じ職場の人間のジルとバリーだった

「そう、任務中にちょっとしくじったらしくて…今日は彼のお見舞いに行こうと思うの。クリスも行くでしょ?」
「あぁわかった」
「早めに切り上げるようにしろよ……あぁそうだ、書類にミスがあるってウェスカーが怒ってたぞ」

その場から去ろうとするバリーが最後に声をかけた内容にクリスは苦笑し、最後の煙を吐き出すと備え付けてある灰皿に煙草を押し付けて重い腰を上げた


クリスが所属するのはS.T.A.R.Sという特殊部隊にいた
警察署の中にある特別な組織で入隊するのもそんな簡単ではない、一つはスカウトされるそしてもう一つは難しい試験を受けるこの二つのどちらかでクリスは前者だった
ここに来る前に彼は空軍にいたのだが上司と意見が合わずに退役。そこで友人でもあったバリーに声をかけられてS.T.A.R.Sに入隊したのだ


* * *

ウェスカーに注意された書類のミスをなんとか訂正して夕方には切り上げる事ができた
バリーの運転する車に乗り込んで病院へと走り出す
と思っていたのだがここで病院への道へと走らない事に気がついたクリスが声をかける

「病院はこっちじゃないだろ?どこに行くんだ」
「その前に花を買っていこうと思って」
「手ぶらじゃ何だしな」
「花屋に寄ってから行くってことか」
「そうよ、私の知り合いがね花屋をやってるのよ」
「へぇ…」

ジルにそんな知り合いがいたのか、とクリスは少々驚いていた
彼女にはたくさん友人がいるとは思っていたがまさか花屋にまでいるとは
その内レストランの店長や有名なブランド会社の社長とかもいるのではないだろうかとクリスは口の端を上げた

警察署から10分ほど走ったところにその花屋はあった
車から降りてその店を見るととても小さな店だった、こんな小さな店なのかと
先に進んでいくジルの背中を見つめながらクリスはバリーにそっと耳打ちする

「こんな小さな店ってことは…婆さんがやってるのかもな」
「そうかもな、俺も想像と違ってたんで驚いてるよ」
「ナナー!私よジルよ!」
「あ、ジル!」

ジルの名前を呼んで奥から出てきた人物の姿を見てクリスとバリーは目を見開いた
婆さんではなく若くて綺麗な娘が出てきたからだ
彼女は微笑んでジルと抱き合う、クリスの視線は彼女に釘付けだった。心臓がうるさく鳴り響く

「驚いた…あんな若い娘がやってたとはな」
「……」
「クリス?」
「え!?あ、そう…だな」

バリーに声をかけられてようやく我に返ったクリス
その時二人の存在に気がついたのかナナはジルに誰かと尋ねた

「あぁ二人は私の同僚よ、二人とも彼女がこの店を経営しているナナよ」
「よろしくバリーだ」
「よろしくお願いします」
「…クリスだ、よろしく」
「…よろしくお願いします」

握手を交わす二人、手が離れてクリスは少々惜しみながら奥へと入っていく彼女を見つめる
ナナは以前ジルから聞いていたのか、もうすでにお見舞い用の花を用意してくれていた

「はい、これでいいかな?」
「ありがとう!とっても綺麗だわ…じゃあまた来るから」
「えぇ…同僚さん早く退院するといいね」

花を受け取って3人は車へと向かう
クリスは一度彼女の方を振り返って作業をするその背中を見つめその場を後にした


物語はS.T.A.R.S時代から始まりますよー長くなりそうな予感…笑
121007


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